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「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

フクロウの食性分析

2016-11-01 11:16:02 | その他
麻布大学いのちの博物館でおこなう「フクロウの巣残存物の分析」作業に参加する人のために説明を書いておきます。

 八ヶ岳では、地元の自然愛好家のグループ(八ヶ岳自然クラブ)がフクロウの巣箱かけをして、営巣、巣立ち確認のデータをとっておられます。フクロウはネズミ食に特化した猛禽ですが、ある人がその巣に残された小骨を集めてネズミの下顎から識別をしました。その人はその後その調査をしなくなったので、八ヶ岳自然クラブは巣材は捨てたそうです。それはもったいないということで翌年からは麻布大学動物応用科学科の野生動物学研究室でそれをもらいうけて分析することにしました。鈴木大地くんという皆さんの先輩が卒論を書き、「牧場の近くではハタネズミが多いが、森林になるにつれて減少する」ことを明らかにし、これは国際的な雑誌の論文になりました。


八ヶ岳の牧場からフクロウ巣の距離と残存物に占めるハタネズミの割合.牧場に近いほどハタネズミの割合が高い.Suzuki et al. 2013 より。論文を希望される方は高槻にご連絡ください。takatuki@azabu-u.ac.jp

この経緯などは「動物を守りたい君へ」(岩波ジュニア新書)に書いたのでよんでください。その後は落合さんがひきついで分析を続けてきましたが、彼女は今年の春で修士を修了しました。八ヶ岳自然クラブはその後も分析を期待しており、今年度は麻布大学いのちの博物館で分析することになりました。そこでミュゼットを含む麻布大学の学生に共同作業をお呼びかけています。

 作業は巣の残存物をフルイを使って大きな破片を除き、残りのものからネズミの骨をピンセットで取り出すというものです。これは教育的にもたいへん効果の大きいもので、数年前に高校生を対象におこなったことがあります。分析したことの意味を考えると、たいへん奥行きのあることがわかります。このときのことは麻布大学雑誌に記録をしたほか、一般に向けて紹介しました。
 こうして取り出した骨は標本箱に配列し、博物館の資料として保管します。


フクロウの巣から検出されたネズミの骨の標本

 そのために、ネズミの骨の勉強をしてもらい、識別能力をつけます。さまざまな骨が検出されるので、勉強になりますが、分析に使うのは下顎で、これは分析能力のすぐれた落合さんに確認してもらいます。

 八ヶ岳自然クラブから6つの材料が届いているので、2つを3回にわけて作業します。日程は下記のポスターをみてください。1日2つを2班に分けておこないます。2時間くらいですむと思います。


報告 11月19日に第1回目の分析をし、順調に進めることができました。
学生9人と八ヶ岳自然クラブの人2人が参加し、ネズミの骨の勉強をしながら、小骨を取り出しました。


分析をする学生


八ヶ岳自然クラブが提供くださった写真パネルと標本箱に並べたネズミの骨。パネルはネズミをとらえる瞬間のフクロウなどすばらしい写真があります。ネズミの骨はかつて同じ八ヶ岳のフクロウの食性分析をしたときに作った標本です。

八ヶ岳自然クラブの田中様からのお便り
高槻先生
 3回にわたって行われたフクロウ巣材分析のワークショップ、高槻先生にはいろいろとご配慮をいただき本当にありがとうございました。八ヶ岳自然クラブとして3回の催しで延べ10名の者が参加させていただいたことになりますが、参加者全員が非常に満足したとの感想を述べて帰りました。
 私たち”高齢者グループ”にとっは、若いはつらつとした学生さんたちとの交流は何十年前の学生生活に返ったような楽しい時間でした。そして、”現代っ子”の皆さんが、あのような一見ジミな作業に黙々と真面目に取り組まれている姿を見て、現代若者像の別の側面を見たような嬉しい体験でした。
 分析素材の前処理、ワークショップ運営の立案・準備、等々、高槻先生は大変なことだったろうとお察ししますが、お陰さまで私たちは貴重な体験をさせていただきました。改めまして心からお礼申し上げます。
また、気持ち良く共同作業をしていただいた学生さんたちにも感謝申し上げます。どうぞよろしくお伝え下さい。

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