
先日、これまで準備を進めてきた中世史サマーセミナーが無事、終わりました。ご参加いただいた80余名の皆様、本当にありがとうございました。個人的には、今回のセミナー開催を今年最大の仕事と思って準備してきただけに、終わったとたん、何だか全身の力が一気に抜けた感じで、無事に終わった達成感というよりは、緊張が一気にほどけた脱力感に近いものを感じています。

今回のサマーセミナーは、真夏の炎天下の中、高野山町石道(参詣のための登山道)を歩き、さらに山上でシンポジウムと文書見学を行うという過酷なスケジュールだっただけに、主催者としては内心ヒヤヒヤで、傷害保険などに加入してみたものの、実際にはそれは気休めでしかなく(傷害保険では熱中症は保障対象外)、本音を言えば雨でも降ってバスでの移動になれば、と思っていたほどでした(笑)。しかし、フタを開けてみると、当日は気温もそれほど高くなく、尾根を渡る風がむしろ心地よく爽やかで、若い参加者が多かったかともあって、予定時間より早めに目的地である丹生都比売神社に到着することができました。ただ、念には念をと思って途中2ヶ所でペットボトルの補給部隊と万一のための救援部隊を配してあったことが奏功し、ぼく自身、用意された2本のペットボトルを到着までに飲みきってしまいましたので、やはり水分補給は大切だなぁと思った次第。とにかく無事、ゴールインできて今はホッと胸をなで下ろしています。

サマーセミナーの特徴は、こうした「歩いて体感する」ことともうひとつ、中世文書の実物を見学することにあるのは言うまでもありません。今回も3件の文書群を見学しましたが、運営側としては、博物館などの公共施設に保管されているものではなく、個人宅保管や新出の文書など、ふだんはなかなか見ることが難しいものを見てもらえるよう、見学する文書群の選定にも意を尽くしたつもりです。参加人数に比して見学する文書の数が少なめで、やや窮屈な思いをさせてしまったかも知れませんが、リスクなどを勘案してできる限りの数を用意したつもりです。ただ、個人的に残念だったのは、皆さん写真を撮ることに熱心で、実物の「観察」がおざなりになっているんじゃないかな、と思えた点です。最近のデジタル技術の進歩は確かに目覚ましいものがあることは分かっていますが、中世文書を携帯のカメラで撮る姿を見た時には、何だか時代を感じてしまいました。まぁ、こんなことを感じるぼく自身が、年を取ったということなんでしょう。そう思えば微笑ましい光景ではありましたが(笑)。

高野山でのサマーセミナーと言いつつ、高野山の山内を案内できたのは最終日になってからで、しかも高野山の全体像についてまともに説明する機会もなかったので、初めて高野山に行った方にとってはちょっと不親切なセミナーだったかも知れません。最終日の午後は3コースに分かれての行動になったのですが、玄人向けの「女人道」コースが一番参加人数が多かったところからみて、やはりそこは手練れの中世史研究者の集まり、高野山初心者であってもそんな配慮は無用だったのかも知れません。また、全体を通じて、現地での説明は抑えめにしました。サマーセミナーは単なる観光旅行ではありませんので、参加した個々の研究者で関心も視点も違うと思ったからです。その分、レジュメを多めにして解説を加えたつもりですので、今からでも現地の様子を思い返しつつ、レジュメを見直してみてはいかがでしょうか。

さて、これで今夏最大の学界イベントも終わり、そろそろ9月の声も聞こえてきました。秋はいろいろと学会・展覧会も目白押しですね。私は頼まれた原稿の締切も目白押しです(笑)。不義理を重ねないよう、今から少しずつ準備します。。。