竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

再読、今日のみそひと謌 金

2017年11月17日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 金

集歌1621 吾屋前乃 芽子花咲有 見来益 今二日許 有者将落
訓読 吾が屋前(やと)の萩花咲けり見に来ませいま二日(ふたひ)だみあらば散りなむ
私訳 私の家の萩の花は咲きました。眺めにいらっしゃい。二日ほど経ったなら花は散るでしょう。

集歌1622 吾屋戸乃 秋之芽子開 夕影尓 今毛見師香 妹之光儀乎
訓読 吾が屋戸(やと)の秋し萩咲く夕影(ゆふかけ)に今も見てしか妹し姿を
私訳 私の屋敷に秋の萩の花が咲きました。その夕日に照らされる萩の花の姿に今も見出すでしょう、愛しい貴方の恋人の姿を。

集歌1623 吾屋戸尓 黄變蝦手 毎見 妹乎懸管 不戀日者無
訓読 吾が屋戸(やと)に黄変(もみ)つ鶏冠木(かへるて)見るごとに妹を懸(かけ)つつ恋ひぬ日はなし
私訳 私の家の黄葉する鶏冠木を眺めるたびに、愛しい貴方の恋人を想像して慕わない日はありません。

集歌1624 吾之蒔有 早田之穂立 造有 蘰曽見乍 師弩波世吾背
訓読 吾(あ)し蒔ける早田(わさた)し穂立(ほた)ち造りたる蘰(かづら)ぞ見つつ偲(しの)はせ吾が背
私訳 私が種を蒔いて育てた早稲田の穂の出たので造った蘰を眺めながら、私のことを想像して下さい。私の愛しい人。

集歌1625 吾妹兒之 業跡造有 秋田 早穂乃蘰 雖見不飽可聞
訓読 吾妹児(わぎもこ)し業(なり)と造れる秋し田し早穂(わさほ)の蘰(かづら)見れど飽かぬかも
私訳 私の愛しくかわいい貴女がお仕事として造った秋の田の早稲田の蘰を眺めますが、見飽きることはありません。

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再読、今日のみそひと謌 木

2017年11月16日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 木

集歌1616 毎朝 吾見屋戸乃 瞿麦之 花尓毛君波 有許世奴香裳
訓読 朝ごとに吾が見る屋戸(やど)の撫子(なでしこ)し花にも君はありこせぬかも
私訳 朝が来るたびに私が眺める家の撫子の花にも、貴方の面影はないのでしょうか。

集歌1617 秋芽子尓 置有露乃 風吹而 落涙者 留不勝都毛
訓読 秋萩に置きたる露の風吹きに落つる涙は留(とど)めかねつも
私訳 名残の秋萩に置いている露が、風が吹いてこぼれ落ちるように、貴方に捨てられた私の瞳からこぼれ落ちる涙は留めることができません。

集歌1618 玉尓貫 不令消賜良牟 秋芽子乃 宇礼和々良葉尓 置有白露
訓読 玉に貫(ぬ)き消(け)たず賜(たば)らむ秋萩の末(うれ)撓(わわ)らはに置ける白露
私訳 白玉として紐を貫き、ただの露として消さずに私にお与え下さい。秋萩の枝先を撓むように置いている白露を。

集歌1619 玉桙乃 道者雖遠 愛哉師 妹乎相見尓 出而曽吾来之
訓読 玉桙の道は遠けど愛(は)しきやし妹を相見に出(い)でにぞ吾(あ)が来(こ)し
私訳 美しい鉾を立てる官道のりは遠いけれど、愛しい貴女と互いに逢おうとの訪問です。私は来ました。

集歌1620 荒玉之 月立左右二 来不益者 夢西見乍 思曽吾勢思
訓読 あらたまし月立つさへに来(き)まさねば夢(いめ)にし見つつ思ひぞ吾がせし
私訳 力みなぎる新しい月になっても御出でにならないと、夢だけでもお逢いしたいと想うことを私はしてしまいました。
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再読、今日のみそひと謌 水

2017年11月15日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 水

集歌1611 足日木乃 山下響 鳴鹿之 事乏可母 吾情都末
訓読 あしひきの山下響(とよ)め鳴く鹿し事乏(とも)しかも吾が情(こころ)麗(つま)
私訳 葦や桧の茂る山の麓に声を響かせて鳴く鹿の妻を呼ぶ姿に、ふと、吾を忘れてしまうでしょう。私の愛しい貴女。

集歌1612 神佐夫等 不許者不有 秋草乃 結之紐乎 解者悲哭
訓読 神さぶと不許(いな)ぶにはあらね秋草の結びし紐を解(と)くは悲しも
私訳 神のように年老い長生きているからと断るのではありません。秋草ような歳枯れた私が結んだ衣の紐を、貴方のために解く(=抱かれる)のが恥ずかしいのです。

集歌1613 秋野乎 旦徃鹿乃 跡毛奈久 念之君尓 相有今夜香
訓読 秋し野を朝(あさ)往(い)く鹿の跡(あと)もなく念(おも)ひし君に逢へる今夜(こよひ)か
私訳 秋の野を朝に行く鹿の行方も知れないように、恋の行方も判らずに慕っていた貴方に逢えた今夜です。

