Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ウルトラマンと「正義」の話をしよう

2011-07-10 | 読書
著者の神谷和宏氏は中学校の教師。10数年間にわたって、「ウルトラマン」のエピソードを見せて「正義」について考えさせる授業をしてきた方だ。そういう人がいる、ということは以前から存じていたのだが、今回その内容が出版された。立ち寄った本屋で1冊だけ棚に残っていたものを購入し、一気に読み上げた。

ウルトラマンと「正義」の話をしようウルトラマンと「正義」の話をしよう
神谷和宏

朝日新聞出版 2011-07-07
売り上げランキング : 1748

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

「ウルトラマン」シリーズは単なる勧善懲悪ではない。ジャミラが登場する「故郷は地球」に代表される実相寺昭雄監督の作品では、ヒーローものを見ているのに心に長く残る哀しみや世の中への疑問が刻まれたものだ。神谷先生は「ウルトラ」シリーズを分析し、放送された当時の時代性や民族性、ナショナリズムなど多様な視点から名エピソードを解説している。今どきの中高生にこれらを題材にものを考えさせる試みはたいへん素晴らしい。きっといいことを教えてくれると思うのだ。

僕は1966年生まれなので、初代「ウルトラマン」は再放送組。真剣に見始めたのは「ウルトラセブン」から・・・そして子供が生まれてから平成ウルトラシリーズを真剣に見た。中でも非戦を貫く「ウルトラマンコスモス」には夢中になったし、人類の存在を見つめ直す「ウルトラマンガイア」には衝撃を受けた(劇場版は屈指の傑作だと信じている)。「メビウス」には懐かしさとともにスピリットが引き継がれていることにいたく感動したものだ。

かくいう僕も専門学校生を相手に、"ヴァーチャル社会見学"の目論見で映画を観てレポートを書かせる「映画授業」を数年間させていただいた。いろんな国々の映画を観て視野を広げることや社会問題、平和について考えさせることが目的だった。最後にやった2009年にはさらに一歩進んで、"人間の残酷さ"や"人に支えられていること"についても考えさせる題材にも挑んでみた。切り口は違うものの、学生たちに向けたメッセージは近いものがある。神谷先生の「ウルトラマン」授業を受けた学生たちが「ウルトラ」シリーズのスピリットを受け継ぐとともに、様々な面から物事を考えるようになったのではないか。素晴らしい試みだし、30分の映像作品というところが現場にとっては現実的でもある。

この夏休みに僕はこの本を中学生の息子と読みたいと考えている。だいたい小学校中学年から(誰が与えたのか)宗田理の「僕らの~」シリーズを読んで、世間や大人に対する厳しめの視点を持ってる。彼が今の目線で何かを感じてくれれば・・・と思うのだ。

神谷先生の本にも登場する問題作「帰ってきたウルトラマン」の「怪獣使いと少年」。その続編となるエピソードが「ウルトラマンメビウス」の「怪獣使いの遺産」を、息子が7歳のときに観ながら描いた絵がある。
 
これを描いたときの日記はこちら
差別や集団心理の怖さを描いたオリジナルに対して、続編では優しさの連鎖が語られる印象深いエピソード。僕はこの回を涙なしに見ることができなかった。息子はこのエピソードに込められたメッセージはもう覚えていないかもしれない。でもきっと記憶のどこかから呼び起こされるものがあるに違いない。

ウルトラマンメビウス Volume 8 [DVD] DVD帰ってきたウルトラマン Vol.9

じっくりシリーズを見直したくなりました。神谷先生、ありがとう。

↓こちらも是非ご覧ください。
ウルトラマン基金 ULTRAMAN FOUNDATION

ブログランキング・にほんブログ村へ blogram投票ボタン

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前の記事へ | トップ | 7月11日(月)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。