たかはしけいのにっき

ミネソタ大の博士研究員が書く日記です。

見ることと存在することの関係性

2017-02-09 02:04:51 | Weblog
 "Seeing is believing"
 という言葉があるが、巧妙に仕組まれたトリックさえなければ、たいていのことについては見えるということを利用して信じることができると考えている。俺らは、自分が見えていること、もしくは知っていることや事実をもとに、考えることができたり、何かの価値を感じることができたり、最終的には、何かの概念を信仰できるのである。

 逆に言えば、見たことも無いことについては、信じるどころか、考えることすらできない。もっと思い切って言ってしまえば、見えていないことというのは、存在しないことと同じなのだ。だって、想像もつかないことについては、考えつかないのは当たり前だからだ。
 たとえば、電磁気学という学問体系について(到達していないという意味で)見えていない人にとっては、スマートフォンをはじめとした電化製品は魔法でしかない。だから、いまだにこの国では、携帯電話の電波がペースメーカーに影響すると信じられている(ケースがある)のだ。携帯電話の悪いところを探すべく、大義名分として用意しただけなのに、それがいまだに信じられている。人は、見たい情報を見るし、見えていることについては信用する。であるから、携帯電話の電波を怖がる、ペースメーカーを使っているお年寄りにとっては、電波がペースメーカーに悪影響を及ぼすのが事実であるのだ。

 であるならば、見えれば見えるほどイイはずだ!と思うのが通常であると思うが、そうでもない。それは、事前に俺のことを知っていて、このページを見つけて、俺には秘密裡に読み続けている人なら、わかるだろう。
 人は、情報を知れば知るほど、考えなくてはいけなくなってしまう。もう少し正確に言えば、それらの情報を考慮せずにはいられなくなってしまうのだ。入試にしても、何かの審査にしても、本来、その人が生きてきた足跡や環境をすべて考慮しなくては平等ではないはずだが、そうはしない。目の前の点数ですべてが測れる、ということを(テストや審査の良い部分だけを見ることによって)信じてしまって、ゲームにするのだ。その人のことを知らないからこそ、自然と気兼ねなく話すことが出来るし、冷酷に審査することもできる。見ていないからこそ存在しないことを信じられるのである。
 だが、このページで俺のことを知っている(と勘違いしている)ぶんだけ、俺のことがある意味怖くなってしまうはずである。しかも、本来の俺からは乖離した俺を認識していることになるわけで、自分だけは大丈夫だと思いながらも、知らず知らずに俺が繰り出している洗脳に支配されてしまう。実は、たいていの思考力の低い人にとっては、読まない方が"対俺"対策としては正しいのである。(なぜ、俺は読者を減らそうとしているんだろう?笑)

 幸せになりたいなら、多くを見すぎないことである。人類は75億人もいる。そのなかから、自分に一番フィットした異性を見つけようとしたら、一生が3回あっても足りない。見ないで存在しないことにしてしまい、「私には貴方しかいない!」とか言ってるほーがバカだが幸せである。そして、多くの人はこのようなバカな生き方を選び、多くの場合でそれは正解なのである。

 そんなことは皆、直観的にわかっているはずなのに、でも、見ようとしてしまう。真実を確認せずにはいられない。これが人間の根源的な性質である。
 大切な誰かがどのような死に方をしたのかの詳細について、知ってしまう方が不幸になるに決まっている。でも、情報があるとわかれば、知らずにはいられない。そして、いざ知ってしまえば、遣る瀬無い気持ちになりながら、「知らなければ良かった」と呟き、自分の無力さを痛感することだろう。

 このように、どこにぶつけたら良いのかわからないような遣る瀬無い想いこそが、実は、本当の意味での感受性を豊かにしてくれる。遣る瀬無さが存在していなければ、人生を検討するチャンスがないし、行間を読もうとしたり、見てもいない相手の状況をどうにか想像しようとトライしてみようとする発想そのものが生まれないのだ。
 それでも、もちろん、考えつかなければ想像できない。しかし、想像もつかないことは考えつかない、というわけではない点では、進捗していると言えよう。

 一度でも、これまで見えなかったものが見えるようになる経験をすれば、(自分にとっての)世界に存在が出現することの楽しさから逃れられないであろう。
 そして、そんな夢みたいなことを、いつまでも言っていたいと俺は思う。
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