ヒッキーはつむじ風!!

ヒッキーが観て気に入った映画を、ブログで紹介します。

「評決」

2012-06-22 16:48:32 | Weblog

                                 「評決」

この作品も公開当初には観る機会がなかったが、しばらくして名画座での上映で観たのを憶えている。今回DVDで二度目。

ボストンで起き、闇に葬られようとしていた「医療過誤」事件の裁判を、アル中の弁護士フランク・ギャルビン(ポール・ニューマン)が法廷で戦う社会派(?)ドラマ。
短く言っちゃうと、そんな感じです~・・。

この作品は、同じ“法廷劇”として名高い「十二人の怒れる男」でメガホンをとったシドニー・ルメット監督の、“再びの”法廷モノです。

ネタバレあります・・。

主人公の弁護士フランク・ギャルビン。
かつては有能で将来を嘱望された彼であったが、今はアル中でまともな仕事も出来ない・・。新聞の「死亡者覧」を見て、金になりそうな水知らずの人の葬儀に顔を出しては、名刺を配る毎日・・。
暇があれば酒場でピン・ボールをしながらウィスキーをあおっている・・。

そんな彼を見かねて、友人のミッキー(ジャック・ウォーデン)が、「簡単に示談が成立しそうな案件」をもってきた。

原告は数年前に医療過誤(と思われる)によって植物状態にされた女性とその妹夫婦。
病院側と医師二名を提訴するものであった。

病院側は事が大っぴらになるのを恐れて、21万ドルの示談金を提示してきた。
この示談が成立すれば、三分の一の7万ドルが手に入るギャルビンは、飛び上がって喜んだ・・。
その夜立ち寄ったバーでフランクは、ローラ(シャーロット・ランプリング)と出逢う。
「ツキがまわってきた!」


フランクは示談に使う資料にするために、原告の植物状態の女性の病室へポラロイドカメラを持ってきて写真の撮影を始めた。

写真を撮って、何枚も写真を撮っていくうちに・・・フランクはふと、ファインダー越しの女性の「感覚と意識を奪われた」姿に・・何か自分の中で、何かが変わるのを感じ始めた・・。

とまあ、こんな感じなのですが、
この「フランクの心の動く過程」が、余りにも短いのが残念。
商業ベースで2時間前後にまとめなければならなかったのかもしれませんが・・。
しかし、ちょっと短いかな・・・と。
ポラロイドのシーンで何かを感じて、次のシークエンスではもう示談を蹴っちゃってますから・・・。間に幾つかのエピソードがあればなぁ・・と思うのですが・・。

そして本作のフランク・ギャルビンは、21万ドルの示談金を蹴ったことで、被告の医師及び病院、その弁護団、判事、さらには原告(妹夫婦)からも白眼視されてしまいます。そして貴重な証人までも奪われ、心を許していたローラまでもが・・・。
まさに「孤立無援」になってしまいます。

ローラを演じたシャーロット・ランプリングは、いわゆる「ポイントの低い役」でしたが、影がある感じで素敵でした。適役だったと思います。

フランクの友人ミッキーを演じたジャック・ウォーデンは悠々たる貫禄。
彼は前述の「十二人の~」に、陪審員7番の役(ヤンキースの試合ばかり気にしているケッコウいい加減で主体性のない陪審員でしたな)で出演していたのですな。

そして主人公フランク・ギャルビンを演じたポール・ニューマン。
私的には、「スティング」の時の詐欺師ヘンリー・ゴンドーフ役がイチバン好きですが、
本作でも感情を抑えめで「内に秘める闘志」って奴ですか、いい感じを出していたので、最初観たとき、オスカーあげたかったなぁ・・と思ったのを憶えています(確かこれより後に出演した「ハスラー2」でもらったような記憶があります。)
この「評決」が公開された年は、「ガンジー」も公開されていて、そっちにかなり行っちゃったような・・。

ストーリー終盤で、フランクたちがやっと見つけた、只ひとりの証人「事故当日、受付をやっていた看護婦」の心から搾り出すような証言が、陪審員たちの心を動かします。

しかしその証言さえ判事は、「今の証人の事は、記憶から抹殺してください」

全ての証拠を抹殺されたフランクの、「最終弁論」が始まります・・・。

「十二人の~」が、陪審員室の中だけ(厳密には冒頭とラストはちがいますが)を描いているのに対し、本作は「陪審員室の中が全く描かれない(ストーリーの必然性からですが)」という違いがあります。

