竹取翁と万葉集のお勉強

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古今和歌六帖 原文 第三帖 前半部

2017年03月12日 | 古今和歌六帖
古今和歌六帖 第三帖 前半部

字欠歌について、その歌が先行する歌集に載る歌と同じと推定されるものについては先行する歌集の歌で校訂しています。ただし、校訂時の操作ミスから作業データを失い、ためにその校訂部分に対する注記を行っていません。一方、字欠歌を集載する歌集が見つからなかったものは、校訂を行うことなくそのままとなっています。なお、この第三帖では字欠歌はありません。



歌番1452 あしひきの やましたとよみ ゆくみつの ときそともなく おもほゆるかな
歌番1453 あしひきの やましたみつの こかくれて たきつこころを せきそかねつる
歌番1454 あしひきの やましたみつの したくくり ゆくほとしらぬ こひもするかな
歌番1455 ことならは やましたみつと なりななむ ひとめしけきの なかもゆくへく
歌番1456 しのふれと くるしきものを あしひきの やましたみつの つねになかれて
歌番1457 なつののの くさしたかくれ ゆくみつの たえぬこころある われとしらすや
歌番1458 おもふとは なにをかさらに いはしみつ こころをくみて ひとはしらなむ
歌番1459 はることに なかるるかはを はなとみて をられぬみつに そてやぬれなむ
歌番1460 いはせやま たにのしたみつ うちしのひ ひともみぬまに なかれてそふる
歌番1461 ぬまみつの なみにはたてて そこふかみ くさかくれつつ あふよしもかな
歌番1462 おとなしの やまのしたゆく ささらみつ あなかまわれも おもふこころあり
歌番1463 おくやまの このはかくれに ゆくみつの おとききしより つねにわすれす
歌番1464 まつをのみ ときはとおもへは よとともに なかるるみつも みとりなりけり
歌番1465 きみかよに あふさかやまの いはしみつ こかくれたりと なにおもひけむ
歌番1466 つくはねの いはもととろに おつるみつ たえむものとは わかおもはなくに

水鳥

歌番1467 みつとりの かものはいろの はるやまの おほつかなくも おもほゆるかも
歌番1468 もみちする あきはきにけり みつとりの あをはのやまの いろつくみれは
歌番1469 いもこふと いねぬあさけに みつとりの こゑよわりゆく いもかつかひか
歌番1470 みつとりの うかふこのいけの このはおちて うけるこころを わかおもはなくに
歌番1471 みつとりの はかなきあとに としをへて かよふはかりの えにこそありけれ
歌番1472 みつとりの おのかうかへる こころもて ふちをもせとや おもひなすらむ
歌番1473 かせふけと よとをむつふる みつとりの うきねをのみや わかねわたらむ
歌番1474 ひとことの しけみはされは みつとりの かものうきねの やすけくもなし



歌番1475 はねのうへの しもうちはらふ ひともなし をしのひとりね けさそかなしき
歌番1476 ふゆのよを ねさめてきけは をしそなく はらひもあへす しもやおくらむ
歌番1477 いけにすむ なををしとりの みつをあさみ かくるとすれと あらはれにけり
歌番1478 をしとりの かはへにひとり なくよしも みきはのなへて さえまさるらむ
歌番1479 きみかなも わかなもをしの ひとつかひ おなしえにこそ すままほしけれ
歌番1480 しろたへの なみふみちらす をしとりの はかなきあとと ひとやまちみむ
歌番1481 しもこほり こころもとけぬ ふゆのいけに よふけてそなく をしのひとこゑ
歌番1482 うかふとも しつむともなき みなそこに なををしとりの そこにとそおもふ
歌番1483 すにぬれは いさこのいけに まかふとり てにとるはかり なりにけるかな



歌番1484 しらなみの うてともたたす むれゐつつ ひとにとほかも めなれたるとり
歌番1485 なれてこし おきのかもめは つけなくに のちのこころを いかてしりけむ
歌番1486 ふゆのよの かものうはけに おくしもの きえてものおもふ ころにもあるかな
歌番1487 ねにたてて よるはわふてふ うきかもの わかみかくれに とひもきななむ
歌番1488 なにはめの みつうきかよふ あしかもの したにかよひて あはれとそおもふ
歌番1489 あしかもの さわくいりえの しらなみの しらすやひとを かくこひむとは
歌番1490 あしへゆく かものはおとの おとにのみ ききつつひとを みてややみなむ
歌番1491 よしのなる なつみのかはの かはよとに かもそなくなる やまかけにして
歌番1492 よそにゐて こひつつあはすは きみかいへの いけにすむてふ かもならましを
歌番1493 いのりくる かもとおもふを あやなくも かもめさへたた なみてみゆらむ
歌番1494 しきたへの まくらにたにも われをなせ かものうきねは くるしかりけり
歌番1495 わきもこか こふるにやあらむ おきにすむ かものうきねの やすけくもなし
歌番1496 さいたまの をさきのいけに かもそはねきる おのかをに ふりおけるしもを はらふとにあらし

