広く浅く

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泉・外旭川新駅

2011-06-27 21:22:40 | 秋田のいろいろ
ご存じの方も多いと思うが、秋田市内に新しい鉄道の駅を造るという構想がある。
ただ、具体的な情報が少なく、かつ錯綜していて、誤解されている点もあるようだ。政治家や鉄道愛好家などが、どこかで話したり新聞に投書したりネット上に掲載したりした個人的な構想や願望が、あたかも決定事項のように捉えられている場合も一部にはあるようだ。
例えば、「羽越本線の茨島地区や奥羽本線の楢山地区に駅を造る計画がある」、「新しい駅の名称が既に決まっている」といったことは、現状では確定事項ではない(というか検討すらされていない)と思われる。
【30日追記】2006年頃にJR東日本から、上記に関連する発表があったとの情報もある。それがデマだったのか、それともなかったことにされてしまったのかどちらかなんだろう。機会があれば調べてみたい(期待しないでください)。


唯一、明確な駅設置構想があるのは、奥羽本線の秋田-土崎間のJR貨物秋田貨物駅付近。
地名でいうと、外旭川(そとあさひかわ)や泉地区なので、「泉・外旭川新駅」などとして、政治家や報道がごくまれに話題にする場合がある。

奥羽本線の秋田-土崎間は駅間が7キロも離れていて、住宅地が途切れなく続いているのに途中に駅がない。そこに駅を作ろうという構想。
新駅予定地付近を通るバス路線は新国道経由や神田線などがあるが、線路周辺からはやや遠い。バスで秋田駅前まで行くと20分はかかるが、駅があって列車が利用できれば5分以下だろう。運賃もJRなら200円以下。(秋田-土崎で7分、190円)
現行ダイヤでは1時間に2本程度運行されていて、決して不便ではないと思う(本数が少ないと考える方もいると思うが、地方都市ならこんなもの)し、駅があれば需要はあると思う。
右が外旭川、左が泉菅野。線路沿いまでびっしり家が並ぶ
※この画像と次の画像は上り列車の後部から撮影しました。

現在の新駅構想は、2008年に出てきたものらしい(詳細は後述)。
その後の2009年4月に初当選した現秋田市長は、泉・外旭川への新駅設置をメインの公約の1つに据えていたので進展すると思っていたが、具体的な話はあまり聞こえてこない。
そんな中、僕が確認できただけで、3度報道されているので、それをまとめてみる。

1.2009年6月18日付「日刊秋田建設工業新聞」サイト「市との勉強会で3案を提示
同年5月に行われた、秋田市都市整備部とJR東日本秋田支社の勉強会の内容が掲載されていた。
新駅構想は、秋田市泉菅野ほか地内の同社旧秋田運転支所跡地約55,000平方メートル内への新駅設置と、同地の開発・有効活用を目指すもの。 昨年(=2008年)6月に秋田市と開催した第1回勉強会以降、 表立った動きはなかったが、 4月に就任した穂積志市長が公約に掲げていることもあって検討の機運が高まり、 約1年ぶりの勉強会開催となった。

その勉強会では、駅の位置に関してJRから3つの案が提案されたそうだ。詳細は省略するが、
泉菅野付近の旧秋田運転支所跡地(=貨物ではなく東日本の施設だったらしい)に設置するものが2案。(両案で線路の移設や駅舎・ホーム配置が異なる)
もう1つは南寄りの天徳寺地下道付近に設置するもの。
JR用地を挟んで上下線が分離しているこの辺にできるのだろうか?
JRでは「(平成)27・28年度に予定している電子連動装置改修計画」があるそうで、「秋田貨物駅構内において、 線路のポイント制御装置を抜本的に更新する」ため、この更新工事と駅設置工事を同時に行えば、効率的にできるという考えがJR側にはあるようだ。ただし、それだと着工・開業が遅れることになる。
つまり、JRとしては、「駅設置はやぶさかではないけれど、こっち側の工事もあるから、もうちょっと待ってよ」と思っているのだろうか。

一方、市側は「「3パターンで提示されたアウトラインだけでは判断材料が足りない」 として、 市独自でも整備パターンの検討に着手する。 」そうで、
今後も開催が見込まれる第3回以降の勉強会に向けては、 市・JR双方とも 「現場担当者レベルでより実務的な協議・検討を進めるのが望ましい」 とのスタンスで一致」している(していた)そうだ。
以上、2年前のお話。


2.2010年12月17日号「週刊アキタ」のトップ「動き出すか!? JR 泉 外旭川 新駅構想 秋田市は慎重に調査中
ものすごく簡単に結論から言うと、見出しの通り「具体的なことは未定」。ほとんど進展していないようだ。
この記事ではJR側への詳細な取材はなく、装置更新工事とやらにも触れていなかった。駅の設置位置は泉菅野付近としていた。

新駅設置については以前にも「昭和60年、平成11年に地元の町内会連合会などから設置要望書が提出され」たことがあったのだそう。
新駅では「JRの試算では1日約千人ほどの乗客数が見込める」とのことだが、これは「乗降客数」ではなく「乗客数(駅から乗る客の数で、降りる客の数は含まない)」のことなのだろうか?