この「描かれない陪審員室で出された結論」が胸を打ちます。

これ程の内容なのだから、2時間半もしくはもっと長尺くらいのほうが、キャラクターの心の変化を表現しやすいと思うのだが、124分くらいで終わりになるのはやはり「商業ベース」いたしかたなし、というところか・・。

戦いの決着がついて・・・・とても静かなエンディング・・。
好感がもてます(^^♪


ひきばっち的満足度★★★★








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「ヤング・ゼネレーション」

2012-06-19 07:36:37 | Weblog

                             「ヤング・ゼネレーション」

この作品も数年前にDVDで観て、今回が2度目。

私が田舎の中学生だった頃、「ロードショー」か「スクリーン」どちらの雑誌か忘れたが、
この映画の特集があって、「見たいなぁ」と思ったのを憶えている。
小遣いが足りなかったのか、ウチの街では上映されなかったのか定かではないが、その時は見逃してしまった・・(+o+)

しかし改めて思うが、この「ヤング・ゼネレーション」という邦題を考えた人はスゴいと思う(苦笑)
この作品の原題は「Breaking Away」。よくは解らないが、「スポーツなどで、相手をぶっち切る」であるとか、転じて“人生の壁をぶち破る”的なニュアンスかなと思うのだが・・。

「ヤング・ゼネレーション」!そうきたか・・・(゜∀。)参りました・・。

ネタバレあります。

アメリカ・インディアナ州の町ブルーミントンは、町の人口の大半が大学生である「大学町」・・。

高校を卒業したばかりのデイヴ(デニス・クリストファー)、マイク(デニス・クエイド)、シリル(ダニエル・スターン)、ムーチャ(ジャッキー・アール・ヘイリー)の4人は、自分の生き方を模索しながら、採石現場の跡地にある池に集まってはくすぶる毎日・・。
4人は大学生達から“カッターズ(石切り屋)”と呼ばれ、田舎者扱いされてバカにされていた・・。

そんな折、デイヴは大学生のキャサリン(ロビン・ダグラス)に一目惚れしてしまい、思わず「自分はイタリアからの留学生」と、嘘をついてしまう・・。

そしてデイヴは憧れのイタリア自転車チームと一緒にレースに参加する機会が!

しかし彼は、イタリア自転車チームの悪質な妨害によって転倒。
デイヴのイタリアへの憧れも、そして彼の素性を知ったキャサリンとの愛までもが、消えていった・・。

そして4人は、ひょんなことから大学の学食で、大学生と大乱闘を起こしてしまう・・。

このことを知った大学当局は、「大学生と地元の青年達が競うのならば、毎年恒例の自転車レース(Little500)で正々堂々と競いなさい」と表明。
地元4人「カッターズ」の(Little500)への参加を許可したのであった。

しかし、大学生と「カッターズ」では、実力はもちろんだが、自転車の性能においても歴然とした差がある。

デイヴはガレージにこもり、1台しかない自転車のチューン・アップを始めるのだった・・。


あとは映画を観てくださひ~・・。

ストーリー中盤くらいまで、今ひとつ盛り上がりに欠けるかな~・・と思っていましたが、石切り場の池でマイクが、大学生と泳ぎを競うシーンあたりから、ちょっとずつ盛り上がって来ました。

さらに、デイヴの転倒が、物語をちょいとシリアスにするきっかけになっています。

そして、何といっても、ガレージ内での自転車チューン・アップのシーンですね。
ここにヤング・ゼネレーションのテーマ曲らしき旋律がかぶります。胸が高鳴るシーンです(^^♪

ラストのレースシーンは、まぁ、予想はついちゃいますけども、清々しい気分になりますな。ブレイキング・アウェイって感じ(??)っす。

音楽としては、前述の「テーマっぽい旋律」以外は、クラシックっぽい(オリジナルかどうか判りません)曲が随所に使われております。
私的には、その「テーマっぽい旋律」をもっとなぞったように、作品中に使ってもらえれば、さらに感動が増したような気がします。

キャラクター的には、4人がそれぞれ個性のある若者を上手く演じていたと思います。
主演格のデイヴを演じたデニス・クリストファー。カッコイイっす。でもコミカルな演技も出来ちゃう。イタリアの歌を歌いながらスネ毛を剃っているシーンが印象的でした(笑)

