敏腕Pの日々のつぶやき

テアトルシアター代表。担当舞台作品について他、演劇やスポーツ等々の雑感を気の向くままに。

流星ワゴン

2006年01月27日 | 鑑賞
昨年2月、銅鑼のアトリエで初演された
『流星ワゴン』が早くも再演される。
本日初日で、東京-横浜-西宮を駈け抜ける!

年100本近く芝居を観る僕の、ここ数年の中でも
ベスト3に入る滅茶苦茶いい芝居!!!
待望の再演だ。
昨夜はプレビュー。
早速駆けつけ、また泣かせていただきました。
さて感想を書こうとしているのだが…
どうもうまくまとまらない。
作品の素晴らしさに筆力がまったく追いつかないのだ。

原作をお読みの方はご存知でしょうが、
重松清のベストセラーで、
リストラされ家庭もうまくいっていない男の、
「死んでもいい」と思っている38才の、
再生の話・・・
それを今波に乗っている劇作家の一人で
“ニガイ”作品を書かせたら右に出る者のない
青木豪が見事に“演劇化”した
つまりは、決して明るく楽しい話じゃない。

なので、阿部一郎の美術もモノトーンの簡素な舞台だ。
それを引き立たせる鷲崎淳一郎の照明も
抑えがきいている。
平井真美子の奏でる美しい音楽も
決して出しゃばらず、凛として作品を支えている。

それら優れたスタッフワークを得た
「優しいおはなし」は、ともすれば停滞しがちだが、
2時間一度も失速することなく、一気に疾走する。

それを支えたのは全編に流れるイソムライズムだ!
それはオデッセイを走らせる橋本(三田直門)が着る
ジュビロ・中山ゴンのTシャツであり、
やきそばを平らげるヒロキくん
(演じるは女優・中島涼香)でもあり、
それらを引っくるめて常に舞台に存る《光明》!!

その演出家・磯村純の《巧妙な計算》に、
7人の俳優が“鮮やかに”応え、展開する120分は、
元祖オランダよりも「カッコいい」
セクシーフットボールと言える。
フィールドを縦横無尽に駆けめぐるように、
たった7人が無数の人物を演じ、時にトリッキーに、
時にファンタジックに、観客を引きつけて離さない。

そうそう。うまくまとまらないと言ったが、
ズバリ一言で言うと「カッコいい」のだ!!

カッコいいといえば、わずか70キャパで
初演したこの『流星ワゴン』を、
300席(東京)、200席(横浜)、800席(西宮)と
てんでバラバラな会場に打って出る制作者・平野真弓が
これまたカッコよいのだ!!!

あれれ。なんだかスタイリッシュな芝居みたいな
印象になっちゃたかしら?
冒頭ちょっと触れたけど、
“感動巨編”なのは言うまでもないのだよ。
心配性だから最後に書いちゃったけど・・・。

【文中敬称略】

※磯村純=青年座文芸部所属。
     東演ではNo120『温室の花』No122『浄瑠璃の庭』
     自主公演『燕のいる駅』を演出。

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