ハリーと楽しむアジリティー

ミニチュア・プードル ハリーとアジリティーを楽んだ日々の想い出

仙石庭園の広島花崗岩

2017-07-31 20:31:09 | 日記

仙石庭園にある広島県の石---特に広島花崗岩について

1 仙石庭園にある広島県の石、「向原石」、「砂谷石」、「羅漢石」、「滝山川石」とは

仙石庭園にある広島県の石は、主に「向原石」、「砂谷石」、「羅漢石」、「滝山川石」です。

(1)向原(むかいはら)石

「向原石」とは、「高田流紋岩」とも言われている流紋岩質溶結凝灰岩で(独法)産業技術総合研究所地質調査総合センター (編) (2015) 20万分の1日本シームレス地質図(2015年5月29日版)の上では、

◎  №93「後期白亜紀の非アルカリ珪長質火山岩類」約1億年前~6500万年前に噴火した火山の岩石(デイサイト・流紋岩類)

とされていて、旧高田郡を中心に広島県内に広く分布しています。野呂山等の高い山の上の部分や仙酔島等もこれです。

(2)砂谷(さごたに)石

「砂谷石」とは、旧五日市町の北側の旧湯来地方(旧砂谷)の石です。旧砂谷の地質の内で、明らかに「砂谷石」ではない河川堆積物と広島花崗岩を除くと、泥岩、玄武岩、斑レイ岩が「砂谷石」ではないかと思います。

①  泥岩:№64「ペルム紀の付加コンプレックスの基質」約2億9900万年前~2億5100万年前に海溝で複雑に変形した地層(付加体)

②  玄武岩:№67「ペルム紀の付加コンプレックスの玄武岩ブロック(石炭紀-ペルム紀)」約2億9900万年前~2億5100万年前に付加した石炭紀-ペルム紀の玄武岩(海底火山を構成していた岩石の一部)

③  斑レイ岩:№75「ペルム紀の苦鉄質深成岩類(付加コンプレックス中の岩体)」約2億9900万年前~2億5100万年前の付加体中の斑れい岩類

の3種類の岩石、すなわちペルム紀の付加体である泥岩、玄武岩、斑レイ岩だろうと思いますが、暗い茶色の風化したような表面のものと、コバルトブルーの表面のものがあります。何れも、強い磁性を持つ特徴があるのが面白い。

(3)羅漢(らかん)石

「羅漢石」とは、広島県と山口県の県境の名山、羅漢山の石です。羅漢山の地質は

①  №77「超苦鉄質岩類(超塩基性岩:蛇紋岩:オフィオライト)」時代未詳の超苦鉄質岩類(蛇紋岩など)

②  №158「三郡-周防」約2億3000万年前~1億6000万年

からなっていて、そのうちの山頂付近の蛇紋岩類は、「熱変成橄欖岩」と言われています。

(4)滝山(たきやま)川石(広島花崗岩)及び花壇縁石の議院石

広島県の地質で一番大きい面積を占めているのが、「広島花崗岩」とも言われている

◎ №129「後期白亜紀の珪長質深成岩類」約1億年前~6500万年前にマグマが地下の深いところで冷えて固まった花崗岩質の深成岩

で、仙石庭園にある「広島花崗岩」は、「滝山川石」、「大和石」及び「議院石」です。

広島空港傍にある名勝「三景園」では、広島空港造成時に出たこの地の岩石を使って造園した旨が言われていますので、三景園を飾る庭石群も№129広島花崗岩ではないかと思われます。ただし、東部の花崗岩は細粒かな。

2 仙石庭園の滝山川石

仙石庭園にある滝山川石は、入口標石、瀬戸の島々(32)、苑主の思い(73・74)、黄山(79)です。

これ等の石は、いずれも庵治石のように均質でなく、黒い「あばた」のような暗色包有岩が見られます。アバタは、花崗岩に食い取られた捕獲岩(xenolith、ゼノリス)です。滝山川石に観られる捕獲岩は、同化が進行しているようです。花崗岩は揮発性成分が多く、浸透性が強いので、捕獲岩は本来の組成から変化して花崗岩に近いものになってしまっています。 このような花崗岩中の優黒色部分を、シュリーレンとも呼び、花崗岩体の周縁部には特に多いようです。

また、瀬戸の島々(32)の向かって右側の石には縞模様が認められます。マグマだまりでの結晶集積過程を示す無色鉱物と有色鉱物の濃集層の繰り返しで、堆積岩と同じように級化層ができて、マグマだまり中での重力方向を示しています。ただし、この石は据えるときに向きを変えたようです。

組石の黄山(79)には、園内で一番大きな約24トンの巨石があります。

黄山組石の向かって左側にある石は、縦にゆらゆらと曲がりくねった幾筋かの境界が不明瞭な紋様が見られます。これは、完全に固結する前に、体積収縮でできた隙間に周囲から残液がしみ出すことでできた脈で、豆腐に”す”が入ったものみたいです。しかしながら、この黄山を構成している組石の花崗岩の巨石の一部には結晶が他の部分よりかなり大きい箇所や、不思議な穴が開いた箇所もあり、この箇所はペグマタイト化しているのかなと思われます。