集歌1614 九月之 其始鴈乃 使尓毛 念心者 可聞来奴鴨
訓読 九月(ながつき)しその初雁(はつかり)の使(つかひ)にも念(おも)ふ心は聞かも来(こ)ぬかも
私訳 九月になるとやって来る、その初雁の「故郷に戻りたいと云う便りの使い」と云う故事のような私の気持を、お察しにならないでしょうか。

集歌1615 大乃浦之 其長濱尓 縁流浪 寛公乎 念此日
訓読 大(おほ)の浦しその長浜に寄する浪寛(ゆた)けく公を念(おも)ふこの日
私訳 大の浦のその長浜に寄せ来る浪がゆったりとしているように、広い心を持つ貴方を尊敬した今日です。

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再読、今日のみそひと謌 火

2017年11月14日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 火

集歌1606 君待跡 吾戀居者 我屋戸乃 簾令動 秋之風吹
訓読 君待つと吾が恋ひをれば我が屋戸(やと)の簾(すだれ)動かし秋し風吹く
私訳 あの人の訪れを私が恋しく想って待っていると、あの人の訪れのように私の屋敷の簾を揺らして秋の風が吹きました。

集歌1607 風乎谷 戀者乏 風乎谷 将来常思待者 何如将嘆
訓読 風をだに恋ふるは乏(とぼ)し風をだに来(こ)むとし待たば何か嘆(なげ)かむ
私訳 風が簾を動かすだけでも想い人の訪れと、その想い人を恋しく想うことは、もう、私にはありません。あの人の香りだけでも思い出すような風が吹いてこないかなと思えれば、どうして、今の自分を嘆きましょうか。

集歌1608 秋芽子之 上尓置有 白露乃 消可毛思奈萬思 戀管不有者
訓読 秋萩し上(うへ)に置きたる白露の消(け)かもしなまし恋ひつつあらずは
私訳 秋萩の上に置いた白露のようにこの世から消えてしまいましょうか、貴女を恋い慕うだけなら。

集歌1609 宇陀乃野之 秋芽子師弩藝 鳴鹿毛 妻尓戀樂苦 我者不益
訓読 宇陀(うだ)の野し秋萩しのぎ鳴く鹿も妻に恋らくく我は益(まさ)らじ
私訳 宇陀の野の秋萩を押し退けて鳴く鹿も妻に恋い慕いその労苦をも楽しむ、その恋の苦しみを楽しむことは私には出来ない。

集歌1610 高圓之 秋野上乃 瞿麦之花 丁牡香見 人之挿頭師 瞿麦之花
訓読 高円(たかまど)し秋野し上(うへ)の撫子(なでしこ)し花うら若(わか)み人し挿頭(かざし)し撫子(なでしこ)し花
私訳 高円の秋の野のほとりの撫子、その花が若々しいので、初々しい人の髪に挿した撫子の花よ。

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再読、今日のみそひと謌 月

2017年11月13日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 月

集歌1601 目頬布 君之家有 波奈須為寸 穂出秋乃 過良久惜母
訓読 めづらしき君し家なる花(はな)薄(すすき)穂に出(い)づる秋の過ぐらく惜しも
私訳 お慕いする貴方の家に生える花薄、その花穂が出てくる秋が過ぎていくの残念です。

集歌1602 山妣姑乃 相響左右 妻戀尓 鹿鳴山邊尓 獨耳為手
訓読 山彦(やまひこ)の相(あひ)響(とよ)むさへ妻(つま)恋(こ)ひに鹿(か)鳴く山辺(やまへ)に独りのみして
私訳 山彦が響きあうほどに妻を恋うて鹿が啼く山辺に、私独りしか居ない。

集歌1603 項者之 朝開尓聞者 足日木篦 山乎令響 狭尾鹿鳴哭
訓読 項(うなぢ)はし朝開(あさけ)に聞けばあしひきの山を響(とよ)めてさ雄鹿(をしか)鳴くも
私訳 枕許で朝開けに耳を澄ませると、足を引きずるような険しい山に声を響かせて角の立派な鹿が啼いている。
注意 原文の「項者之」の「項」は「頃」の、「山乎令響」の「乎」は「呼」の誤記とし、また「狭尾鹿鳴哭」に「壮」の一字を補記し、つぎのような歌とします。
校訂 頃者之 朝開尓聞者 足日木篦 山呼令響 狭尾壮鹿鳴哭
校訓 このころは朝開(あさけ)に聞けばあしひきの山呼(よ)び響(とよ)めてさ雄鹿(をしか)鳴くも

集歌1604 秋去者 春日山之 黄葉見流 寧樂乃京師乃 荒良久惜毛
訓読 秋されば春日(かすが)し山し黄葉(もみち)見る奈良の都の荒るらく惜しも
私訳 秋がやって来ると春日の山の黄葉を眺める、その景色を眺める処の奈良の都が荒れていくのが残念です。

集歌1605 高圓之 野邊乃秋芽子 此日之 暁露尓 開兼可聞
訓読 高円(たかまど)し野辺の秋萩このころし暁(あかとき)露(つゆ)に咲きにけむかも
私訳 高円の野辺の秋萩よ、この頃の暁の露に遇って、その花が咲いたのでしょう。

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