マイクを演じたデニス・クエイドもよかったっす(^^♪
行き場のないエネルギーを持て余すキャラクターを上手く演じていました。
俳優さんにあまり詳しくない私は最初、「トム・クルーズか??」と思ってしまいました(笑)

ラストにデイヴが今度はフランスかぶれになってend・・・。
カラッとした締めくくりが上手いなぁ、と思いました。




ひきばっち的満足度★★★☆







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「アメリカン・ギャングスター」

2012-06-17 19:13:29 | Weblog

                        「アメリカン・ギャングスター」

この作品は、私の好きなリドリー・スコット監督作であり、さらにお気に入りのラッセル・クロウ主演なので(デンゼル・ワシントンが嫌いという訳ではありません(汗)、公開当時にすごく観たかったのを憶えています。

結局、去年くらいにDVDを借りて初めて観ました。今回が2度目。

「事実に基づいた話」ということで、同じリドリー・スコットの“ギャング物”である「ブラック・レイン」のような、大きな山場はココじゃー!!・・・という作りとは少し違いますな・・。

ストーリーがかなり組んず解れつ絡み合っているので、枝葉末節省きますが・・。

1960年代の終わり頃に、ハーレムの父的存在であったバンピー・ジョンソンが国を憂いつつ逝去し、彼の右腕であったフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)が後を継いだ。

フランクは、バンピーがそれまでやってきた「商売」のやり方をガラリと変え、マフィアでもやっていない「東アジアからの純度の高い麻薬の直輸入及びその安価な販売」を行う。

いきおい、今まで保たれていた麻薬販売に関するバランスがくずれ、フランクは大きな成功と引き換えに「大勢からのの恨み」をかうことになった・・。

一方、ニューヨーク市警の「融通がまったくきかない(笑)バカ正直」な刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)は捜査過程で偶然見つけた100万ドルを、バカ正直に警察署に持ち帰り(この頃はこれ位だともらっちゃうのが当然だったようですな)、同僚の刑事から白い目で見られておりましたが・・。

リッチーは市警でも「麻薬捜査」の部署におったのですが、自分以外の刑事は取り締まるどころか、密売人から金をピンハネするやら、挙句の果ては麻薬を横取りして、それを薄めてジャンキーたちに売りつけるという始末でした・・。

しかし、リッチーにうってつけの異動がありました。
「絶対に密売人などから金や麻薬を受け取らない」というハード・ボイルドな連中のみで構成された「麻薬特捜班」(ニューヨーク市警とは別個)への異動でした。

リッチー達はジワリ、ジワリと、麻薬の密売ルートを辿っていきます・・。
やがて、リッチーは、「フランク・ルーカス」という人物にたどりつきますが・・。

あとは映画を観てくださひ~・・。

映画冒頭、バンピー・ジョンソンが大型電器店の前でフランクに、「“進歩”とはなんだ・・大型電器店の出現が、仲介業者を切り捨てる・・・ソニー、トウシバ・・アジアの製品がアメリカ人から職を奪う・・・」
当時の情勢は大まかにしか解らないが、耳の痛いセリフだ。

物語は凄くギュッと詰まっている感じで、1回見ただけではちょいと読めない部分もあるかなと(オレだけか)
ディテールの部分、例えば麻薬密輸発見のために、ベトナム戦争の戦死者用の棺をどこまで追いかけて、どうして「ビンゴ!」なのか、とか。
2,3回観てやっと解ったりする。
個人的に気に入ったシーンは、フランクが母親に平手打ちを喰らうくだりだ。
麻薬密売を牛耳るフランク・ルーカスを平手打ち出来るのは、やはり「ママ」だけなのだ。
総じてとても“タイト”な筋書きではないかと感じました・・。

映像的には、「画面が総じて薄暗い(笑)」のはいつものリドリー・スコット風ともいえるが、「ブレードランナー」「ブラック・レイン」もしくは「ワールド・オブ・ライズ」でよく見られた「紅」「朱」「夕日の太陽の光」のような色彩は余り無い。
色調を抑え目にした分、作品がなお引き締まって(??)見えるのかもしれない。

ストーリーの繋ぎ目となる部分で、当時流行った(厳密にはかなり時代がずれているのもあるみたいですが)ファンクやソウルなどのブラック・ミュージックが流れる。時代感が出ていて、好きです(^^♪
ラスト・シーンで1990年代初頭にフランクが出所するときにラップが流れるのもミソ。

