Chimney角屋のClimbing log

基本的にはクライミングの日記ですが、ハイキング、マウンテンバイク、スキー、スノーボードなども登場するかも・・・。

クライミングをしたことのない人に聞かせたいクライミングの話

2016-12-07 01:10:42 | 山とクライミングの話

 スポーツクライミングが2020年の東京オリンピックの公式種目になり、都内を中心に日本の各地にクライミングジムが急激に増加しているようです。

もし渋谷の交差点で「クライミングをしたことのある人、いますかー?」と叫んだら、何人かの方は手を挙げるくらいにクライミングは認知されたスポーツになってきたような気がします。各地にクライミングジムができ、テレビでもスポーツクライミングが取り上げられる機会が増え、比較的手軽に体験できるスポーツになってきたように感じます。クライマーのファッションも一般的になっているような気がしますし、今ならクライミングウェアーを街できていても違和感がありません。

でも私がクライミングを始めた30年くらい前は、登山用ウェアーとしてのウェアーはありましたが、フリークライミングウェアーというのはグラミチくらいで、街で着ているとかなり違和感があったようです。私はその頃、グラミチのTシャツとズボンで、品川プリンスのトイレに入ったら、警備員に後をつけられました。不審者に思われたのでしょうね。それ以前のフリークライマーは、定職に就かず、岩場の近くで生活し、お金が無くなると街に戻って小遣い稼ぎをして、少しお金がたまると岩場に戻ってくる、いわゆる「バム」が多かったのですね。しかもいでたちは反社会的勢力のようなヒッピースタイルが多かったので、まっとうな社会人から見ればかなり異質な人種だったのだと思います。

今はジムに行っても岩場に行っても、ほとんどまっとうな社会人のレジャーやスポーツの場になっています。岩に触ったことがなくてもジムで強くなるクライマーのほうが多くなってきたようにも思います。人の殺し合いがスポーツになるくらいだから、危険な岩登りがスポーツになるくらいは全然不思議でもないのですね。

持論ですが、クライミングというのは本質的には冒険です。スポーツとして始めて冒険の世界を知るクライマーが増えていますが、それも良いと思います。本物の岩場でも、あらかじめボルトというプロテクションが設置されているスポートルートが多いのですが、さらに冒険的なのは、自分で何も人工物のない岩にプロテクションを設置しながら登るクライミングがあり、もっと冒険的なのは山の山頂をめざし、厳しい自然環境を克服して登るクライミングがあります。そのように考えると、今のクライミングというのは、私が体験してきた過程の逆を行っているような気がします。

私の出発点は厳しい山登りで、岩場の通過の練習が山岳地帯でのクライミング。さらに山岳地帯のクライミングでも特に厳しい条件の練習が、自分でプロテクションを設置しながら登る「トラディッショナルクライミング」。その中でも安全に非常に困難なクライミングを練習する場がスポーツクライミングでした。

そう考えると、今の社会で認知されつつあるクライミングって、私が経験してきたクライミングとは逆のアプローチになっているように思えるんです。


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