鳰鳥

歌番1497 にほとりの したやすからぬ おもひには あたりのみつも こほらさりけり
歌番1498 しものうへに とひかふかもの はかせには ひとりあるひとの いねもかねつる
歌番1499 にほとりの おきなかかはは たえぬとも きみにかたらふ ことつきめやも
歌番1500 にほとりの おなしうきねを するときは よふかきこゑを ともにこそきけ
歌番1501 きみかなも わかなもたてし いけにすむ にほといふとりの したにかよはむ
歌番1502 あふことの なけきによする にほとりの うきにしつみて ものをこそおもへ
歌番1503 にほとりの すたくいけみつ こころあらは きみにわかこひ こころしめさぬ
歌番1504 はるのいけの たまもにあそふ にほとりの あしのいとなき こひもするかな
歌番1505 ひとりのみ みつのほりえに すむにほの そこはたえすも こひわたるかな



歌番1506 としことに あゆしはしれは さはたかは うやつかつけて かはせたつねむ
歌番1507 しらかはの せをたつねつつ わかせこは うかはたたせめ こころなくさに
歌番1508 うかはたち とりさむあゆの したはたえ われにかきりに おもひしおもへは



歌番1509 ふるかはの そこのこひちに ありときく かめのこふとも しらせてしかな
歌番1510 おほゐかは ゐせきにふせる かめのやまの いのちのかきり あひみてしかな
歌番1511 なみまより いてくるかめは よろつよと わかおもふことの しるへなりけり



歌番1512 わたつみの かみのしまける うをゆゑに こきなつかれそ あまのつりふね
歌番1513 いせのうみに つりするあまの うををなみ うけもひかれぬ こひもするかな



歌番1514 ゆくみつの したなるこひの くるしきは あみのひとめを つつむなりけり
歌番1515 よとかはの そこにすまねと こひといへは すへていをこそ ねられさりけれ



歌番1516 おきへゆき へにゆきいまや いもかため わかすなとれる もふしつかふな
歌番1517 ひとしれす みつのしたには かよへとも あふなはとらしと おもひしものを



歌番1518 すすきつる ふけひのうらの あまにもか いまなきゆきて いへつしまみむ
歌番1519 すすきつる あまのたくひの よそにたに みぬひとゆゑに こふるこのころ
歌番1520 あらいその ふちえのうらに すすきつる あまとかみらむ たひゆくわれを



歌番1521 あふことを あときのしまに ひくたひの たひかさならは ひともしりなむ

年魚

歌番1522 きみませは ものもおもはす たまかはの せにふすあゆの やなほこりして
歌番1523 あたらよを いもともねなて とりかたき あゆとるとると いはのうへにゐて

氷魚

歌番1524 うちかはの せせにありてふ あしろきに おほくのひをも わひさするかな
歌番1525 なかれくる もみちのいろの あかけれは あしろにひをの よるもみえけり
歌番1526 すくしくる ひをかそふとも うちかはの あしろならねは よらしとそおもふ