この記事では、秋田市内に路面電車を走らせようとかいう飛躍気味の内容もあったし、泉・外旭川新駅が「秋田工業高校、秋田北高校、秋田高校へも近い(のでその通学需要がある)」という表現もあった。
秋田高校はどう考えても秋田駅の方が近いし、他の2駅【訂正】2校だって似たようなもの(川があるから遠回りになるし)。
むしろ、新駅周辺に住んでいて、土崎・追分・羽後牛島・新屋など市内各駅の学校へ通う生徒の需要が期待できる。

ちなみに、この記事中で例として出していた函館市交通局に「社長」がいることになっているという明らかにおかしな内容もありました。(公営企業だから「事業管理者」でないと)※函館市交通局は今年度から函館市企業局交通部に再編された。


3.2011年6月24日付「秋田魁新報」秋田市面「来年度中に方向性/穂積市長 利用者特性把握へ
先週、久々に新たな記事が。開会中の秋田市議会の一般質問で取り上げられ、それが魁に出た。

上記と一部重複するが、新駅構想はJR秋田支社が2008年5月、市に打診したもの。以後、市とJRが勉強会を立ち上げ、会合を14回開き、検討を重ねてきたとのこと。
議会で市長は「「泉・外旭川新駅」設置について「来年度中に本格的な需要予測などを行い、一定の方向性を見いだしたい」との考えを示した。
など、ほんの少し動き出したように受け取れなくもない。

しかし、「一方で、「JR側には(打診)当時と社会情勢が変わったという認識があり、市の思いとは多少ずれている部分もある」とも述べた。」という。

また、「08年以前にも外旭川地区住民の要望に基づき、市とJRの間で話し合いが持たれたが、数億~数十億とされる駅舎建設費の市負担金がネックとなり、結論が出なかった経緯がある。」ともあった。



以上、2年分の新聞記事を見ても、新駅設置について大きな進展はない。
市長のもう1つの公約の柱であった、秋田公立美術工芸短期大学(美短)の4年制化については、市長は「私も副市長も、職を賭してという思いがある」と述べたことがあるらしく、とにかく早く何としても4年制化したいようだ。
それに比べると、同じメイン公約であったはずの新駅設置にはあまり乗り気でないように感じてしまう。
実際どうなのか分からないが、個人的には、市長の任期が残り2年を切ったので、とりあえず検討はしたよという事実を作るべく仕方なく駅の検討に入ったという感がしなくもない。

全国的に見ても、秋田市程度の規模の地方都市では、駅があれば便利そうな場所なのにそこに駅がないという例はままあると思う。
しかし、その一部では、新たに駅を開業した所もある。例えば、富山市では社会実験として2007年から2010年度まで、JR高山本線に臨時の新駅を設置(婦中鵜坂駅)していた。実験の結果、一定の利用があったため今年度以降も臨時駅のままながら、引き続き供用されている。
また、秋田県内でも、奥羽本線の井川さくら駅(1995年)、羽越本線の岩城みなと駅(2001年)などが比較的最近、開業している。
新駅の多くは、地元側から鉄道会社に「駅を作って!」と要望するのだと思う(いわゆる“請願駅”)が、泉・外旭川の場合は逆にJRの方から打診があったというから、秋田市としては(費用負担があるにしても)JRとの交渉が多少優位に進められそうにも思える。秋田市にとっては絶好のチャンスだと思えるのだが。
【2013年12月2日追記】2013年11月の報道では、この駅も「請願駅」の扱いになるらしい。情報が交錯しているのか、時とともに変化したのか。

泉釜ノ町~外旭川の歩行者自転車道。今は住宅と細い道が続く場所だが…
高齢化や低炭素社会に向けて利用しやすい公共交通を実現させるため、秋田市でも新しい駅を造るべきだと、僕は考えている。
車社会だし、70歳以上の市民は100円でバスを利用できるし、といっても公共交通をもっと充実させるべきだと思う。
既存の路線に新駅を造るのであれば、費用はそれほどかからないはずだから(億単位だとしても、道路建設など他分野にこれまで散々つぎ込んできた費用と比べれば大した額ではないと思う)、夢物語ではないはず。

「泉・外旭川新駅」が実現し、さらには周辺のバス路線網や道路環境も改善され、便利な街になることを願いたい。
※続きはこちら
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