新・臨床検査の光と影

人の命を測る臨床検査に光を!

厚労省との意見交換と要望(15)

2010-10-29 13:55:57 | 臨床検査技師の業務

     看護師の医療行為・検査技師ができること?

     看護業務WGが、日臨技会長らにアンケート

 看護業務務検討WGは10月20日、今後の検討の進め方について議論が行われ、看護師が行う「医行為の範囲に関する研究班」や「日本医師会の実態調査結果」に加えて、日本薬剤師会など9団体で構成する団体のトップに対して「看護業務の実態関するアンケートへの回答を依頼しました。

 狙いは、チーム医療でそれぞれが専門性を最大限に発揮できる「連携の在り方」を探るためです。

 一方、9団体から外されている日本言語聴覚士協会、日本臨床検査技師会などにも、医師や看護師と分担・連携することが可能な業務や、今後実施が可能な業務について、アンケートに答えるよう、18日付けで、それぞれの団体トップに向けて要請を発しました。

 その結果は、11月下旬以降にWGで発表する予定のようです。

 われわれ「検査問題対策WG」は、先の厚労省との意見交換の際に、生理学的検査など、患者に対する事前のオリエンテーションや、特定保健指導、NSTなどへの積極的参入が可能になるよう要望したところです。

  とくに、10月28日に行われた、日本公衆衛生学会フォーラムで、『特定検診・特定保健指導』では「現場はメチャクチャだ!」と云う悲鳴にも近い批判と、惨憺たる結果が報告されました。

 さて、臨床検査技師に、何ができるか、そのために何が必要かも含めて、「臨床」の2字が形骸化されることのないよう、積極的な姿勢を示す、よい機会ではないかと、注目しています。


厚労省との意見交換と要望(14)

2010-10-21 13:55:55 | 臨床検査技師の業務

        感染症専門医の不足

    検査や防止策の病院負担の増大

 「院内感染をゼロにするのは不可能」が云われているなか、水面下で拡大を続けている多剤耐性菌。

 原因として、①感染症専門医の圧倒的不足、②検査や予防対策の費用の病院負担の増大、③欧米に比べて、少ない個室、などがあげられています。

 一方で「市中発症する肺炎に多剤耐性菌の感染リスクが高く、院内感染に近いタイプの肺炎が存在する」ことが各所で指摘されています。

 米国では、『HCAP』、すなわち『医療ケア関連肺炎』と定義され、高齢者の誤嚥が大半を占め、グラム陰性桿菌の検出率が40%、と報告されています。

 多くの関連学会が、一斉に提言を打ち出す方向にありますが、とりわけ、病院検査室の細菌部門担当技師が、個々の病院で、どのように対応をし、具体的な貢献をしているのか?、いまこそ、その存在価値と貢献の在り様をアピールする、絶好の機会でもあります。

 今年度の検査に関する診療報酬改定でも、唯一、細菌検査部門が焦点となって、幅広く引き上げられたことは、病院経済への貢献も少なくありません

  細菌検査を下請検査所に丸投げしているブランチ検査室も、自主運営検査室への転換に踏み切る契機にしたいものです。

  そうすれば、検体検査管理加算も、堂々と請求できるではありませんか?

 またこの機に、感染症専門医と臨床検査技師の、合同対策研修会などが、各地で開催され、統一して取り組む体制を、早急に作り上げたいものです。 


厚労省との意見交換と要望(13)

2010-10-02 11:23:52 | 臨床検査技師の業務

        院内感染と事件としての警察の捜査

          帝京大病院、ようやく救急再開

 院内感染の「消息宣言」を検討するたびに、あらたな患者の発生がみつかる。

 藤田保健衛生大病院の対策責任者の述懐です。

 最初の患者が2月10日、16日に保健所に報告。

 7月までに24人、9月24日になって、また新たな患者がみつかる。その間、毎月2~3人発生、といった形で、院内感染完全防御の困難さをもの語っています。

 感染学会の賀来理事は、「人手不足もある。隔離感染は難しく、院内感染ゼロは不可能、細菌検査の費用は、保険点数に全く無関係で、病院もちの費用は嵩む一方、欧米に比べて、個室が余りにも少ない」と。

 9月30日、帝京大病院は救急センターの受け入れを再開しましたが、一般救急や新規入院は、引き続き制限。

 発生からの感染者数は59人、34人が死亡、うち9人が感染との因果関係が疑われているとか。

 それにしても、事件としての警察の捜査、その間に、緊急入院すべき患者や、規制に遭遇した新規入院患者は、どうしたのであろうかと、思いを巡らしました。

 細菌検査室は、どう奮闘したのでしょうか。ご苦労の程を思いやりました。