歌番1527 みよしのの おほかはみつの ゆほひかに あらぬものゆゑ なみのたつらむ
歌番1528 かはのせに なひくをみれは たまもかも ちりみたれたる かはのつねかも
歌番1529 みかくれて いきつきあまり はやかはの せにはたつとも ひとにいはめや
歌番1530 むかしみし きさのをかはを けさみれは いよいよきよく なりにけるかな
歌番1531 にこりなき きよたきかはの きしなれは そこよりさくと みゆるふちなみ
歌番1532 たえすゆく あすかのかはの ゆらさらは ゆゑもあらしと ひとのみらくに
歌番1533 をちへゆく こちかせかはに たれしかも いろさりかたき みとりそめけむ
歌番1534 てるつきの かつらのかはし きよけれは うへしたあきの もみちをそみる
歌番1535 つのくにの いくたのかはの いくたひか きみをこひしと われおもふらむ
歌番1536 いまさらに さらしなかはの なかれても うきかけみせむ ものならなくに
歌番1537 からころも たつたのかはの こゑきけは いまはきぬとも おもほゆるかな
歌番1538 あさことに いくみのかはの みをたえす こひしきひとに あひみてしかな
歌番1539 いもかかと いていりのかはの せをはやみ わかうまつまつく いもこふるかも
歌番1540 とねかはは そこはにこりて うはすみて ありけるものを さねてくやしく
歌番1541 むこかはの みをすみはやす あかこまの あしかきそそき ぬれにけるかな
歌番1542 ふしかはの よにすむへくも おもほえす こひしきひとの かけもみえねは
歌番1543 たまかはは まさらはまされ まこまのの こまののとのの ふねならなくに
歌番1544 よとかはの よとむとひとは みるらめと なかれてふかき こころあるものを
歌番1545 ほりかはの せきのゐくひの うちわたし あはてもひとに こひらるるかな
歌番1546 あさことに きけははるけし いつみかは あさくききつつ うたふふなひと
歌番1547 みたれつつ ひとたによらぬ いとはかは なみのさわくは みつをよるとか
歌番1548 わかそてを いまもかわかて ゆふかはか またかへれこむ よろつよまてに
歌番1549 つくはねの みねよりおつる みなのかは こひそつもりて ふちとなりける
歌番1550 つねよりも はるきにけれは さくらかは なみのはなこそ まなくよすらめ
歌番1551 きみこふと ひとしれねはや きのくにの おとなしかはの おとにたにもせぬ
歌番1552 ひとしれす ぬれにしそての かわかぬは あふくまかはの みつにやあるらむ
歌番1553 みにちかき なをそたのみし みちのくの ころものかはと みてやわたらむ
歌番1554 いにしへの かしこきひとの あそひけむ よしののかはは みれとあかぬかも
歌番1555 きみこすは たれにかみせむ しらかはの せせにうつまく たきのしらたま
歌番1556 みちのくに ありといふなる たまかはの たまさかにても あひみてしかな
歌番1557 ちとりなく ゐなのかはらを みるときは やまとこととも おもほゆるかな
歌番1558 つくしなる おほかたかはの おほかたは われひとりのみ わたるうきせか
歌番1559 ゆふたすき かけてもひとを たのまねと なみたはかもの かはにこそたて
歌番1560 みよしのの あきつのかはの よろつよに たゆるときなく またかへりみむ
歌番1561 ももしきの おほみやちかき みみとかは なかれてきみを ききわたるかな
歌番1562 みまほしみ こしらししるく よしのかは おとのさやけさ みるにともしく
歌番1563 をはすての つきをしめてし みみとかは そこをのみこそ しのひわたらめ
歌番1564 おとにのみ きかましものを おとはかは わたるとなしに みなれそめけむ
歌番1565 かりにても わかるとおもへは かみなかは せせのちとりの みたれてそなく
歌番1566 こころにも あらてわかれし あひつかは うきなをみつに なかしつるかな
歌番1567 めなしかは みみなしやまの みみきかす ありせはひとを うらみさらまし
歌番1568 ふちせとも なにかたのまむ いもせかは こころはせにし よらむとおもへは
歌番1569 よのなかは なそやまとなる みなれかは みなれそめすそ あるへかりける
歌番1570 いのりつつ たのみそわたる はつせかは うれしきせにも なかれあふやと
歌番1571 よのなかを いとななけきそ あすかかは あすかのかはは ふちせなりけり
歌番1572 みかのはら わきてなかるる いつみかは いつみきとてか こひしかるらむ
歌番1573 たひひとの まきなかすといふ にふかはの ことはかよへと ふねそかよはぬ
歌番1574 はりまかた うみにいてたる しかまかは たえむひにこそ わかこひやまめ
歌番1575 みつかはの ふちせもしらす さをさして かりのころもて ほすひともなし
歌番1576 いもせかは なひくたまもの みかくれて われはこふとも ひとはしらしな
歌番1577 すすかかは おとにききてや よをはへむ としふることに なるるよもなく
歌番1578 いなはかは いなとしつひに いひはては なかれてよにも すましとそおもふ
歌番1579 たまかはは まさらはまされ まこまのの こまののとのの ふねならなくに
歌番1580 わすれかは よくみちなしと ききてこそ いとふのかみも たちはよりけれ
歌番1581 ひろせかは そてつくはかり あさきをや こころふかめて われはおもはむ
歌番1582 おもふとも おとなしかはの おとなせそ したにはみつの たえぬものから
歌番1583 つくりかは たゆることなく おもふにも ひとひもきみを いみそかねつる
歌番1584 なかれても たえしとそおもふ おもひかは いつれかふかき こころなりける
歌番1585 としふれと そてひつかはの うつまきに こひしきひとの かけなかりけり
歌番1586 あはれとは おもひわたれと もかみかは ふちをもせをも えこそさためね
歌番1587 おほゐかは おろすいかたの いかなれは なかれてつねに こひしかるらむ
歌番1588 いはたきに いそさへとよむ うふかはの あかたうたひて わかおもはなくに
歌番1589 うつつには さらにもいはす はりまなる ゆめさきかはの なかれてもあはむ
歌番1590 いはたかは いそさへさわく ゆちかはの したはくつれて おもふころかな
歌番1591 ゆふたすき かけてもひとを たのまねは なみたはかもの かはにこそたて
歌番1592 あきかせの ふくたつたかは もみちはの にしきをみつつ いかかわたらむ
歌番1593 よなつかは ふむせさためぬ よときけは われをもふかく たのまれそする
歌番1594 ねむれとそ そてひつかはの うへきまに こひしきひとの かけなかりけり
歌番1595 くたらかは かはせをはやみ あかこまの あしのそそきに ぬれにけるかな



歌番1596 みよしのの いはもとさらす なくかはつ うへもなくらむ かはのせきみよ
歌番1597 をやまたの ふかたのかはつ なにゆゑに こひちにぬれて なくならなくに
歌番1598 わかやとに あひやとりして すむかはつ よるになれはや ものはかなしき
歌番1599 やまふきの はなかけみゆる さはみつに いまそかはつの こゑきこゆなる
歌番1600 せをはやみ おちたきつらし しらなみに かはつなくなり あさゆふことに
歌番1601 くさまくら たひにものおもふ わかきくに ゆふかたかけて なくかはつかも
歌番1602 たまかはの ひとをもよきす なくかはつ このゆふかけは をしくやはあらぬ
歌番1603 あきかせに かはつつまよふ ゆふされは ころもてさむし まくらせむとか
歌番1604 さはみつに かはつなくなり やまふきの うつろふかけや そこにみゆらむ
歌番1605 おとはかり おつるしらかは しらねとも かはつかこゑを とめてきにけり
歌番1606 ゆふさして かはつなくなる みわかはの きよきせのおとを ききしはよしも



