武産通信

東山三十六峰 月を賞で 雪を楽しみ 花に酔う

月之抄 参 柳生十兵衛 

2016年09月18日 | Weblog
 『月之抄』  柳生十兵衛三厳

   二十七ヶ条之截相之事
 序 上段三つ  中段三つ  下段三つ
 右此ノ上段三つの仕様ハ、斬釘截鉄 大詰 無二剣これ三つなり。
 中段三つの仕様は、右旋 左転 臥切これ三つなり。
 下段三つの遣いようは、小詰 半開半向 獅子忿じん懸これ三つなりと、
 亡父の目録に書せるなり。

 破 上段三つ  中段三つ  下段三つ
 此上段三つは刀棒に三つこれ在り、
 中段三つは切合に三つこれ在り、
 下段三つは折甲に三つこれ在りと亡父目録に有り。

 急  上段三つ  中段三つ  下段三つ
 此上段三つは陰の拵を云う、
 中段三つは陽の拵を云う、
 下段三つは動く拵を云う也。
 仕様はいずれも一拍子なりと亡父の目録に有り。

 また云く、
 序 上段三 中段三 下段三 
 破 上段三 中段三 下段三 
 急 上中下ともにいずれも一拍子と書せる目録も有り。

 また云く、
 序 上段三 中段三 下段三 
 破 刀棒三 切合三 折甲三 
 急 上中下いずれも一拍子と書せる目録あり。

 また急付けたり上、中、下いずれも一拍子なりと書すも有り。

 老父云く、右の太刀を以って、二十七の截相を稽古すれば、大形これにて相済むなり。いずれも太刀を遣うなり。この外に、向上 極意 神妙剣。
 古語に云わく、運二策於幃幄中一、決二勝於千里之外一。
 これ新陰流の極意これにて極まるなり。
 添截、乱截の構えをするものには、無二剣にて勝ち、それを活人剣にて勝ち、向上にて活人剣を勝ち、極意にて向上を勝ち、神妙剣にて極意を勝ちこれに極まるなり。上無き事を云わんために、神妙剣を名付くるなり。是より兵法の心持ち皆一つに成り、一心のきはまりなり。けなげは申すに及ばず、一心の心のはたらき、受用をするに一心なり。心の理りを分け、その理を知る事兵法の根本なり。然るによって心持の習いを専とす。習のいろいろ左の如し。

【抄訳】
   二十七ヶ条の截相の事
 序 上段の型三本、中段の型三本、下段の型三本
 この上段の三本の内容は、斬釘截鉄の型、大詰の型、無二剣の型の三本である。中段の三本は右旋の型、左転の型、臥切の型の三本である。下段の三本は小詰の型、半開半向の型、獅子奮迅の心掛けであると、祖父石舟斎の目録に書いてある。

 破 上段三本、中段三本、下段三本である
 この上段の型の三本は、刀棒の型に三つある。中段の三本は、切合いの型に三本ある。下段の三本は、折甲の型に三つあると、祖父石舟斎の目録に書いてある。

 急 上段三本、中段三本、下段三本である
 この上段の三本は陰のそろえを言う。中段の三本は陽のそろえを言う。下段の三本は動くそろえを言う。その技の使い方はどれも一拍子でやるんだと祖父石舟斎の目録に書いてある。

 また、序 上段三本、中段三本、下段三本
    破 上段三本、中段三本、下段三本
    急 上中下とも何れも一拍子と書いてある目録もある。

 また、序 上段三本、中段三本、下段三本
    破 刀棒三本、切合三本、折甲三本
    急 上中下何れも一拍子という書き方をしているもある。

 さらに急については上、中、下、何れも一拍子であると書いたものもある。

 父宗矩は言う。この型を以て二十七ヵ条の斬り合いを稽古すれば、大方はこれで済む。いづれも刀で行う型である。この他に、向上、極意、神妙剣という型がある。
 古語に言う。陣中の幕の中で、はかりごとをめぐらし、勝利を千里も離れたところでものにする。
 これが新陰流の極意であり、これに極まる。
 添截、乱截の構えをする相手には、無二剣の型で勝つ。無二剣には活人剣の型で勝ち、活人剣には向上の型で、向上には極意で、極意には神妙剣の型で勝ち、この神妙剣で極まる。これより上はないことを言うために神妙剣という。このことにより、兵法の心持ちは皆一つになる。一つの心持ちで極まるのである。けなげに学ぶことは言うに及ばず、一心の心のはたらきを受用をするので、一心である。心の理論を分析し、その理論を知ることが兵法の根本なのである。その為、心持ちの習熟を専らにすること。その習熟について次に述べていくことにする。
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