それでは4回目のアップです。
まずは前回の問題から。
Our health care / is too costly, / our schools fail too many / -- { and } / each day / brings further evidence / [ that the ways ( we use energy ) strengthen our adversaries { and } threaten our planet ].
下線部のthatと同じ働きをしている英文は下の(a)〜(c)のうちいくつあるでしょうか。答えてください。
(a) The news that he killed her is a great shock to us.
(b) The news that he brought herus is a great shock to us.
(c) It is a well known fact that Japanese people are deligent.
選択肢の英文は以下となります。
(a)は同格thatです。the news = he killed herとなります。同格接続詞のthatは完全な文を従えて前にある名詞の内容説明となります。「彼が彼女を殺したというニュースは私たちには大きなショックだ」
(b)は関係代名詞ですね。the newsという名詞をthat以下の文に代入できます。the news → he brought her the newsとなりますので、関係代名詞の目的格のthatです。whichにも置き換えられます。「彼が彼女にもたらしたニュースは私たちには大きなショックだ」(ちょっと英文が変でしたね。The news that he brought us is a great shock to usでないと不自然ですね。失礼しました...)
(c)は確かにthat以下は完全な文になって前にfactという名詞があり、要件を満たしているようですが、同格接続詞でありません。Itの働きをここで考える必要があります。It = that Japanese people are diligentとなります。「日本人が勤勉であることはよく知られた事実だ」という意味でこれは形式(仮)主語「It」の指示内容として名詞節を導く接続詞thatとなります。
よって、解答は(a)のみでした。
These are the indicators of crisis, subject to data and statistics. Less measurable, but no less profound, is a sapping of confidence across our land; a nagging fear that America's decline is inevitable, that the next generation must lower its sights.
これらは危機を示すものですが、データや統計を前提としています。これほどはっきりと測れるものではありませんが、同様に重大なものとして挙げられるのが、この国全体に及んでいる自信の喪失なのです。アメリカの衰退は避けられないものではないか、そして、次の世代は下を向いて生きていかなければならないのではないかという不安にかられています。
These are the indicators of crisis, / subject to data and statistics.
Theseは前文に書いてある事柄を指します。当然複数の内容です。医療や教育制度、エネルギー消費の仕方が問題点として指摘されていました。indicators of crisisは直訳すると「危機の指標」と「危機の尺度」などとなりそうですが、名詞構文になっています。動詞的に読み解く方が自然に思われます。These are the indicators of crisis→These indicate crisis.として、「これらは危機を示しています」としてもいいでしょうし、indicatorを「危機を示すもの」という意味に捉えてもいいでしょう。He is a lover of Mozart.を「彼はモーツアルトの愛人だ」と訳しては元も子もないのと同じですね。
subject to以下は形容詞句としても副詞句としてもいいと思います。「suject to〜」は「〜を前提として、〜を条件として」の意味や「〜に従属して、〜に左右されて」などいろいろ意味があります。
「コンマ」を接続詞のように捉えて、These are the indicators of crisis and subejct to data and statistics.のようにしてもいいでしょうし、These are the indicators of crisis, (being) subject to data and statistics と分詞構文として解釈してもいいでしょう。
いずれにしても「subject以下」は情報としては劣位になり、コンマで直前の表現との結び付きが切られていますので、副詞的に捉えるのが順当なところだとは思います。「これらは、データや統計を前提に、危機を示すものだ」→「これらはデータや統計に基づいて危機を示している」
Less measurable, but no less profound ( than these ), / is /a sapping of confidence across our land; /a nagging fear [ that America's decline is inevitable ], [ that the next generation must lower its sights ].
ここは倒置文です。普通の語順であれば、
a sapping of confidence (across our land)(S)
is(V)
less measurable, but no less profound(C)となりますが、主語が長くなったためと、比較対象として前文のtheseがあるため、何と何を比較しているかより分かりやすくするために、倒置されたものと思われます。
less measurableは劣等比較で「(これらほどは)測れない」という意味になっているでしょう。measurableという形容詞が使われたのはdata やstatisticsに基づいているという表現が前文にあるためですね。
no less profoundはちょっと注意が必要です。比較級の前にあるnoは二つの働きをします。比較差が「ゼロ」であることを示すのと、否定(−)の意味を持ちます。noのマイナスとless(より少ない)のマイナスが「−×−」となってプラスの意味になります。「no less profound than these」は「as profound as these」と同じ内容です。「これらと同様に重要な」となります。
a sapping of confidenceはsap(V) confidence(O)(「自信をなくさせる」)を動名詞化すると「sapping confidence across our land」となりますが、その動名詞をさらに名詞に近い捉え方をするとこの演説のような表現になります。our landの直訳は「私たちの土地」ですが、ここは「アメリカ」のことを言っています。「私たちの国(土)」sapは「徐々に弱くする」、across〜「〜を横切って、〜の至るところに」という意味があります。「アメリカの至るところで自信が弱められていること」が主語の直訳です。「自信の喪失がアメリカ全体に蔓延していること」などと意訳できそうです。
セミコロンの後は「
a nagging fear that〜, that ・・・」という形になっています。
;(セミコロン)を見たら、まずは接続詞的な働きだろうと考えるといいと思いますが、その前後の文脈を捉えて意味を取る必要はあります。コロンやセミコロンを見たら「すなわち」「つまり」と考えよ!などと言う人もいますが、ちょっと乱暴です。
a nagging fear thatのthatは同格接続詞です。naggingは形容詞で「しつこい、つきまとう」の意味ですね。「〜というしつこい恐れ」となりますが、このfearを2つのthatで説明しています。「アメリカの衰退は避けられないという恐れ」「次の世代は視線をさげなければならないという恐れ」がnaggingだと言っています。
ここは「a sapping of confidence」と形の点、意味の点でも対等に並んでいると考えるといいでしょうか。具体的に言い換えてある感じですね。
また、naggingはfearを修飾していますが、a nagging fearにも隠れた主述の関係があります。fear is naggingという形に読み解いてもいいでしょう。「〜という恐れが蔓延していること」と意訳できそうです。
Today I say to you that the challenges we face are real. They are serious and they are many. They will not be met easily or in a short span of time. But know this America: They will be met. (Applause.)