歌番1607 かつらきの わたるくめちの つきはしの こころもしらす いさかへりなむ
歌番1608 いそのかみ ふるのたかはし たかたかに いもかまつらむ よそふけにける
歌番1609 さほかはに こほりわたれる うくひすの うすきこころを わかおもはなくに
歌番1610 こひしくは はまなのはしを いててみよ したゆくみつに かけやみゆると
歌番1611 つのくにの なにはのうらの ひとつはし きみをおもへは あからめもせす
歌番1612 なかそらに きみもなりなむ かささきの ゆきあひのはしに あからめなせそ
歌番1613 ひとわたす ことたになきを なににかも なからのはしと みのなりぬらむ
歌番1614 なにはなる なからのはしも つくるなり いまはわかみを なににたとへむ
歌番1615 しらくもに たなひきわたる あしひきの やまのたなはし われもわたらむ
歌番1616 さしなから のはしらつゆに ぬれにけり あきてふことを くれなゐにして
歌番1617 せのやまに たたにむかへる いもせやま こときこゆやも うちはしわたす
歌番1618 まののうらの よとのつきはし こころにも おもふかいもか ゆめにみえつる
歌番1619 をはたたの いたたのはしの こほれなは けたよりゆかむ こふなわきもこ
歌番1620 ふるるみは なみたのかはに みゆれはや なからのはしに あやまたるらむ



歌番1621 さほかはに こほりわたれる うすらひの うすきこころを わかおもはなくに
歌番1622 みつとりの かものすむいけの したひなく いふかしきいもを けふみつるかな

井堰

歌番1623 おほゐかは ゐせきにこえて ゆくみつの たえすもものを おもふころかな
歌番1624 おほゐかは せきのふるくひ としふとも われわすられむ とやはおもひし
歌番1625 たひとあらは のちのなくさめ あるへきを なみたのゐせき みつやこえなむ
歌番1626 おほゐかは ゐせきのゐくひ うちわたし こひしとのみや おもひわたらむ
歌番1627 ゐせきにも さはらさりけり もみちはは おちくるみつの いろにみえつつ
歌番1628 あさことに ゐてこすなみの たやすくも あはぬいもゆゑ たきもととろに



歌番1629 わきもこに わかこふらくは みつならは しからみこえて いぬへくおもほゆ
歌番1630 たまもかる ゐてのしからみ うすきかも こひのよとめる わかこころかも
歌番1631 あすからは せせにたまもは おほかれと しからみあれは なひきてもあはす
歌番1632 なみたかは そこのみなかみ はやけれは せきそかねつる そてのしからみ
歌番1633 あきはきの はなのなかるる かはせには しからみかくる しかのねもせす
歌番1634 おほゐかは こころしからみ かみしもに ちとりしはなく よそふけにける
歌番1635 ひとしれぬ なかはしからみ かけたれや こひしきせにも あふよしのなき
歌番1636 やまかはに かせのかけたる しからみは なかれもあへぬ もみちなりけり
歌番1637 みつもせに うきぬるときの しからみは うちのとのとも みえすそありける
歌番1638 せをせけは ふちとなりても よとみけり わかれをとむる しからみそなき

夜川

歌番1639 かかりひの かけとなるみの わひしきは なかれてしたに もゆるなりけり
歌番1640 おほゐかは うかふうふねの かかりひに をくらのやまの なのみなりけり
歌番1641 おほそらに あらぬものから かはかみに ほしかとみゆる かかりひのかけ
歌番1642 かかりひに あらぬものから なそもかく なみたのかはに うきてみゆらむ
歌番1643 かかりひの かけしうつれは うはたまの よかはのみつは そこもみえけり
歌番1644 かつらかは よるかひのほる かかりひの かかりけりとは いまこそはしれ

網代

歌番1645 もののふの やそうちかはの あしろきに いさよふなみの よるへしらすも
歌番1646 かはかみに しくれのみふる あしろきに もみちはさへそ おちまさりける
歌番1647 おちつもる もみちはみれは ももとせの あきのとなりは あしろなりけり
歌番1648 もみちはの なかれてとまる あしろには しらなみもまた よらぬひそなき
歌番1649 みよしのの よしののかはの あしろには たきのみなわそ おちまさりける
歌番1650 うちかはの なかになかれて きみまさは われもあしろに よりぬへきかな
歌番1651 うちかはの なみのよるよる ねをそなく あしろもるてふ ひとのつらさに



歌番1652 やなみれは かはかせさむく ふくときそ なみのはなさへ おちまさりける
歌番1653 あたひとの やなうちわたす せをはやみ こころにはおもへと たたにはあらぬかも



歌番1654 いりえこく たななしをふね こきかへり おなしひとのみ おもほゆるかな
歌番1655 たまつしま いりえのこまつ ひとならは いくよかへしと とはましものを
歌番1656 みちのくの たまつくりえに こくふねの おとにはたてす きみこふるみは
歌番1657 つのくにの なからへゆかは わすられて なほもみくまの ほりえなるらむ
歌番1658 わかれては のちそかなしき にこりえの そこともしらぬ ありかとおもへは
歌番1659 こころにも あらてうきよに すみのえの きしとはなみに ぬるるそてかな
歌番1660 みなといりは なみさわかしみ あしまよふ えにこそひとを おもふへらなれ
歌番1661 いせのうみの をののみなとの なかれえの なかれてもみむ ひとのこころを
歌番1662 あはれてふ こころひとつに つくまえの こひわたるとは しらすやあるらむ
歌番1663 すみのえの めにちかからは きしにゐて なみのかすをも よむへきものを
歌番1664 あきかせの ちえのうらほの ことつみなる こころはよりぬ のちはしらねと