デンゼル・ワシントンは鋭利で尖ったイメージのフランクを演じてとてもよかった。
悪役なんだけれども、真の意味では悪人ではない、という微妙なニュアンスがよく出ていたように思う。

ラッセル・クロウは私が好きな男優さんなので、採点甘めになっちゃいますな。
今回は抑え目(?)の演技だったのではないでしょうか・・。「グラディエーター」はともかく「消されたヘッドライン」などでの演技に比べても、抑えて抑えて、のような。
しかし、いつもながら「その役になりきる」、ラッセル・クロウ、硬派のような、そうでもないような・・難しい役でしたが私的にはOKでした・・・。

しかし、これが「事実に基づく」って、・・・スゴすぎる(゜∀。)



ひきばっち的満足度★★★★






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「U-ボート(ディレクターズ・カット)」

2012-06-12 13:24:26 | Weblog

                       「U-ボート(ディレクターズ・カット)」

優に3時間を超える「大作」。

しかし、大作の割には、出てくるのはU-ボートの狭い船内と海面の映像でおおむね九割。

それでも見ているこちらを飽きさせない演出とカメラワーク。そして「なかなかこれは本物っぽいねぇ」と思わず呟いてしまう「U-ボート船内」の様子(実際は、1850万ドルの制作費をつぎ込んで、「実物大レプリカ」を作ったというから、それはそれでびっくり)

ネタバレあります・・・。

ユルゲン・プロホノフ演ずるU-ボートの艦長。渋い。ニヒルだ。ストーリーの緊迫感を、彼の眉間のシワと表情でもってキープし続ける。さすがだ。

物語の主役であるこのU-ボート「U96」はフランス大西洋岸のラ・ロシェルを出発。おそらくビスケー湾近辺で、連合国側の輸送船の撃沈を目的としていたものと思われる。

しかし間もなく、艦長はどういうわけか駆逐艦との勝負という“暴挙”に出る。
(駆逐艦は、U-ボートのような潜水艦を破壊沈没するために作られたいわば“潜水艦殺し”のエキスパート)

このあたりのシークエンスで、ペーターゼン監督は、U-ボートに対する「駆逐艦」の脅威の程を、映画を見る者にまず示したかったのではないかと思われる。

この頃の駆逐艦の爆雷は、まだ旧式なので(新式は「ヘッジホッグ」と呼ばれる)駆逐艦がU-ボートの「真上」を通過しないと爆雷としての意味がない(下に落としてドンッというタイプ)

映画ではまさにその爆雷を受けるU96の船内が生々しく描かれている。
しかし、それはまさに、小手調べのようなものであった・・。

この映画は、狭い船内の人間模様も映し出す。
従軍記者として乗船したヴェルナー少尉(ヘルベルト・グレーネマイヤー)の向かいのベッドには、まだ若いウルマン少尉(マルティン・マイ)が。
ウルマンは「占領下のフランスのあの街の花屋にいたフランス人の娘と、秘かに婚約している」ことをヴェルナーに打ち明ける・・。

このシークエンスでなんとも解らなかったのが、“自分の国が軍事力によって占領している他国の娘と恋仲になる”というニュアンスだ。ダメって言ってんじゃないっすよ(^^♪。ただ、不思議な感覚ではある・・。
そのような状況になった者にしか解らないことであろうが・・。

それからしばらく航海を続けたU96は在る日、数隻の船団を発見。連合国側の船だ。
ドイツ側にとっては“いいカモ”。
U96はここで、連合国側の反撃に遭いながらも、全ての敵船の破壊に成功する。
しかし、燃え盛り、沈みゆく船から敵兵が海原へ身を投げていく光景に、U96の若き従軍記者とドイツ兵たちは“戦争は人の殺し合い”という厳然たる事実を見ていた・・。

そしてこの映画のハイライト、「ジブラルタル突破作戦」です。
U96に新たに出された任務が、「シブラルタル海峡を突破し、イタリアへ向かえ」というものでした。
ジブラルタル海峡は、地図を見ていただければわかるのですが、スペインとモロッコの間、僅か13Kmしかない海峡で、劇中の若いドイツ兵いわく「処女より狭い」海峡です。「津軽海峡」が、最短部分で約20Kmですから、ジブラルタルの距離はそれより短いということでびっくり。

