明るいときに見えないものが暗闇では見える。

映画を消費モノにさせないための咀嚼用ブログ。自己満足風。
それと苦手な文章の練習用。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

【マーターズ】 最終解脱

2010年04月19日 | 映画



↑ かなりショッキング!ホラーに免疫のない人は閲覧注意!!


最近とっても威勢がいいフレンチホラー。その中でも昨年上映され特に話題となった一作。ついに観賞。

「この映画は本当に上映していいものなのか」というコピーからも、かなりの残酷描写がウリ。ところが観終わってみればトーチャーホラーでありながら宗教哲学と言えなくもないかもな映画。

ホラー映画における「恐怖、怖さ」とは「未知のもの、なんだかよく分からないモノに対する不安」と定義されることが多い。『呪怨』などJホラーにおける幽霊描写や、理解不能な殺戮衝動に駆られた殺人鬼映画などが怖いと感じるのはこのような理由らしい。本作は相当下っ腹にグッと来るのを覚悟で観賞したのだが、その意味での「怖い」というのとはちょっと違うと思われる。

前半(復讐編)はリュシーの心理描写の巧さに加え、怪奇なモノの正体にも十分な説明が与えられる。また本作の正体である後編(殉教編)においては、一見理解不能に思える虐待描写も、ある事象探求のための機械的な作業であり、さらに手を下す者たちの微妙な葛藤も描かれることで非常に分かりやすく精神的なキツさも感じない。そのため同じトーチャーホラー『ホステル』等に見られるような理不尽なサディズムさから来る「怖さ(不快さ)」はなく、"マーターズ(殉教者)" の意味とは何かという本来の問いに意識をフォーカスし楽しむことができる。個人的にはこのような納得感のある「怖くない(府に落ちる)ホラー」を傑作と思う。(サディズムを快楽と考える人々には『ホステル』の方が理解し易いのかもしれぬがw)

とはいえ耐え難いほどの痛みを伴なうヴィジュアルは普通人の観賞に耐えられるレベルではなく簡単にオススメはできないところも本作の魅力だw





【ここからネタバレ:鑑賞予定の方は絶対読まないで!!】

マドモアゼルが言うには「殉教者は地上の悪を引き受けて、自らの身を捧げ自己を超越する。」とのこと。つまりはハリツケの上、天に召されたキリストのように、苦痛の先にはあの世があり我々はそれを探求している、ということらしい。なるほどパスカル・ロジェ監督が『ヘルレイザー』の次回作監督に呼ばれたのも頷ける。この手の話はいろいろあるが、エグゼクティブが組織ぐるみでその実験をしているという設定が目新しく興味をひく。

虐待の上アリスが極致へたどり着く過程も非常に哲学的だ。"抵抗しないこと" が鍵であり、あらゆる宗教が本来唱えている答えに近しい。アリスにはリュシーを信じてあげられなかった贖罪の気持ちと、それ以上に愛があった。だからこそ苦しみを乗り越え神々しいほどの表情を持つに至ったのだ。スピリチュアルな側面からも妄想を膨らませてくれる。

ところが本作を簡単に傑作と呼ぶにはチト問題ありw。最後のシーンは賛否両論。不条理でちょっと監督の逃げラストと言えなくもない。間違いなく「あの世はある」という答えは手に入れたのであろう。マドモアゼルは早くあの世に行きたかったのだろうか。誰にも教えず一人自殺したのはそもそも答えは独り占めする気であり金持ち達を利用していたのか。ボクの中で「疑いなさい」というセリフの意味はまだ解けていないが、考えれば考えるほど興味がつきない。

誰にも賛同してもらえないかもしれないがw、非常に知的探究心をくすぐられる映画だった。普通の善良な人々にはただの痛い映画かもしれない。でも抵抗せず痛さに身を任せていれば、その先に喜びが待っています。たぶんw



評価:★★★★☆


それよか「これ"凌遅刑"の写真やんか」ってスグに解かった自分がイヤンでしたな。。。


←ランキング参加してます。よろしければ押してくださいまし。
『映画・DVD』 ジャンルのランキング
コメント (3)   トラックバック (12)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 【キング・コーン~世界を作... | トップ | 【シャッターアイランド】 ... »
最近の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mig)
2010-04-20 20:58:34
こんばんは。TBありがとでした★
フォローしましたのでよろしくです
はじめまして (ちえこ)
2010-10-04 15:34:28
TBありがとうございます。

この映画、私、めっちゃショックでした(^^;
怖かったです。

マドモアゼル、やっぱ、答えを独り占めしたくて自殺したんですかね?

