読売新聞 社説 2007年08月24日(金曜日)付
日印首脳会談 重層的な「新次元」の関係を築け
日本とインドが昨年12月の首脳会談で合意した「戦略的グローバルパートナーシップ」をどう実質化するか。今回の首脳会談は、そのための具体的行程を示した。その重層的な合意内容を着実に実施していかねばならない。
安倍首相が、グローバルパートナーシップの象徴的なテーマとして重視したのが地球温暖化対策だ。温室効果ガスの排出量を2050年までに現状から半減するという構想を説明し協力を求めた。
シン印首相は、安倍構想について「国際的議論への重要な貢献だ」と評価し、2012年までの温室効果ガス削減目標を定めた「京都議定書」後の、新たな枠組み作りに参加する意向を表明した。
「ポスト京都」の温暖化対策は、米国や中国、そしてインドも含めた主要排出国の参加なしには実効があがらない。安倍首相が、インドからも一定の協力を取り付けたことは、成果といってよい。
ただ、シン首相は、「環境保全と経済発展を両立させることが重要だ」として新興国としての立場も強調した。経済成長を第一とする新興諸国を、どのように新たな枠組みに取り込んでいくか。今後の大きな課題だ。
シン首相は、民生用原子力で米国から支援を受ける米印原子力協定について、日本の支持を求めた。安倍首相は、明確な態度表明を避けた。
記者会見で安倍首相は、「日本は唯一の被爆国として、核不拡散体制への影響を十分見極めていく。注意深く検討していく必要がある」と述べた。
米印原子力協定は、核拡散防止条約(NPT)の枠外で核を保有した国への原子力協力であり、NPT体制を空洞化させかねない。日本として慎重に対応していくのは当然だろう。
戦略的なパートナーとしての日印協力を具体化する上で重要な課題の一つが、安全保障分野での取り組みだ。
共同声明は「シーレーンの保全と安全」確保のため、2国間協力の方向性について検討していくことを明記した。
シーレーンの安全確保は、原油などエネルギー資源を海上輸送に頼る両国にとって共通の利益だ。両国の関係当局で検討を進め、安保協力を向上させたい。
経済協力分野では、経済連携協定(EPA)の早期締結をめざすとともに、2010年までに、両国間の貿易額を現在の年間約100億ドルから200億ドルへと拡大することでも合意した。
日印両首脳は、両国関係を「新しい次元」に引き上げることで一致したという。そのための作業を加速させていかねばならない。
(2007年8月24日1時23分 読売新聞)