歌番1665 わかせこか おゆるかをしさ さたのいけの たまもにもかな かりあけはやさむ
歌番1666 あめふると ふくまつかせは きこゆれと いけのみきはは まさらさりけり
歌番1667 さるさはの いけもつらしな わきもこか たまもかつかは みつもひなまし
歌番1668 こひをのみ ますたのいけぬ いけぬなは くるにそものの みたれとはなる
歌番1669 いひしらて ひとめつつみに せかれにし いけのみつとも ゆかぬこころか
歌番1670 あたなりと なにはいはれの いけなれは ひとにねぬなは たつにさりける
歌番1671 おもへとも ひとめをつつむ なみたこそ あさつのいけと なりぬへらなれ
歌番1672 かつまたの いけにすむてふ こひこひて まれにもよそに みるそかなしき
歌番1673 はらのいけに おふるたまもの かりそめに きみをわかおもふ ものならなくに
歌番1674 あふことは ならしのいけの みつなれや たえみたえすみ としのへぬらむ
歌番1675 にほとりの さわかすかたの いけみれは みなととのみそ たつへかりける
歌番1676 みつとりの うきてこころの まとふかな みやちのいけに としはへぬれと
歌番1677 なにことも いはてこしたの いけにたつ かくいひしらぬ ものはおもはす
歌番1678 おなしくは きみとならひの いけにこそ みをなけつとも ひとにかたらめ
歌番1679 あしかもの すたくいけみつ まさるとも ゐせきのかたに われこひめやは
歌番1680 いにしへの ふるきつつみは としふかみ いけのなきさに みくさおひにけり



歌番1681 おくやまの いはかきぬまの みこもりに こひやわたらむ あふよしをなみ
歌番1682 みくさおひて ありともみえぬ ぬまみつに したのこころを しるひとそなき
歌番1683 くれなゐの いろにはいてし かくれぬの したにかよひて こひはしぬとも
歌番1684 いつとてか わかこひさらむ みちのくの あさかのぬまは けふりたゆとも
歌番1685 かくれなく あはすなりなは みちのくの いかほのぬまの われいかにせむ
歌番1686 かくれぬの したゆくみつの おもほえは いかにせよとか わかねそめけむ
歌番1687 かくれぬの したにこふれは あきたらす ひとにかたりつ いむてふものを



歌番1688 あしねはふ うきはうへこそ つれなけれ したはえならす おもふこころを
歌番1689 なにことも いはれさりけり みのうきは おひたるあしの ねのみなかれて
歌番1690 あしのねの よわきこころは うきことに まつをれふして ねそなかれける



歌番1691 はるくれは たきのしらいと いかなれや むすへともなほ あはにみゆらむ
歌番1692 なかれくる たきのいとこそ よわからし ぬけとみたれて おつるしらたま
歌番1693 いととさへ みえてなかるる たきなれは たゆへくもあらす ぬけるしらたま
歌番1694 おもふこと たきにもあらなむ なかれても つきせぬものと やすくたのまむ
歌番1695 やまたかみ こすゑをわけて なかれくる たきにたくへて おつるもみちか
歌番1696 はるたちて かせやふきとく けふみれは たきのみをより たまそちりける
歌番1697 しらくもや みたるるとのみ みえつるは おちくるたきの つねにそありける
歌番1698 やまわけて おちくるたきを しらくもの たなひくとのみ おとろかれつつ
歌番1699 ももくさの はなのかけまて うつしつつ おともかはらぬ しらかはのたき
歌番1700 いまさらに われはかへらし たきみつつ よへときかすと よははこたへよ
歌番1701 みなかみと うへもいひけり くもゐより おちくることも みゆるたきかな
歌番1702 きよたきの せせのしらいと くりためて やまわけころも おりてきましを
歌番1703 みつとのみ おもひしものを なかれくる たきはおほくの いとにさりける
歌番1704 いしまより おちくるたきの なみまにも ひとをわするる わかこころかは
歌番1705 いかにして かすをしらまし おちたきつ たきのみをより おつるしらたま
歌番1706 うちたえて おつるなみたに なるたきの たきれてひとを みぬかわひしき
歌番1707 たきつせの はやきこころを なにしかも ひとめつつみの せきととむらむ
歌番1708 ゆくみつの わかこころにし かなはねは ひとまつたきと なりやしぬらむ
歌番1709 としことに かくもみてしか みよしのの きよきかふちの たきのしらなみ
歌番1710 やまたかみ しらゆふはなに おちたきつ たきのかふちは みれとあかぬかも
歌番1711 ぬきみたる ひとこそあるらし しらたまの まなくもふるか そてのせはきに
歌番1712 あしひきの やまちしらねと まとはれす おとはのたきの こゑのしるさに
歌番1713 しらかはの たきのしらいと みまほしみ よるをそひとは まつといふなる
歌番1714 しらかはの たきのいとみま ほしけれと みたりにひとは よせしものをや
歌番1715 いつのまに ふりつみにけむ みよしのの やまのかひより くつれおつるたき
歌番1716 みやのたき うへもなにおひて きこえけり おつるしらあわの たまとひひけは
歌番1717 かせふけと こころもしらぬ しらたまは よをへておつる たきにさりける
歌番1718 おちたきつ たきのみなかみ としつもり おいにけらしも くろきすちなし
歌番1719 おもひせく こころのうちの たきなれや おつとはみれと おとにきこえぬ

