産経新聞 【主張】 2007年08月21日(火曜日)付
首相アジア歴訪 戦略外交の確実な継続を
安倍晋三首相の計1週間におよぶインドネシア、インド、マレーシア3カ国歴訪の旅が始まった。
インドネシアでは、ユドヨノ大統領と日本・インドネシア経済連携協定(EPA)に署名したほか、政策スピーチを行い、「ケア・アンド・シェア(思いやりと分かち合い)の精神」を基礎とする新しい対ASEAN(東南アジア諸国連合)方針を打ち出した。
インドでは昨年12月のシン首相の来日時に合意した「戦略的グローバル・パートナーシップ」の実質化を図る一方、地球環境とエネルギーに関する共同声明を発表する。マレーシアとは良好な関係の一層の発展を目指す。
今回の歴訪は、昨秋の安倍内閣発足以来の戦略的外交の一環といえる。台頭著しい中国と変化が進む世界情勢をにらんだ安倍戦略外交は、これまでのところ着実な成果をあげてきた。
今後の政局がどうなろうと、日本国政府として、この戦略的外交を確実に継続することが重要である。
安倍首相は就任直後、まず中国、韓国を訪問、小泉純一郎前首相時代に冷え込んだ日中関係を改善した。一方で、日米同盟を軸にしつつ、安全保障協力を日米から豪・インドにまで広げてきた。今年1月には、欧米の安全保障体制である北大西洋条約機構(NATO)本部を日本の首相として初訪問し、連携強化を呼びかけた。
麻生太郎外相とともに進めてきた「主張する外交」「価値の外交」(自由、民主など基本的価値観を共有する国々との連携強化)も国際社会での発言力強化につながりつつある。
今回、安倍首相がインドネシアで行った対ASEAN政策スピーチは、ASEAN発足40周年と日本のアジア外交の基礎となった福田赳夫元首相による「福田ドクトリン」(1977年)から30年という節目に行われた。
その中で示された「思いやりと分かち合い(共有)の精神」は、福田ドクトリンの「心と心の触れ合い」を継承しつつ、価値観だけでなく、問題解決の努力や成果も共有していこうという姿勢を示したものだろう。
とはいえ、この精神が「安倍ドクトリン」として評価されるには、今後の地道な具体化の努力が必要だ。言葉だけに終わらせてはならない。
(2007/08/21 05:02)