艦長はU96を潜らせたまま、潮の流れに乗せて一気に突破する作戦を実行しますが・・。

端的に言えばこの作戦は失敗に終わります。
連合軍の激しい爆雷攻撃。この時の船内はまさに修羅場。

U96は破損部位からの冠水とバッテリーの故障でエンジンが動かなくなり、海中深く沈み始めます・・・。

ここから先は、ぜひ、映画を観てください(^^♪。

ラストは、まぁ、そう来るだろう、という感じですが、万々歳で終わる訳にもいかないので、まぁ納得のエンディングでした。

追記.しかし、第二次大戦が終わった時の条約で「ドイツは戦争映画を作ってはならない」というのがあったような気がしたのですが・・・1981年頃はもうよかったのかな・・・??



ひきばっち的満足度★★★★





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「TATTOO[刺青]あり」

2012-06-05 16:38:21 | Weblog

                             「TATTOO[刺青]あり」

1979(昭和54)年・1月26日に大阪で起きた「三菱銀行人質事件」をベースとして、この映画は作られている。

といっても、事件発生後の、「立てこもり」状態での、当時報道が伝えたいわば「事件中」の事については、この作品は殆んどふれていない。

映画は、この事件を起こすことになる竹田明夫(宇崎竜童)の少年時代から20代の頃の生き様に焦点が当てられる。

とても母親思い。「田舎のかあちゃんを楽に・・」というセリフがよく出てくる。

お金に几帳面。数百円の借りでもきちっと手帳に書いて、必ず返す。これは後に銀行強盗を起こす人とは思えない・・根幹の部分はきっと几帳面なのかもしれない。

読書家であるというシークエンスが出てきます。大藪春彦をはじめに「ニーチェやフロイトはまあまあやったけど・・」ってびっくりしました!

射撃の名手。クレー射撃のシーンが出てきますな。あそこまで百発百中だったかどうかは判りませんが・・。

そんな明夫は、15才で強盗殺人、20才でようやく保護監察処分取り消しとなる・・。
ほどなく、自分が勤めるナイトクラブのホステス、三千代(関根恵子)と暮らし始める。
いつもながらですが、関根恵子さん綺麗
高橋伴明監督が決起(?)したのも解りまっす!

しかし竹田の唯一の欠点は、怒り出すと手が付けられない、ことで、三千代への暴力も、彼女は我慢の限界に来てしまいました・・。

三千代は去って行きました。
一人になった竹田は、以前から言っていた言葉をまたつぶやきます・・。
「30才になる前に、何かどデカイことをやるんじゃ・・母ちゃんとの約束なんじゃ・・」

そしてあの日、猟銃を持った彼は、銀行に向かったのです・・。

「バイオレンス・スペクタクル・ムービー」ととらえるならば、明らかに事件中のシーンがハイライトとしてあったほうが良いとは思いますが、本作は実際にしかもそれほど昔ではない過去に起きた事件を基にしている、というのが一つ。
そして、その後の報道等で分ったのですが、「現場は凄惨を極めた」ということ。

そして何より高橋監督は、本作のような映画を作りたかったのではないか、と思うわけであります。

四国から緊急ヘリで母親が現場に到着するも、足かけ3日間に及ぶ立てこもりの末、竹田は第2機動隊・零(ゼロ)中隊によって射殺される。

大阪警察病院で検死される際に、検死官が服を脱がせると、竹田の肩にはTATTOOがあった・・。





ひきばっち的満足度★★★☆




「桜田門外ノ変」

2012-06-03 07:30:37 | Weblog

                          「桜田門外の変」

私、歴史あまり詳しくないので、「桜田門外の変」という出来事があった、くらいしか解らずに(汗)鑑賞となりました。

オープニングの「絵地図と解説ナレーション」には拍子抜けしましたが・・(+o+)

ストーリーの時系列が前後するので、結構考えないと、ありゃ・・・(゜∀。)このシーンは・・??となってしまうです。

物語はオープニングして間もなく「決戦前夜」になる。
そして程なく「その日」へと舞台は進む。
「こんなに早く一番の“見せ場”が来て、いいのかなぁ・・」と心配になるほど、早い。

