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猫は勘定にいれません
ジハード(1)(2)(3)/定金伸治
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手持ちの積本が無くなったので、長めのシリーズものを読んでみようと思い立ちました。「ジハード」は定金伸治さんがジャンプ小説大賞という賞を取ってデビューし、以降10年以上にわたり書かれた作品です。僕が読んだのはジャンプJブックス版を一般向けに改稿した集英社文庫版になります。
内容は、史実における12世紀末の第3回十字軍を下敷きに、実在、架空、創作の英雄が入り乱れて活躍する壮大な戦記もの。主人公のアル=アーディル(公正)・ヴァレリーはキリスト教徒でありながら十字軍の在り方に疑念を抱き、イスラム軍の君主サラディンのもとでかつての同胞と闘うという青年。一見すると覇気に欠ける惰弱な人物に見えますが、戦略、戦術に長ける智将として十字軍の圧倒的な戦力に立ち向かっていきます。ヒロインはサラディンの末妹エルシード。美しい少年のような容姿と苛烈な精神を持ち、時に頼りなく見えるヴァレリーに冷たく当たりながらも彼に惹かれていくという役どころです。平たく言えばツンデレ姫。
集英社文庫版は全6巻なので半分まで読んだわけですが、かなり面白いです。もとがラノベだけに読みやすくつるつる入ってくる。十字軍、宗教戦争などという単語から想起されるような重苦しさは皆無と言って良いでしょう。主人公の苦悩が重要なテーマになっているとはいえ、なにしろ性格が飄々としているのでさほど深刻に見えない。エルシード姫の言動なんてギャグとしか思えないものばかり。それだけに、ところどころでヴァレリーが本性を垣間見せるようなシーンの迫力が際立っているのも良いです。
戦記ものとしては、基本的にヴァレリーが負けてばっかりというのが面白いです。異教徒であるゆえに味方から信頼されていなかったり、単純に兵力で劣っていたり、彼に指揮がゆだねられた時点では圧倒的に劣勢の状況だったりと、常に負け戦を強いられる。それゆえ、いかに大きく負けないか、上手く退却するか、敵に兵を引かせるかといった策を講じざるを得ない。さらに敵には"獅子心王"リチャード、ロビン・ロクスリー(ロビンフッド)、ウィルフレッド・アイヴァンホーといった英雄が顔を並べるというドMなシチュエーションがたまりません。
3巻までの状況では、リチャードとの数度の戦いを経て一旦物語から退場していたヴァレリーが帰還し、ウィルフレッド率いるイギリス軍と兵を交えるというところまで。恐らくはここからリチャード王が再度ヴァレリーの前に立ちはだかるような展開になるのでしょうか。史実や伝承から持ってきた登場人物は死なないでしょうが、オリジナルは後半で結構死んだりするんじゃないかと。が、そこまで感情移入するほどキャラに入れ込むような作品でもないので、どうなっても良いです。ルイセ以外は。ルイセは良い娘なので幸せになって欲しい。あとラスカリスもいいヤツ。
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