Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

涼宮ハルヒの消失

2010-03-14 | 映画(さ行)

■「涼宮ハルヒの消失」(2009年・日本)

監督=石原立也/武本康弘
声の出演=平野綾 杉田智和 茅原実里 後藤邑子 小野大輔

(ネタバレあります)
 ええい、正直に言う。近頃「涼宮ハルヒの憂鬱」に夢中になっている。昨年放送されたテレビシリーズを興味本位で見たのが運の尽きだった。原作のライトノベルだけでなくコミックにも手を出した。ハルヒだけでなく他のキャラクターの魅力はもちろんだが、僕は物語の設定に「うる星やつら ビューティフルドリーマー」の影を感じたのが大きい。それにキョンのぼやきの様なナレーションがウディ・アレン映画のような自嘲的な響きがあって、好みだった。ハルヒ楽曲の数々にも魅了されてきた。今や、ハルヒの名がつくものならとりあえず興味は示してしまう。同僚はこんな僕を現実逃避?と分析した。そうかもしれない。萌えキャラが確実に出てくるよなアニメにハマるなんて、今までなかったから。でも常識を越えたわがまま娘の物語に魅了されたのは、上記のような理由だ。”萌え”だけが理由じゃないゾ(無理しちゃって・・・)。

 原作の中でもお気に入りのエピソードが「涼宮ハルヒの消失」だった。ノベルもコミック版も夢中になって読んだ。だから物語はすべて理解した上でこの劇場版に足を運んだ。結末も展開もわかってるはずなのに・・・ヤバい。映画館の暗闇で涙を流している自分がいる。なんてことだ、40歳過ぎだぞ。美少女アニメ観て泣けるなんて・・・恥ずかしいけどマジで泣けたんだ。それは原作やコミック版で描かれた登場人物の心情が、アニメになったことでやたら増幅されてしまっているからだろう。

 映画の冒頭、涼宮ハルヒがいかに主人公キョンを悩ませている存在なのかが語られる。平穏な高校生活を送るはずだったキョンが、常識を越えた存在であるハルヒの巻き起こす騒動に巻き込まれるのが、この物語の本筋だ。だが「消失」編は、そのハルヒが姿を消し、キョンを残して世界が一変する物語。彼には元の世界に戻すためのヒントが託される。危機に陥ったキョンの孤独感と喪失感。
「なんてこった。オレはハルヒに会いたかった。」
って名台詞がつぶやかれる場面。僕はそこでまず泣いた。シリーズの中でもこのエピソードは、キョンが巻き込まれた被害者としてでなく、自分がSOS団の一員であることを自ら選択するという重要なものなのだ。そこまでの葛藤がいい。映画ではガラスに映った自分と対峙することでその葛藤が描かれる。この演出は巧いね。そこでまた僕は涙を堪えられなかった。

 だが劇場版がすごいのはそれだけじゃない。長門有希の心情がきちんと表現されていて、多くは語らないまでも映画全体がラブストーリーとして成立しちゃっているところだ。キョンが元の世界に戻すか否かの選択をする場面。自動改札で立ち往生しているキョンの袖を引っ張る有希の絵柄は強烈な印象を残してくれる。恋心を伝える饒舌な台詞もない。抱き合うことさえない。でも有希の息づかいと表情、そしてエリック・サティのジムノペディが、観ている僕らをとても切なくする。こういうおセンチな雰囲気に弱いんだ・・・。エンドクレジットで流れる主題歌がまた有希の心情を代弁した内容で、ここがまたじーんときちゃうんだな。特にコミックはキョンの大冒険をメインに据えているように感じられたが、劇場版は同じ物語なのに味わいが大きく違う。

 アニメの劇場版はどうしてもファンサービスになりがち。この映画だってそうだ。突然これだけを観てハルヒの世界を理解しろったって無理な話。一本の劇場映画として成立できてはいない。でもこの映画に関して言えば、それでいいのだ。これはファンの為に製作された劇場版なんだ。原作のイメージを壊さないように、2時間半にも及ぶ大作になってしまっているが、それは僕らの期待を裏切らない為。ただ、キョンが目覚めた後のハルヒが無理に強がっているのをもっと見たかったけどね。

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