たかはしけいのにっき

求職中の研究員のにっき。

微積とバネからわかる権威主義の創発

2016-10-20 02:49:38 | Weblog
 理系の皆さん。たとえば、高校生に、「フックの法則ってF=kxでしょ?仕事は"力×距離"だから、kx^2のはずなのに、どうして弾性力の位置エネルギーは1/2が前につくんですか?」と聞かれたら、なんと答えますか?
 ここで、「そら、仕事は本当は積分だからだよ」っと答えればいいかというと、それだけだと不十分かなぁと俺は思います。

 確かに積分だからなんだけど、もう少しだけよく考えてみよう。積分だからって理由だと、覚えてるだけじゃん+定量的な理解。もっと定性的に考えられるはず。
 バネの一端を固定して、反対側からバネ引っ張ったときに、引っ張れば引っ張るほど、引っ張りにくくなる。その地点からさらに引っ張ろうとすると、またさっきのぶんよりも、さらにしんどくなる。それは距離に従って、しんどさに傾斜がついてるから。バネが自然長から離れるほどにエネルギーを使うから。そう考えるとkx^2では明らかにおかしい。だから、ひとまず、バネは例外として捉えよう。だから、わざわざ教科書に弾性力の位置エネルギーとして載っているんだ。
 バネを引っ張ると、バネに生じる力から短絡的に想像したぶんの仕事量(kx^2)から比べて1/2だけコスパが良い。つまり、ある意味、バネが半分だけ引っ張るのを手伝ってくれるわけだ(どんなに引っ張っても"バネでいてくれる"から)。しかし、そのお手伝いも距離を増せば増すほどに、手伝ってくれなくなる(バネであることを維持しようとするから)。それを超えて引っ張れば、バネがバネでなくなり、いっきにうわっとなるだろう。その瞬間に(残りの)1/2 kx^2ぶんだけ、うわっとなる。

 そう、実は、ただ単に積分だから、としてしまうのは二重に良くない。ひとつは、上のように定性的に考えてみていないこと。もうひとつは、どうして仕事が積分で定義されるかを考えていない。力の距離依存性に従って力を積算していくイメージが仕事であって、だからこそ仕事は力が及ぼされる経路に沿って実空間で線積分(積算)しなくちゃいけないわけで、単純に実空間で積分すればいいというものではない。この上の例からも、経路にそって線積分しなくちゃいけないことが、力の(距離的な)勢いを示そうとしている仕事の役割だと気がつくだろう(力の時間的な勢いを表すのは力積)。

 このように、ある知識を下の階層の知的レベルに示そうとしたときに、実はその知識の無理解が権威的な枠組みに繋がってしまうことは、よくあることだ。だって、上の例でも、高校生が「積分じゃん」とだけ理系大学生以降の人から聞いたら、「高校物理でだまされたー」となるだけだからだ。こういう繰り返しが、ちゃんと理解する、ということよりも、とにかくテクニックに走って計算の切り抜け方ばかりが重要視されるようになってしまう所以だ。高校物理のすべての教科書では、ちゃーんと図使って説明しているし、定性的な説明もきちんとしている。
 微積を使えることが正しいわけではなく、大学に行って、あまりモノゴトを深く考えていないバカでも正しい結果だけは出てしまう、微積という武器を手に入れただけだ。この辺りが、俺が、基礎がちゃーんとできることが本当に大事、っと言っている部分。

 こういう基礎はあらゆる分野で使える。どうモノゴトを考えるべきかの指針を与える。だが、仕事は力の積分、とだけ覚えていると、どうしても使いどころがない。だって、いつも計算できることとは限らないわけだから。定量的に計算ができる事はとても大事(もちろん、積分ができないのでは、理系としてお話にならないのだが)だが、それ以上に俺は定性的理解は重要だと考えている。

 それから、相手の論理の土俵のなかで正しく考える、ということも大切だ。高校生に対して、いきなり「あとから習う、こっちが正しいんだ!」と、結果だけが正しい、間違った捉え方を与える事は、犯罪にも近いと俺は思う。本当は、その、本当に正しいロジック、に関しても、きちんと理解していないくせに。
 そして、こういう無理解が権威主義を生み、この分野では正しい、というような横柄な態度と間違ったことを正当化するロジックが蔓延するのだと俺は思っている。

 ・・・って、今日はやけに、一般化しすぎかな?
 ちゃうちゃう。そこは、なんでもかんでも調和振動子で一般化しすぎる物理学の歴史に敬意を表しているのだよ笑
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