庭潦

歌番1720 よのなかは ありてむなしき にはたつみ おのかゆきゆき わかれぬるみを
歌番1721 にはたつみ なかるるかたの なけれはや ものおもふひとの そてになかるる
歌番1722 にはたつみ このしたかくれ なかれせは うたかたはなを ありとみましや
歌番1723 はなはたも ふらぬあめゆゑ にはたつみ いたくなゆきそ ひとのしるへく

泡沫

歌番1724 うきことに よにふるものを たきつせに まさにうたかた たえむものかは
歌番1725 うたかたの うまやはひとの おもひつく にほひいろこく そめてしものを
歌番1726 うたかたも おもへはかなし よのなかを たれうきものと しらせそめけむ
歌番1727 ふりやめは あとたにみえぬ うたかたの きえてはかなき よをたのむかな
歌番1728 おもひかは たえすなかるる みつのあわの うたかたひとに あはてきえめや



歌番1729 きみかため やまたのさはに ゑくつむと ぬれにしそては ほせとかわかす
歌番1730 まこもかる よとのさはみつ あめふれは つねよりことに まさるわかこひ
歌番1731 なかれます よとのさはみつ あめやまは いかにならなむと おほほゆるかな



歌番1732 おほろけの ふちやはさわく やまかはの あさきせにこそ うはなみはたて
歌番1733 おもひわひ ふちにもせにも おちいりなは ひとのこころの あさきとやいはむ
歌番1734 いかにして にはかにふちに おちいりにし うきにしにせぬ わかみかくしに
歌番1735 ちはやふる かみもしるらむ よとかはの よとめるふちの ふかきこころは
歌番1736 やまたかみ みつといはめや たまきはる いはかきふちの かくれたるつま
歌番1737 かみなひを うちまふさきの いはふちの かくれてのみや わかこひをせむ
歌番1738 みつまさる ときはふちなる やまかはの たきならねはや おとのたえせぬ



歌番1739 もみちはの なかるるかはの しらなみの たえぬせとこそ なりぬへらなれ
歌番1740 かはのせの みなきるあわの なかれても ひとのうきせは きえてうらみむ
歌番1741 ちとりなく さほのかはせの せをひろみ こまうちわたし いつかかよはむ
歌番1742 このかはは わたるせもなし もみちはの なかれてふかき いろをみすれは
歌番1743 ひとつせに なみさへさはり ゆくみつの のちもあひなむ いまならすとも
歌番1744 あきかせに やまふきのせの ひひくさへ そらなるくもの さわきあへるかも
歌番1745 はつせかは いくせかわたる わきもこか おきてしくれは やせこそわたれ
歌番1746 なとりかは いくせかわたる ななせとも やせともしらす よるしわたれは
歌番1747 あすかかは せせのうきあわに なかれても やすきいをぬる われとやはしる
歌番1748 おもはしみ あはぬきみゆゑ いたつらに このかはのせに たまもぬらしつ



歌番1749 いせのうみの なみまにくたす つりのをの うちはへひとり こひわたるかな
歌番1750 おしなへて よはみなうみと なりななむ おなしなきさに なみやよすると
歌番1751 わたのそこ かつきてしらむ ひとしれす おもふこころの ふかさくらへに
歌番1752 かつきいてぬ なみたかいその あはひゆゑ うみてふうみは かつきつくしつ
歌番1753 きみこふる なみたのそこに うみはあれと ひとをみるめは おひすそありける
歌番1754 うみとのみ まとゐのなかは なりななむ そなからあはぬ かけのみゆれは
歌番1755 さをさせと そこひもしらぬ わたつうみの ふかきこころを きみはしらなむ
歌番1756 おもひやる こころはうみに わたれとも ふみしなけれは しらすやあるらむ
歌番1757 いせのうみの ちひろのそこも かきりあれは ふかきこころを なににたとへむ
歌番1758 わたのそこ おきをふかめて わかおもふ きみにはあはむ としはへぬとも
歌番1759 なかれゆく みをしおもへは おほかたの うみをみるにも うらみたえせす
歌番1760 ちちのかは なかれてつとふ わたつうみの みなそこふかく おもふころかな
歌番1761 すまのうらに しほやくほのほ ゆふされは ゆきすきかてに やまにたなひく
歌番1762 おほうみに しまもあらなくに うなはらの たゆたふなみに たてるしらくも
歌番1763 うらことに さきちるなみの はなみれは うみにははるも くれぬなりけり
歌番1764 わたつうみの おきのひろせに なかれても ひとのよるせも ありてふものを
歌番1765 なこのうみの あさけのなこり いまもかも いそのうらあわに みたれてあらむ

