広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

学親展って?

2017-03-10 00:21:08 | 秋田のいろいろ
封書に表示される「親展(しんてん)」。
宛名の人自身が開封してくださいという意味。実際のところ、他人が勝手に開けてしまったら、どうすることもできないけれど。

僕は知っていたけれど、この意味を知らない人もわりといるらしい。
最近、林修先生が意味とともに、漢文で「親カラ展ク(みずからひらく)」ということだと説明していた。
近頃は「必ず宛名のご本人が開封してください」などと丁寧に書いてるものもあるから、消えていく言葉なのかも。


さて、親展の“仲間”と思しき言葉なのだけど、僕には意味、というか意義が分からない言葉があった。
「学親展」である。
ご存知でしょうか?

僕が知ったのは、高校生の時。
高校では、成績通知(いわゆる通知表、通信簿)が、保護者宛てに郵送されることになっていた。
その封筒に、一般的な「親展」と同じ位置、形式(枠で囲った)で「学親展」と印刷されていたのだ。※上の画像はイメージ。

「保護者自身が開封してください」という意味なのは推測できる。
でも、その宛名が保護者名なのだから、「親展」としても同じことなのに、なぜ「学」が頭に付くのか。
「親展」という言葉があるのだから、「学/親展」と区切られるのだろうか? あるいは、「学親」という言葉があるのか?
ずっと謎だった。
林先生の「親カラ展ク」を踏まえると、余計に「学親展」が分からなくなる。


Googleで「"学親展"」を検索したら、検索結果はなんとたった27件。
かなり限定された言葉なのか?
ちなみに「"学親"」では、それらしきものは見当たらなかったので、そういう言葉は存在しないようだ。

検索結果の各ページでは、まず、Yahoo!知恵袋で「学親展」の意味を尋ねる人(地域は不明)がいたが、明確な答えはつかなかった。
現在、使われているものとしては、秋田県と長野県の事例があった。【10日追記】秋田県内の高校では、公立・私立とも、使用している学校があるようだ。(=使用していない学校がある可能性もある)
長野県では、保護者宛ての成績通知ではなく、転校生や高校入試などについての、学校間、すなわち他校宛ての書類の封筒に「学親展」を表示しなさいといった、規定についての記述が見受けられた。

また、滋賀県における明治~大正時代の公文書の一覧みたいなのが引っかかった。
明治44年の「教員の進退に関する封書に「学親展」朱書方徹底の件」、大正6年の「教員身分進退等に関する親展文書記号の件(「学親展」)」との文書名。
内容は分からないが、これも保護者ではなく、学校関係者間でのやり取りと思われる。


以上を踏まえても、やはり「学親展」の由来は不明。「学校関係の親展文書」ということっぽいけれど、言葉の成り立ちとしては、すっきりしない。
用途としては、もともとは学校内部、学校間、もしくは学校と監督官庁との間のやり取りに表示されたものだった可能性がある。
そして、全国的には使われなくなったものの、長野など一部地域では今も使われ続けている。
さらに、秋田県では、なぜか保護者宛て文書にも表示されるようになったということではないだろうか。

教育現場特有の表現に地域性が加わる例はけっこうある。
通学区のことを、主に東日本では学区/西日本では校区といったり、模造紙(主に西日本方面でさまざまらしい)や上履き(秋田などでは内ズック)の呼び名が地域で異なったりするように。
「学親展」もその1つなのかもしれないが、かなり局所的な気がする。使用状況や由来について、なにか情報があれば、教えてください。
コメント (6)
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