産経新聞 【主張】 2007年08月24日(金曜日)付
日印首脳会談 戦略的協力さらに育てよ
安倍晋三首相は訪問先のインドでシン首相と首脳会談を行い、安全保障や経済、環境・エネルギーなどを柱とした日印の戦略的協力関係をさらに深めることで合意した。
今回の会談は、昨年12月のシン首相訪日の際に合意した「戦略的グローバル・パートナーシップ」を具体化に向けて進めることが主な目的だった。
両首脳の共同声明では、日印関係を「基本的価値観を共有し、最も可能性を秘めた2国間関係」と規定した。防衛・安保協力から、通商関係拡大、経済連携協定(EPA)促進、地球温暖化対策まで広範な分野を網羅し、実質的な前進をめざすことで合意ができたのは大きな成果といってよい。
日印関係は最近まで活発といえなかったし、通商・投資面でも発展の余地を大きく残している。安倍首相には200人余の経済界代表も同行した。政府間協力に加えて、民間の経済分野でも相互協力の深化と拡大に努める意味は小さくない。
また、安倍首相がインド国会で行った「二つの海の交わり」と題する演説で「強いインドは日本の利益であり、強い日本はインドの利益だ」と強調した点も重要だ。アジアの軸足を確認しつつ、日印両国に米、豪も加えた「拡大アジア」の枠組み強化に取り組む姿勢を打ち出したことを評価したい。
来年のシン首相訪日時には、日印間の安全保障協力に関する報告をまとめるという。首脳相互訪問や首脳会談の年次開催という形で、日印は戦略的パートナー関係をさらに緊密なものに育てていく必要がある。
今回の歴訪で安倍首相は、インドネシアで対ASEAN(東南アジア諸国連合)外交の新方針を打ち出すなど、麻生太郎外相とともに進めてきた「主張する外交」「価値の外交」を戦略的に展開してきた。
アジアは中国の台頭などで21世紀のパワーゲームの最も動きの激しい焦点となっている。その中で、日本外交の戦略的地平を多角的に広げていく作業はきわめて大きな意義を持つ。
安倍首相には、帰国後の週明けに参院選後の内閣改造が待っている。世界の中で戦略的外交を進める姿勢を堅持していくうえでも、それにふさわしい布陣を期待したい。
(2007/08/24 05:07)