あ。死んじゃった!

って、ちょっとびっくりしちゃいました(笑)
Unknown (さとし)
2013-08-10 22:47:57

凄く良い映画でしたよね

ただ、殉教したのはアリスではなくアンナだったと思いますよ

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

12 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
マーターズ (2007) (肩ログ)
MARTYRS フランス/カナダ 監督:パスカル・ロジェ 出演:モルジャーナ・アラウィ、ミレーヌ・ジャンパノイ、カトリーヌ・ベジャン、イザベル・シャス、エミリー・ミスクジャン、 もぅ、ほとんどホラー映画ブログ化してますね 一体オレは映画に何を求めているのか・...
マーターズ / MARTYRS (我想一個人映画美的女人blog)
{/hikari_blue/}{/heratss_blue/}ランキングクリックしてね{/heratss_blue/}{/hikari_blue/} ←please click いや~、何か知らないけどすごい強烈な映画だった{/m_0154/} 『フロンティア』『ハイテンション』『屋敷女』... 近年フレンチホラーの勢いが凄いなんて言われ...
マータ―ズ(2007)◆MARTYRS (銅版画制作の日々)
 MARTYRSとは? それは“殉教者”または“犠牲者”を指し、古くは“証人”を意味する言葉。 2人の美少女を待つ、あまりにも過酷で凄惨な運命とは・・・ 京都みなみ会館にて鑑賞。一日一回のみの上映で今週の金曜日までということで、慌てて観に行きました。誰も来な...
マーターズ/MARTYRS (LOVE Cinemas 調布)
パスカル・ロジェ監督が描く強烈なバイオレンスホラー。本国フランスではあまりの過激な描写に当初R18指定が付いたほど。少女時代に拷問を受けた女性復讐劇から始まり、衝撃的かつおぞましいラストに到る。主演はこれがデビュー作とは思えないモルジャーナ・アラウィ...
マーターズ (うふふ・映画三昧。)
1971年、監禁されて虐待を受けていた少女が、自力で逃げ出し、保護された。少女の名前はリュシー。彼女が虐待を受けていた倉庫には、座ったまま排泄できるようになっている穴の開いた椅子。手足は鉄の鎖で縛り付けられ、もがいた少女の手首には化膿した傷があった。が、性...
マーターズ (いやいやえん)
はい、なにやら凄いらしいと聞いていたフレンチホラーですね。でもただの猟奇的スプラッターなのかと思っていればそうではない。 少女期に拷問虐待を受けた女性リュシーが施設でゆいいつ心を許せたのがアンナ。15年後のとある日曜の朝、普通の平穏な家庭を襲う女性…こ...
マーターズ (映画鑑賞★日記・・・)
【MARTYRS】 2009/08/29公開 フランス/カナダ 100分監督:パスカル・ロジェ出演:モルジャーナ・アラウィ、ミレーヌ・ジャンパノイ、カトリーヌ・ベジャン、イザベル・シャス、エミリー・ミスクジャン残酷ホラー映画が遂に到達した究極の新境地“最終解脱”!こ...
マーターズ (あーうぃ だにぇっと)
監督: パスカル・ロジェ キャスト アンナ☆モルジャーナ・アラウィ リュシー☆ミレーヌ・ジャンパノイ カトリーヌ・ベジャン イザベル・ジャス エミリー・ミスクジャン マイク・チャット ガエル・コアン アニー・パスカル リュシー☆ジェシー・パム ...
マーターズ/MARTYRS (映画通信みるみる)
これは、きつい。きつすぎる。 こんなの劇場で、観たら、逃げ出すことのできない空間に、椅子に縛りつけられてるのと同じ感覚だ。この精神的...
マーターズ (晴れたらいいね~)
フランス産の残酷もんなので、ダメな人はスルー。ひそかに「観るぞ」とDVDレンタル開始を待っていたワタシ(笑)血まみれもんも、久しぶりな気がします。マーターズ(Martyrs)って、殉教者って意味なんだって。前編・後編みたいに話が二つというところが、二本分の血まみ...
「マーターズ」 (或る日の出来事)
もう、なんつったらいいのか…。すっげぇ~! ひっでぇ~!
マーターズ ▲128 (レザボアCATs)
'07年、フランス・カナダ原題:Martyrs監督:パスカル・ロジエエグゼクティブプロデューサー:フレデリック・ドニギアン、マルセル・ジループロデューサー:リシャール・グランピエール、シモン・トロティエ撮影:ステファヌ・マルタン、ナタリー・モリアブコ=ビゾツキー...