炎症性腸疾患の道標/高橋涼介[特別編]

潰瘍性大腸炎、クローン病の病態と治療法から最適な献立・一品料理を掲載。

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不足しがちな栄養素

2010-01-30 11:56:13 | 潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事
不足しがちな栄養素

IBDの人は、食事の制限や吸収不良などによって栄養素の不足が起こります。また、腸管のどこに病変があるかによっても、栄養素の体内への吸収は低下します。
IBDの人に不足しがちな水分や塩分のほかに、不足が考えられる栄養素を次にまとめました。

ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK

これらの油溶ビタミンは、脂質といっしょに体内に吸収されるため、脂質ね吸収障害やきびしい制限によって不足が起こることがあります。
ビタミンAは欠乏すると、皮膚や粘膜上皮が乾燥したり角化したりする、免疫機能が低下する、細菌に感染しやすくなるなどの症状が起こります。ビタミンAを多く含む食品は、レバー、魚の肝などです。
また、βカロテン(体内でビタミンAにかわる)は、にんじん、ほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれます。
サプリメントもありますが、ビタミンAの過剰摂取は、たとえば妊娠前後の6ヵ月間は奇形児の確率が高くなるなど、特に注意が必要です。
ビタミンDにはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。ステロイドを長期間服用している人はカルシウムの吸収障害が起こるので、意識して摂取しましょう。ビタミンDを多く含む食品は、イワシやブリ、サバなどの青魚、マグロやカツオなどです。
ビタミンKは腸内細菌(乳酸菌やビフィズス菌)の減少によって欠乏症を起こしやすくなります。それらには、ビタミンKを生成する働きがあるからです。欠乏すると、出血しやすくなったり、血液がかたまりにくくなったりします。ビタミンKは、緑黄色野菜や納豆に多く含まれます。

ビタミンB12、葉酸

水溶性ビタミンで特に欠乏が見られるのは、ビタミンB12と葉酸です。
ビタミンB12は、骨髄での細胞の分化、中枢神経機能の維持、脂肪の代謝に重要です。欠乏すると、貧血や倦怠感、疲労感が起こります。
クローン病の人がビタミンB12欠乏症を起こす原因は、小腸に病変があったり、切除による吸収障害、あるいは、ビタミンB12は動物性食品に多く含まれるので、それらをきびしく制限する食事療法にあります。ビタミンB12はレバー、カキ、イワシ、ニシン、サケなどに多く含まれます。
葉酸は血液を作るのに重要な働きを持ち、成長や妊娠の維持にも必要です。不足すると、貧血を起こしたり、妊娠中なら胎児の発育不良を起こしたりします。IBDの人では、サラゾスルファピリジン[製品名サラゾピリン]による吸収障害も考えられるので、葉酸を含む食品(レバー、カキ、納豆、きな粉、ほうれん草、小麦胚芽など)を積極的に食べるようにしましょう。

消化管と栄養素の吸収

空腸
たんぱく質、脂質、炭水化物、脂溶性ビタミン、ビタミンB12は除く
水溶性ビタミン

回腸
ビタミンB12、葉酸

十二指腸
カルシウム、鉄、セレン

上行結腸
ナトリウム、カリウム、マグネシウム

※大腸とは、結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)と直腸の部分のこと。また小腸とは、空腸と回腸の部分のこと。

ナトリウム、カリウム、マグネシウム
ミネラルの中では、ナトリウム、カリウム、マグネシウムが不足しがちです。下痢をくり返したり発熱したりして、体内の水分が多く排泄されたときなどは特に不足しやすいので、注意が必要です。
ナトリウム(=塩分)が不足すると、倦怠感、食欲不振、のどが渇く、塩けがほしくなる、筋力低下などが見られます。腎疾患や心疾患がないなら、塩分の制限はありません。

カリウムが不足すると、脱力感、筋力の低下、筋肉痛、しびれ、けいれん、不整脈、頻脈、消化管運動の低下によるイレウス(腸管内に通過障害をきたした状態)などが起こります。カリウムは、納豆や緑黄色野菜、くだものに多く含まれます。
マグネシウムが不足すると、疲労感、食欲不振、吐きけ、嘔吐、動悸、不整脈、手足の震えなどがみられます。マグネシウムが多い食品は、玄米、カキ、納豆、豆腐、きな粉、ほうれん草などです。

カルシウム、鉄、亜鉛

そのほかのミネラルで不足がみられるのは、次の3つです。
カルシウムは骨の形成に重要で、摂取不足や、腸管からの吸収が阻害されると不足します。カルシウムは乳・乳製品、小魚、大豆製品に多く含まれます。サプリメントを利用するのもいいでしょう。
鉄は不足すると貧血を起こし、疲れやすくなったり、忘れっぽくなったり。IBDの人の人は、鉄の摂取量の不足、出血などによる喪失、炎症による吸収障害などが原因で、貧血になりやすくなります。鉄は、レバー、マグロ、魚の血合い、卵、カキなどの動物性食品と、ほうれん草などの植物性食品に多く含まれます。動物性食品に含まれる鉄のほうが吸収率がいいので、おすすめします。また、サプリメントを利用するのもよい方法です。
亜鉛は、腸管の慢性的な炎症による消耗や下痢による喪失、腸管からの吸収が障害されることなどから、不足しやすくなります。欠乏すると、味覚や食欲が低下して低栄養状態になる、皮膚炎や傷が治りにくくなる、免疫機能が低下するなどがみられます。 亜鉛を含む食品は、カキ、大豆製品、レバー、鶏肉など。これらから充分に補給しましょう。

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こんな症状はありませんか…?
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無気力、体力の消耗、唇の乾燥→脱水のおそれがあります
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摂取したい栄養素
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水分、ナトリウム、カリウム、マギネシウム
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顔色が悪い、動悸、息切れ、頭痛、めまい、さじ状の爪→貧血のおそれがあります
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摂取したい栄養素
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鉄、ビタミンB12、葉酸、たんぱく質、銅
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