敏腕Pの日々のつぶやき

テアトルシアター代表。担当舞台作品について他、演劇やスポーツ等々の雑感を気の向くままに。

はい、奥田製作所

2008年03月22日 | 鑑賞

 劇団銅鑼35周年記念公演第2弾『はい、奥田製作所』 
(作/小関直人、演出/山田昭一 於:俳優座劇場 3/19~3/23)

 蒲田の町工場を舞台にした“劇団力”を大いに感じさせる一本
 キャスト20名! まさに劇団一丸の作品ダ

 ガンコ一徹、職人としても腕の立つ社長(鈴木瑞穂)が倒れ、大手企業を辞めた息子(横手ひさお)が後任として辣腕を震う! が、社長の人柄を慕って働いてきた従業員たちとの溝は広がるばかり。

 リーフレットのスペシャルサンクスに、ずらりと「製作所」や「精機」が並ぶことからも解るが、綿密な取材の元に丁寧に描かれたホンである。

 言うまでもなく架空の「奥田製作所」と、それに寄り添う近隣の町工場で働く、個性豊かで優しい面々の躍動や苦悶は、どこか「劇団銅鑼」とも重なる。

  それを納得させる一言がリーフレットにはあって。。。
 『町工場を生きるということは、ほとんど理不尽を生きるというのに等しい』
 。。。本作の参考にもなった数々の著作を書いた小関智弘は、旋盤工として50年働いた経験を持つ作家で、彼がリーフレットに寄せたのが前述の言葉。

  まさに町工場を劇団と置き換えることが可能ダ。

  少々自虐的になるが、同じ文章に『高校卒で就職してまだ間のない娘のボーナスを聞いて、経験四十年の旋盤工が自分のボーナスの額を娘に言えなかったときのみじめさ』という一文がある。
 劇団にはボーナスという制度自体なかったりする
 (全てではないが、決して少なくもない…)
 まあ、その分たま~に海外公演に行けたりするが…

 暗い話はこれくらいにして。話を戻せば・・・やはり同じ「ものづくり」という共通項が浮かび上がってくる。
『一人だけでは、決して何もつくれない。(中略)ものづくりは“もの”ではなく“人の心づくり”であること(後略)』。。。これは、小関直人の挨拶文だが、それをビンビン感じることが出来る、笑いと涙に包まれた芝居である。

 最後に一言。アンサンブルの効いた役者陣は皆好演だが、中でも、ガンコ社長と長~い付き合いの、奥田製作所に材料を納める会社社長で、肝っ玉おっかあ風の石川弓枝を演じた菊地佐玖子が絶品

 【文中敬称略】

        劇団東演俳優工房修了公演
                本日仲日(昼夜2ステージ)

コメント
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