無法松の一生と言う映画を何度か観たがいつも涙なしには観られない。三船敏郎主演の映画が一番好きだ。忍ぶ恋は誰にももらさぬ恋だから、過去における、忍ぶ恋は文献でも、他の方法でも、記録もされていないので、全然わからない。だから必然的に、忍ぶ恋は小説、ドラマ、映画などでしか知ることができない。明治時代、無学な一介の人力車夫と将校の未亡人との恋愛など、とてもじゃないけどなりたたないのは明白である。若くして夫にさきだたれ、再婚もせずにその忘れ形見を一人で育てる貞節で健気な美しい未亡人。これは古き良き時代の婦人の美徳を体現したものであり、呪縛でもある。そして無法松は人力車夫の分(身の程)を誰よりもわきまえている、と言うことで、必然的に忍ぶ恋が成立してしまう。詳しいことを知らない人は(無法松の一生)を観てもらうことにして、まず第一に無法松を忍ぶ恋の殉教者と祭り上げることにする。無法松の恋こそ男の美しい究極の恋である。