今日、私が国民の皆さんに伝えたいのは、私たちが直面しているさまざまな課題は本当のものであるということなのです。その課題は深刻であり、沢山存在しています。短期間で簡単に解決されるものではありません。しかし、ここはアメリカであることを認識してください。そうした課題は解決されることになるのです。
Today / I say / to you / [ that the challenges ( we face ) are real ].
sayという動詞は人の目的語は取りません。目的語になるのは伝えたい中身です。一方、tellは人の目的語を取りますね。He told her that he loved her. (彼は彼女に愛しているよと言った)などの形になります。
that節中は主語がthe challengesで we faceが後置修飾となっています。「私たちが直面する課題」
challengeも「挑戦、難問、(やりがいのある)課題」などいくつか意味があって、文脈に合わせないといけませんね。ここは「課題」くらいが適切ではないでしょうか。
They are serious { and } they are many.
andの並列構文。theyは複数名詞を指します。当然、the challengesのことですね。 seriousは「真面目な」という意味がありますが、ここは事柄を指していますので、「深刻な」という意味合いになります。manyは名詞の前に置く限定用法がおなじみですが、このように補語になる(名詞の前に置かない用法。叙述用法といいます)こともあります。
They will not be met / easily / { or } / in a short span of time/
orの並列構文。ここはeasilyという副詞とin a short span of timeという副詞句を並列しています。どちらも動詞will not be metにかかります。Theyはもちろん「the challenges」。meet(V) them(O)→they be metの受動態です。このmeetは「会う」という意味ではありませんね。「〈要求・期待など〉を満たす,かなえる,…に応ずる」の意味があります。「課題に応ずる」という意味に取ればいいでしょう。「難問・課題に対応する」ことになるわけですが、この対応は当然きちんと答えを出すことになりますね。「解決する」などと意訳してもいいでしょう。
spanは元は親指と小指をピンと広げた長さのことを言いました。そこから時間の長さを指して「期間・範囲」の意味が出てきたようです。
経済・政治・社会などさまざま分野に難題山積です。簡単には処理できるもので、短期間で処理できるものでもありません。アメリカ国民に「ちょっと長い目で見てね」と一応釘をさしています。
But know this America: / They will be met. (Applause.)
逆接の接続詞Butです。主張したい内容を示します。ここでは時間がかかるけれど、「大丈夫!」と言っているわけですね。
構文的には「know this America」とまず主語がありません。命令文と取ります。コロンの後で、大文字になっていますが、They will be metと続いています。これはどこかで見たような形ではないでしょうか。
「命令文, and S V …(「〜しなさい、そうすれば・・・」)の変形パターンと考えればいいでしょう。
Hurry up, and you will be in time for the train. 「急ぎなさい、そうすれば、電車には間に合うよ」
では
know this Americaの部分です。
ブッシュ政権のお土産?としてアメリカ国内の経済は低迷状態です。今回の金融危機はアメリカに端を発しています。先行き真っ暗なアメリカ国民、自国に対する自信も揺らぎ始めているアメリカ国民に語りかけています。「このアメリカを知っていてください」が直訳。「このアメリカ」とは景気低迷の真っ只中にあるアメリカではありません。建国以来、自由・平等の理念で「アメリカ」という国を建国し、その理念によって世界中から多くの人が惹きつけられ、「アメリカ」という国が形成されてきました。その光の部分に焦点を当てています。「アメリカ」は移民の国家です。であるからこそ、アメリカは「アメリカ」というイデオロギーを必要としました。そのイデオロギーこそがアメリカそのものの強さだったとも言えます。自信を失いかけている国民に誇りを思い出せといっているのだと思います。
ちなみにVoice of America(
http://www.voanews.com/english/2009-01-20-voa26.cfm)でオバマ大統領の音声ファイル(mp3)を聞いたりダウンロードできます(当然無料です)。