3 「議院石」は、花壇の縁取りに使われている雑割石です。建材に使われるものに比べて質が悪いので安価とも聞いていますが、それでも、広島県を代表する「議院石」が仙石庭園にあることが嬉しいですね。

4 私、幸いにも7月下旬に倉橋島に行く機会がありました。岩石を観察する目的で行ったわけではないので、詳しい調査ではありませんが、広島花崗岩の本場で、直に美しい石に触れることができて幸いでした。

この倉橋島の地質図は、地域地質研究報告「倉橋島及び柱島地域の地質」松浦浩久の報告から抜粋した地質図(桂が浜、納地区

は私が記入)ですが、倉橋島は全島ほとんど花崗岩の島です。

倉橋島の本浦(桂が浜のある地区)に着くと、いきなり奇岩が待っていた。この岩が黄土色をしているのは、苔が枯れ死したためのようです。

 

桂が浜は神社の石段や灯篭、石橋とみんな見事な広島花崗岩でできている。議院石や桂ヶ浜の説明は、パンフレットで照会します。

 

 

 

 

 

 

平安時代から遣新羅使船、遣唐使船、千石船などの当時最先端の木造船を作ってきたこの地は、今は広島県で最も水のきれいな海水浴場になっています。砂浜に流れ込む浅い綺麗な小川には、大きなチヌが群れていました。

 

 

 


珊瑚藻球石灰岩

2017-07-24 14:23:17 | 日記

 

 723日の日曜日に仙石庭園を訪ねたら、金目孟宗竹の辺りに新しい磨き石のテーブルセットが据えられていた。

 椅子は、明らかに石英片岩で少し紅レン石ができている。それはわかる。しかし、テーブルは見たことのない不思議な石でした。ウーン。設置者である苑主の山名先生、次から次へと難題を出してくれます。私にはどのような岩石かさっぱり見当が付きません。

 幸いに、この日沖村先生がいらしたので、早速カンニング、お聞きしました。

 「珊瑚藻球石灰岩が、苦灰石化、珪化したもの。極めて珍しいもの」との鑑定をいただきました。また、「台湾(稀に南西諸島でも)付近で見られる。」とのことでした。

 石は、本当に奥深いですね。

 先生の解説によると、赤茶色の部分は、石灰岩が残っている部分。赤茶色の球状部分を取り囲む白っぽい透明部分は、長い年月でカルシュームに置き換わった石英です。すると、石英の部分の外側に白い微粉のようなものが見えますが、非常に小さなクラスター水晶のようなものでしょうか。


広島と島根の県境辺りにある素晴らしい自然博物館

2017-07-02 15:48:14 | 日記

 広島と島根の中国山地には、県境を挟んで2つの素晴らしい自然博物館があります。

 広島県側の「庄原市立比和自然科学博物館」については、以前にこのblogの記事「シルクロードは海だった(庄原市立比和自然科学博物館特別展講演)2015-07-26 」において書いたので、今回は島根県側の「奥出雲多根自然博物館」島根県仁多郡奥出雲町佐白236-1  TEL 0854-54-0003 を紹介します。


 博物館の玄関前には、迫力満点の恐竜生体の想像レプリカが飾られています。これは、館内に化石を展示しているエウオプロケファルスです。

 この博物館は、建物の1階部分に展示スペースがあり、上の階は研修や宿泊施設となっています。 展示概要は、次のとおりですが、私は主に「宇宙と地球のクロニカル」の「鉱物・岩石」を観ました。

◎ Space iコーナー(3階ロビー)

◎ 恐竜の化石たち  恐竜の化石を、嗜好を凝らした方法で展示

◎ 宇宙と地球のクロニカル  地球の歴史を探るタイムトンネル  「鉱物・岩石」のコーナーがある

◎ 海-LaMer-海の生物が辿った道 太古の海の世界へ潜ってみよう!

「鉱物・岩石」のコーナーには、様々な鉱物&岩石が展示されいてる。

(様々な水晶)

(方解石)

(氷長石)

(石膏)

 水晶だけでも色々あって、形が似ている方解石、石膏、氷長石、蛍石などがある。

(珪化木)

(オパール)

 成分が水晶に似ている、珪化木、メノウ、オパールもある。

(ザクロ石=ガーネット)

(ベリル)

(トパーズ)

(ダイヤモンド)

 鉱物(美しく、硬く、貴重な鉱物=宝石)は他にザクロ石、ザクロ石片麻岩(岩石)、エクロジャイト(岩石)、輝石(ヒスイ)、スピネル、ベリル、トパーズ、ダイヤモンドなどがある。愛媛県土居町東赤石山産のこのエクロジャイトは、多分、関川の川石ではないか?ザクロ石は、多分、苦礬柘榴石ではないか?と思いました。

(様々な黄鉄鉱)

(ルチル&磁鉄鉱)

 金属原石では、黄鉄鉱、軟マンガン鉱、鉄マンガン鉱、マンガン重石、金紅石、磁鉄鉱

がある。

(エクロジャイト)

 岩石には、孔雀石、黒曜石、黒雲母花崗岩、黒雲母片麻岩、アプライト、日御碕のデイサイト柱状節理、粗面玄武岩など色々ある。