海人

歌番1766 あひきする あまをとめこか そてとほり ぬれにしころも ほせそかわかす
歌番1767 あひきする あまとやみらむ あきのうらの きよきあらいそを みにこしわれを
歌番1768 わたつうみは つらきこころや ふかからむ あまてふあまの うらみつつふる
歌番1769 いせのうみの あまのしわさの あこやたま とりてののちも こひのしけけむ
歌番1770 うらことに あさりするあまの もとめても こひしきひとに あはむとそおもふ
歌番1771 あまをとめ いさりたくひの おほほしく みてしひとして こひわたるらむ
歌番1772 あさなあさな あまのさをさす うらふかみ およはぬこひも われはするかな
歌番1773 こころして たまもはかれと そてことに ひかりみえぬは あまにさりける
歌番1774 おほみやの うちまてきこゆ あひきすと かこととのへる あまのよひこゑ
歌番1775 しほかまの うらこきつらむ ふねのおとは きしかことくに きくはかなしな
歌番1776 なにはかた おふるたまもを かりそめの あまとそわれは なりぬへらなる
歌番1777 なかなかに きみにこひすは ひこのうらの あまならましを たまもかりつつ

栲縄

歌番1778 たくなはの なかきいのちの をしけくは たえてもひとを みまほしみなり
歌番1779 いせのうみの あまのたくなは くりしあへは ひとにゆつらむと わかおもはなくに
歌番1780 いせのうみの ちひろたくなは くりかへし みてこそやまめ ひとのこころを



歌番1781 なはのうらに しほやくほのほ ゆふされは ゆきすきかてに やまにたなひく
歌番1782 あしまより みちくるしほの いやましに おもひはませと あはぬきみかな
歌番1783 いせのあまの しほやくけふり かせをいたみ おもはぬかたに たなひきにけり
歌番1784 うしまとの なみのしほさゐ しまつつき こひしききみに あはすもあらむ
歌番1785 すまのうらに たまもかりほす あまころも そてみつしほの ひるときやなき
歌番1786 なにはかた しほひしほみち つねなれは おもひおもはす みえぬるものを
歌番1787 けふりにも なれやしぬらむ としふれは しほやくあまに とひもしてしか
歌番1788 あらしほの うつしこころも われはなし よるひるひとを こひしわたれは
歌番1789 なにはかた あさなあさなに みつしほの みちにこそみて かわくよもなし
歌番1790 あゆちかた しほひにけらし ちかのうらに あさこくふねの おきによるみゆ
歌番1791 わたつうみの おきつしほあひに うかふあわの たえぬものから よるかたもなし
歌番1792 おしてるや なにはのうらに やくしほの からくもわれは おいにけるかな
歌番1793 わくらはに とふひとあらは すまのうらに もしほたれつつ わふとこたへよ
歌番1794 すまのうらに しほやくほのほ ゆふされは ゆきすきかてに やまにたなひく
歌番1795 わたつうみの おきのしほせに なかれても ひとのよるせは ありてふものを

塩釜

歌番1796 しほかまの まへにうきたる うきしまの うきておもひの あるよなりけり
歌番1797 わかおもふ こころもしるく みちのくの ちかのしほかま ちかつきにけり
歌番1798 あまふねの かよひこしより しほかまの ほのほいたます おもひつきにき
歌番1799 みちのくの ちかのしほかま ちかなから はるけくのみも おもほゆるかな
歌番1800 わかせこを みやこへやりて しほかまの まかきのしまを まつはくるしも
歌番1801 みちのくは いつくはあれと しほかまの まかきのしまの つなてかなしも
歌番1802 しほかまの うらこきつらむ ふねのおとは ききしかことく きくはかなしな



歌番1803 おほふねの おもひたえにし きみゆけは われはこひしな たたにあふまてに
歌番1804 いてわれを ひとなとかめそ おほふねの ゆたのたゆたに ものおもふころを
歌番1805 みなきこひ おきつこしまに かせをいたみ ふねよりかねつ こころはおもへと
歌番1806 うまやちに ひきふねわたし たたのりに いもかこころに のりてくるかも
歌番1807 あまをふね ほかのはなかと みるまてに とものうらわに なみたてるみゆ
歌番1808 なにはつに けふこそみつの うらことに これやこのよを うみわたるふね
歌番1809 あししとて こきゆくふねは たかしまの ふしをのみちに つきにけるかな
歌番1810 てるつきを くもなかくしそ しまかけに わかふねよせむ とまりしらすも
歌番1811 わたつうみの いつれのかみを いはははか ゆくさむくさも ふねのはやけむ
歌番1812 あちかまの しほつをさして こくふねの なはいひてしを あはさらめやは
歌番1813 かせをいたみ おきつしらなみ たかからし あまのつりふね こきかへるみゆ
歌番1814 うはきよみ おきへさしいつる あまふねの かちとるまなく おもほゆるかも
歌番1815 あふみのうみ なみおそろしみ かせはやみ としはやつむる さすとはなしに
歌番1816 こころから うきたるふねに のりそめて ひとひもなみに ぬれぬひそなき
歌番1817 よもやまを うちこえくれは かさぬひの しまこきかへる たななしをふね
歌番1818 ほのほのと あかしのうらの あさきりに しまかくれゆく ふねをしそおもふ
歌番1819 みつのえの うらしまのこか つりふねも おなしうらにそ みとせこくてふ
歌番1820 おほふねに ほしほかりつみ しみみにも いもかこころに のりにけるかも
歌番1821 よのなかを なににたとへむ あさほらけ こきゆくふねの あとのしらなみ
歌番1822 しらなみの うちこしこふる ときにあはは そこにしつめる ふねもうきなむ
歌番1823 いそにたに おきつをみれは もかりふね あまさへつらし かもかけるみゆ
歌番1824 さしてゆく かたはみなとの なみたかみ うらみてかへる あまのつりふね
歌番1825 しらなみに あきのこのはの うかへるを あまのなかせる ふねかとそおもふ
歌番1826 おひかせの ふきぬるときは こくふねの ほにいててこそ うれしかりけれ
歌番1827 しらなみの あとなきかたに ゆくふねも かせそたよりの しるへなりける
歌番1828 しほせこく かたかけをふね なかるとも いたくなわひそ かちとりゆかむ
歌番1829 ひとみには あまのつりふね おきにいてて つれもなきさに こきもよせなむ
歌番1830 みさこゐる すにをるふねの ゆふしほを まつらむよりは われこそまされ
歌番1831 ゆふされは かちのおときこゆ あまをふね おきつもかりに ふなてすらしも



