★YUKAの気ままな有閑日記★

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【本】博士の愛した数式

2007-10-17 13:32:12 | 本【小説・日本】

               『博士の愛した数式』     小川洋子     新潮社
【comment】
古本屋さんでハードカバーの本を眺めていたら、この本とバッチリ目が合ってしまった。
映画も未見であるし、物語にもさして興味が無かったのだが、、、暫く見つめ合った後に家へ連れて帰ることにした。

著者の小川洋子さんという名前にピンとこなかったのだが、後から、以前『薬指の標本』を読んだ・・・と思い当たった。
その本を読んだ時の感想としては、「何だかこの雰囲気はフランソワーズ・サガンを思い出すなぁ~」というものだった。
上手く言葉で言い表せないが、「感覚的で官能的な文体を書かれる方だなぁ~」という印象を受けたのだ。

さて、本作は『薬指の標本』とは全く違う趣を持った作品である。
だがここでの文体も、物語の性質上官能的ではなかったが、とても感覚的であったと思う。
私にとっては、「ダイレクトに脳に飛び込んできたというよりも、ジワリジワリと攻められて・・・気がついたら心を打たれていた―」というような作品だった―

  -story-
家政婦として働く「私」は、ある春の日、年老いた元大学教師の家に派遣される。博士は優秀な数学者であったが、17年前の事故で記憶障害を患い、80分しか記憶が維持できなくなったという。数字にしか興味を示さない博士とのコミュニケーションは困難を極めるものだった。しかし「私」の10歳になる息子との出会いをきっかけにその関係に変化が起きる。博士は息子を笑顔で抱き締めて「√(ルート)」と渾名を付けた―
        ~2004年 第1回 本屋大賞受賞作品~

物語の登場人物たちに名前はない。
だが、それに気付かない程自然で、実に活き活きとした人々が見えてくる。
博士、家政婦さん、ルート、そして博士の義姉・・・
この愛すべき人たちは、古くなって軋んだ博士の家で、優しく思いやりに溢れた会話を繰り広げる。
1つ1つのエピソードに深く切り込んではいないが、読む者にフンワリとした想像を巡らせる間を持っている。

時折登場する数々の数式も、彼らの手にかかると無機質なものではなく、美しく穏やかな詩のようにも感じられた。
ともすると、いや確実に深刻である病気の博士の日常を、重くではなく淡々と・・・だがとても真摯に描いていた―

博士は、自分の運命をどんな思いで受け留めながら、メモを貼り付けた背広を着て(忘れてはいけない事を書き留めたメモ)数学の神秘に取り組みながら過ごしたのだろう―?
博士と義姉の密やかな想いはどんな風なのだろう―?
家政婦さんとルートの母子は、苦労の多い生活だったろうに、他者への思いやりの心を忘れてはいない・・・なんて素晴らしいのだろう―
そして、博士と母子がお友達になれたことは、美しい奇跡なのだ―
・・・などど思わずにはいられない・・・

「この本のどこが好きですか?」と聞かれたら、「優しいから」と、小学生のような受け答えをしてしまいそうだ(笑)
ここに流れる空気を感じ取るには読んでみるしかないだろう。(或いは映画でも感じられるかもしれない。)

古本屋さんで偶然出会い連れて帰って来たこの本を、読み終えても暫く離したくなかった。
私は多分これからも、時折博士と家政婦さんとルートの優しい時間を覗きたくなるだろう―

   ~早速博士は袖口のメモの続きにその記号を書き加えた。
              《新しい家政婦さん と、その息子10歳 √》~ (本文より)
 
     映画はオススメだろうか・・・観てみようかなぁ~  (4点)

