「社説--比べて読めば面白い」 朝日 読売 日経
2007年08月10日(金曜日)付 朝日新聞社説
民主党と外交―大きな構えで論戦を挑め
米国の駐日大使が野党の民主党本部を訪ね、対テロ活動での協力を要請する。代表は大使に向かって米国の政策を公然と批判する。その模様はすべてメディアに公開される――
これまでなら想像もできなかったことである。焦点は、11月1日に期限が切れるテロ対策特措法の延長問題だ。政府・与党は延長が既定路線だったが、参院で過半数を失った結果、民主党の協力を仰がざるを得なくなった。
6年前の9・11テロから1カ月後、米国はアフガニスタンを攻撃した。国際社会は支持し、日本も海上自衛隊をインド洋に送り、対テロ行動に参加する各国艦船に給油する活動を始めた。
米国としても、日本を戦列にとどめおく意味は大きい。小沢代表に対し、シーファー駐日大使は「機密情報でもどのような情報であれ、提供する準備がある」とまで述べて、協力を求めた。
与党側はすでに、自衛隊の活動についての情報開示や、特措法の一部修正にも前向きの構えを示している。
日米関係や安全保障で、これほど政府・与党が野党に歩み寄る姿勢を見せることが、かつてあっただろうか。
政府・与党には、参院で否決されても衆院で3分の2の多数で再可決する道は残されているが、あくまで最後の手段だろう。必要な情報が開示され、真剣な論戦が交わされる。修正もある。そんな緊張感のある国会審議になれば、対米関係をめぐる日本の政治の風景は大きく変わるに違いない。
民主党は以前からテロ特措法に反対してきた。参院選の大勝を考えると、この立場を維持するのは当然だろう。しかし、一法案の是非にとどめず、イラク戦争への評価を含めて、対米外交を根本から検証する機会にすべきだ。
イラク戦争は、大義だった大量破壊兵器が存在しなかったばかりか、戦後のイラクはずたずたの状況だ。中東全域が不安定になっている。日本もこの戦争を全面的に支持した。この失敗について、まともな総括も反省も行われていない。
インド洋とイラクでの自衛隊活動の詳細も明らかにしてもらいたい。イラクで活動する航空自衛隊は、何を運んでいるのか、どのくらい危険な業務なのか。文民統制の主体である国会がないがしろにされてきたのを、ただす必要がある。
そうした検証の上で、日本の行動がテロをなくし犠牲を防ぐことに本当に役立っているのか、日本がやるべきことは何かをしっかり議論すべきだ。
民主党には、米国にもの申す姿勢を世論に印象づけようとの狙いがあるのは間違いない。特措法をてこに安倍政権を追い詰める思惑もあるだろう。
そうした要素は政治につきものだが、それだけが外交をかき回すことは好ましくない。民主党は政局の思惑を超えた外交の選択肢を示さねばならない。大きな構えの外交論議をしかけていくべきだ。









