竹とんぼ

先達の秀句を味わいながら
自得の一句を求めて多作多捨です
古希すぎの晩学で楽しみながらの遅々緩歩です

バスを待ち大路の春をうたがはず 波郷

2017年02月22日 | 波郷鑑賞
今回は石田波郷の春の句10句を鑑賞



バスを待ち大路の春をうたがはず






昭和8年作。
 バスを待つ俳句というのはよく目にするが、とっさにこの波郷句を連想してしまう向きも少なくないはず。
 理屈で考えると、やや散文的な作品とも見えるが、散文か韻文かといえば間違いなく韻文なのである。「うたがはず」の断定的な切れの強さが、春到来の若々しい喜びを伝えてくるからだ。
 この句を見るとき、私は何となく、
  初蝶やわが三十の袖袂
という、後年の句を思い出し、大路に一つの蝶が漂っているさまを想像する。
 この年「馬酔木」では、自選同人制が実施された。そのメンバーに名を連ねたのは、軽部烏頭子、百合山羽公、瀧春一、篠田悌二郎、塚原夜潮、佐野まもる、高屋窓秋、石橋辰之助、五十﨑古郷、相生垣瓜人、佐々木綾香、そして最年少の波郷だった。俳壇では連作俳句、無季俳句などへの試みがさかんになってきた時期だった。
 そんな背景をこの句に重ねて鑑賞してみてもいいかもしれない。




煙草のむ人ならびゆき木々芽ぐむ

あえかなる薔薇撰りをれば春の雷

さくらの芽のはげしさ仰ぎ蹌ける

浅き水のおほかたを蝌蚪のもたげたる

蝌蚪死ぬ土くれ投げつ嘆かるる

春暁の壁の鏡にベツドの燈

春暁の川を煤煙わたりそめ

大阪城ベッドの脚にある春暁

嗽霞を見つつ冷たかりき
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