歌番1832 いせのうみの あまのつりなは うちはへて こひしとのみや おもひわたらむ
歌番1833 いせのうみに つりするあまの きぬよりも われそなみたに そてはひちぬる
歌番1834 かせをいたみ おきつしらなみ たかからし あまのつりふね まかちかへりぬ
歌番1835 いそなるる あまのつりなは うちはへて くるしくもあるか いもにあはすて
歌番1836 いかのあまの つりするをふね うけたえす こころにおもひ いててきにけり



歌番1837 おほふねの たゆたふうみに いかりおろし いかにしてかも わかこひやまむ
歌番1838 あふみのうみ おきこくふねの いかりおろし しのひしきみか ことまつわれを
歌番1839 おひかせに かせはなほりて ふきぬとも あまりいかりに ととまりやせむ



歌番1840 いとへとも なほすみのえの うらにほす あみのめしけき こひもするかな
歌番1841 すみよしの つもりあひきの つりのをの うかひかゆかむ こひつつあらすは
歌番1842 あまふねの へにくりつめる あみのめは つらきこころの かすにさりける
歌番1843 あふことの かたよせにする あみのめに いはけなきまて こひかかりぬる

名告藻

歌番1844 あつさゆみ ひきつのへなる なのりその いつれのうらの あまかかるらむ
歌番1845 みさこゐる あらいそにおふる なのりその わかなつけせよ おひはしぬとも
歌番1846 むらさきの なたかのうらの なのりその いそきなひかむ ときまつわれは



歌番1847 もかりふね いまそなきさに きよすなる みきはのたつの こゑさわくなり
歌番1848 むらさきの なたかのうらの なひきもの こころはいもに よりにしものを
歌番1849 ひとしれぬ こひのくるしさ もかりふね みなといりえに たつそなくなる
歌番1850 いくよしも あらしわかみを なそもかく あまもかるもに おもひみたるる
歌番1851 たまもかる としまをすきて なつくさの こしまかさきに いほりするわれ
歌番1852 しらなみの よせつるたまも よのまにも きみをみすては いもねかねつも
歌番1853 いせのうみに としへてすみし あまなれは いつれのもかは かつきのこせる
歌番1854 うみのそこ おきをふかめて おふるもの いとといましもそ こひはすらしも
歌番1855 いはみかた うらみそふかき おきつなみ うちよするもに うつもるるみは
歌番1856 かせはやみ おきのたまもの くりかへし なみのよるしも なにさわきけむ
歌番1857 ゆふされは しほみちきなむ すみのえの あかしのうらに たまもかりてむ
歌番1858 みなそこに おふるたまもの うちなひき こころをよせて こふるこのころ
歌番1859 おきつかせ ふかまくしらす あらのうみの あさけのふねに たまもかりかね
歌番1860 あらいそこす なみはおそろし しかすかに うみのたまもは にくくやはあらぬ
歌番1861 けふもかも おきつたまもは しらなみの やへをわかうへに みたれてをあらむ
歌番1862 あめはふる かりもはつくる いつのまに あまのしほひに たまもひろはむ

海松

歌番1863 しらなみを をりかけあまの こくふねは いのちにかふる みるめかりにか
歌番1864 おほかたは わかなそみなと こきいてなむ ひとをみるめも おきにこそかれ
歌番1865 たきつせの うつまきことに ととむれと なほもとめつつ よをうきめかな
歌番1866 みつしほの なかれひるまも あひかたみ みるめのうらに よるをこそまて
歌番1867 わたつうみの そこにあれたる みるめをは みふねこきてそ あまはかるてふ
歌番1868 おほろけの あまやはかつく いせのうみの なみたかきうらに おふるみるめは
歌番1869 いせのうみの あさなゆふなに かつくてふ みるめにひとを あくよしもかな
歌番1870 しらなみは たちさわくとも こりすまの うらのみるめは からむとそおもふ
歌番1871 しらなみの をりをりありて くるひとは あまのかるてふ めつらしきかな
歌番1872 うきめのみ うきてみたるる うらなれは かりにのみこそ あまはよるらめ

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