その「たてまつる!」で始まる「桜田門外の変」


凄い迫力だ。“切っても切っても敵がまた立ち上が”ってくる(?)のか、かなり長い“見せ場”だ。
しかし息もつかせぬ殺陣、見ているこちらも力が入る。
人間て、やはり血の色に反応するのだろうか。芝居だと判っていても、「いけー!」などと心拍数も上がる。

井伊直弼がのっている駕籠に浪士が切り込む段では、私も見届け人になったような気分で「見事でござった」とえらそうにうなずいた。

映画はこのあと、「桜田門外の変」に至るまでの経緯を、時系列を戻して描く。

安政の大獄。はずかしながら、この作品でほぼ初めてどういうものか知りました。
吉田松陰がこれで死罪になったのが29才!そんな若くして、とは知りませんでした。

そして物語は、水戸浪士一人ひとりの最期を映し出してゆく。

決戦中に討死した稲田重蔵(田中要次)を筆頭に・・。

主人公・関鉄之介(大沢たかお)の家の家宅捜索(?)の場面は胸が詰まった。
加藤清史郎君、恐るべし・・・。

ラスト近くの死罪言い渡しのシーンで、一人ひとりの年齢が出る。
二十代、三十代で散っていった浪士の多さに驚く。

最後、関が刑場の露と消えるエンディングまで、「桜田門外の変」のシーンからかなり時間が経っているので、少々ストーリーが間延びした感はあるが、
決起した浪士たちの強い志は十分伝わって来る作品だった。

追記.エンディングの歌、どうなのかな~。インストのほうがよかったような気がします・・・。




ひきばっち的満足度★★★☆






「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」

2012-06-02 09:27:51 | Weblog

                          「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」

「ディア・ハンター」で、その名を世に知らしめたマイケル・チミノ監督が、次の「天国の門」で大コケして、映画会社1つがポシャっちゃったというのは結構有名な話・・・(私は「天国の門」未見です)。

そのチミノ監督がリハビリ(?)期間を経て、起死回生の一撃(になったのかな?)として作ったのが、この「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」。

私は本作を23年程前(約四半世紀!)に観て、ミッキー・ロークジョン・ローンの“男のせめぎ合い”を堪能した記憶がある。

この作品の見どころの一つは、ニューヨークのチャイナタウンの絢爛豪華な「表」の部分と、チャイニーズ・マフィアたちの「裏」の部分のコントラストだ。華僑たちの華やかな祭りに紛れて、麻薬密売の内部抗争が進んでゆく・・。

ネタバレあります・・。

本作のびっくりシーンのひとつは大きな中国料理店で起きる無差別殺戮のシークエンス。
なかなか、ハード・ボイルド。インパクト大です。
この作品の数年後に作られることになる「ゴッドファーザーpart3」のヘリコプターからの殺戮シーンに影響を与えたかどうかは判らないが、雰囲気は似ている。

ストーリー的には、
チャイナタウンを裏側で牛耳らんとするチャイニーズ・マフィアの若きボス、ジョーイ・タイ(ジョン・ローン)と、彼らを殲滅させるために突っ走る向う見ずな刑事スタンリー(ミッキー・ローク)との激烈な攻防・・そこに正義感の強い、TVの報道キャスターである中国系アメリカ人トレイシー(アリアーヌ・コイズミ)が絡んでゆく・・。

とにかく刑事スタンリーが突っ走るわけですよ。
「みじんの悪も許さない」的なキャラクターなんですな。
現実にいたら友達にはなりたくないです(笑)

しかしこの映画に関しては、スタンリーの過剰な正義感と無鉄砲さにビリビリきちゃうんです。
ふり切れているんです。考えが(どっち方向か知らんけど)

しかしその正義感のせいで、犠牲になってゆく人たちが・・。
スタンリー本人は難をのがれたが、見せしめとして、妻のコニー(カロライン・カヴァ)が殺されてしまいます・・。

そして潜伏捜査に入っていた中国系の若い刑事ハーバートも・・。

さらには事件を報道していたトレイシーにも毒牙が・・。

23年前に、一緒にこの映画を観た先輩が「この主人公(スタンリー)キライ!!自己中で自分勝手なんだもん」と言っていたのを思い出しました・・。
映画的にはオモシロイキャラクターなんだけどな~・・・。

エンディングですよ問題は。
「オレが間違っていたようだ」ってスタンリーとトレイシーが抱き合ってキスをして・・・ええっ・・!・・(゜∀。)チミノ監督ぅ~・・(汗)。



ひきばっち的満足度★★★★