遠まわりする雛/米澤穂信

遠まわりする雛 (角川文庫)
米澤 穂信
角川書店(角川グループパブリッシング)

古典部シリーズの短編集。米澤さんと言えば、のメインシリーズであるところの古典部です。本作は短編集で、今までの長編作品をなぞるように、1年間に間に起きた様々な出来事が描かれています。

最近の米澤作品は、ボトルネック、インシテミル、小市民シリーズなどかなりエッジの利いた、尖った作品が多い印象があります。このシリーズはそんな中でも良い意味で角が取れているというか、安心して読める度では一番ですね。千反田さんと奉太郎の関係もかわいいものです。むしろ里志と伊原さんの関係のほうが複雑でこんがらがっていたりするんですよね。

と、そんな話が「手作りチョコレート事件」。バレンタインに手作りチョコレートを里志に渡そうとする伊原さん。直接手渡しするのでなく、放課後の教室に置いておいたチョコが消えてしまい…。解決に至る推理とかよりも、真相のややこしさが印象的。しかし、誰にもこういうところがあるかもしれない。今が楽しいから、それを変えてしまうのを先延ばししたいというような。

「心当たりのあるものは」は、ある校内放送の内容から、その背景を推理という名の妄想で解き明かしていく、ケメルマンへのオマージュ作品。しかし推理の各ステップには説得力があって納得してしまいます。

「あきましておめでとう」では、奉太郎と千反田さんがある場所に閉じ込められてしまいます。あの手この手で脱出を試みる必死な様子が楽しい。何気ない伏線が次々に発動する、何気ないようでかなりテクニカルな作品。

表題作「遠まわりする雛」。千反田さんから、彼女の地元で行われる行事の手伝いを頼まれた奉太郎。行事の直前に発生したハプニングの原因を推理することに。千反田さんの未来、そして奉太郎との関係に変化を予感させる作品。

その他2作で計6作が収録されています。これぞという傑作こそなかったものの、全体としては安定して楽しめる良い短編集でした。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 1 )
« コレ パンツって... 第5回MMD杯 »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
規約に同意の上 コメント投稿を行ってください。
※文字化け等の原因になりますので、顔文字の利用はお控えください。
下記数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。この数字を読み取っていただくことで自動化されたプログラムによる投稿でないことを確認させていただいております。
数字4桁
 
この記事のトラックバック Ping-URL
 
 
※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
 
 
米澤穂信『遠まわりする雛』 (itchy1976の日記)
遠まわりする雛 (角川文庫)米澤 穂信角川書店(角川グループパブリッシング) 今回は、米澤穂信『遠まわりする雛』を紹介します。古典部シリーズ第4弾になります。今回は、古典部部員4名が入部してから1年間で起きた出来事にまつわる短編集です。短編集の謎解きとしては、....