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12 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
おすすめです (ひめ)
2007-10-17 22:02:21
私は映画も見たんですが、おすすめですよ~。
本を先に読んでから見たんですが、優しい暖かい感じが溢れてますよ。
本はたしか、家政婦さんが語ってたと思うんですが
映画ではルートが語っています^^
博士に寺尾さんがぴったりでした♪
ひめさんへ^-^* (由香)
2007-10-18 08:22:53
こんにちは!
ひめさんは本を読まれてから映画を鑑賞されたんですね^^・
私も本が思いの外気にいってしまいましたので、映画も観たい気になっています。
寺尾さんは博士のイメージにピッタリで、優しい雰囲気の映画に仕上がっていそうですね~
近いうちにwowowで映画を放送するので観てみようと思っているんですよ。感想は書けるかどうか分らないけど(汗)
こんばんは^^ (ひろちゃん)
2007-10-18 20:44:14
公開時に映画に行けなかったので、ぜめて原作読もうと
本を買いました。(いつもは映画を観てから原作なのですが)

じわりじわりと・・・
優しいから・・・相変わらず由香さんの表現いいなあ・・
好きです(告白・笑)

楽しいことより、もしかしたらつらいことのほうが多かった
人たちなのかもしれませんが、この本からは、つらさより
大変さより、やさしさとかあたたjかさをもらいました。
この本読んで、映画我慢しようと思ったのですが、ますます
映画が観たくなったことを覚えています^^

地上波で映画を観ましたが(途中から気がついたので
途中からだったのですが)良かったように覚えています。
WOWOWで放送があったら、ちゃんと観ようかな^^
ひろちゃんへ^-^* (由香)
2007-10-18 23:44:49
こんばんは!
ひろちゃんも原作を読まれましたか^^・
うわ~そんな・・・普通の表現しか出来ないんですぅ~
どうも語彙力が乏しくて(汗)、精進のしようがなくて困っております。

そうなんですよね~
楽しいことよりも辛いことの方が多い人たちのはずなのに、とても優しくて暖かな心が伝わってきました。
何でしょう?静かな思いやりでしょうか。とても静かで穏やかな愛をジンワリと感じましたね。素敵でした。

少し前に地上波で放送していましたよね。
実は興味がなくて観ませんでした(汗)
でも今は観たいなぁ~と思っています。
wowowで19日午後7時からやりますね。
忙しい時間帯ですが、出来たら観たいと思っています。
テレビで見ました (seagreen)
2007-10-19 12:36:13
本は読んでいませんが、テレビ放映で見ました。
見てよかったなと思いました。
ある友人曰く、「ああいう風に教われば、数学嫌いにならなかったかも」(笑)
seagreenさんへ^-^* (由香)
2007-10-19 23:16:09
こんばんは!
先程wowowの放送で鑑賞出来ました!!
思った以上に良い作品でした~
寺尾さんが博士役にピッタリだったと思います。

私も博士の教え方はいいなぁ~って思いました。
愛が溢れているんですもの~
ルート君はいい先生に出会えて幸せでしたね♪
Unknown (さやの)
2007-10-23 22:00:32
由香さん、TBありがとうございました。

この本は、はじめて読んだ小川さんの作品で、
「何だか話題になってるけどどうなんだろう」と半信半疑で読んでみたら、予想以上に気に入りました。
映画も本と同じように優しい雰囲気でよかったですよね。

博士の話を聞いていると、数学の美しさが伝わってくるようです。
さやのさんへ^-^* (由香)
2007-10-23 23:22:26
こんばんは!
コメントまで頂きありがとうございました^^・

私も先日映画を観ましたが、寺尾さんが博士のイメージピッタリで良かったです。
映画では少しだけお話が変わっていましたね。
私はやっぱり小説の方が好きかなぁ~

博士も家政婦さんもルートも優しい人たちでしたね~
こちらの心まで温かくなりました・・・
おひさしぶりです。 (たーくん)
2007-11-02 22:35:51
原作は読んでいないのですが映画よかったですよ^^
何も知らず観てたら「メメント」の設定かと思い、
でもやはり寺尾さんいい味出してますし周りもうまいです☆
たーくんさんへ^-^* (由香)
2007-11-03 00:29:59
こんばんは!
コメントありがとうございました^^・
この本を読んだ時は映画が未見だったのですが、先日鑑賞出来ました。
やっぱり寺尾さんがとても良かったです。
本のようにジーンと感動しました。
仰るように周りの方々も良かったですね♪

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