広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

外旭川の円筒分水

2017-03-02 00:02:24 | 秋田の季節・風景
1年ほど前、地図サイトで秋田市外旭川(そとあさひかわ)地区を見ていると、不思議なものが描かれているのを発見。
Googleマップより。左の赤丸付近を拡大したものが右
天徳寺(平和公園)の西側ふもと、外旭川中学校と通称・横山金足線のちょうど中間付近。
川というか水路が流れていて、その途中で流れが円形になって、その中央に島状のものができている。

噴水か? と思ったが、こんな場所にはないだろう。田んぼが広がる一帯であることを踏まえると、以前、テレビで知った、とあるものを思い出した。
「円筒分水(えんとうぶんすい)」である。
円形分水、円筒分水工とも呼ばれるらしい。

10年ほど前、NHKBSで放送されていた、様々な趣味に没頭する人を紹介する番組「熱中時間 忙中"趣味"あり」で、円筒分水を調べる趣味の人が取り上げられたことがあり、初めてその存在を知った。
番組では、弘前市石川にある円筒分水を取り上げていた。※その後、実際に行ってみた

ネットには、円筒分水趣味のサイトもあって、それによれば秋田県内では美郷町や北秋田市には、円筒分水がある。秋田市にあるという情報はなかった。(今回改めてよく調べたら、別のサイトに1件だけ示唆する情報はあったが、詳しい場所や写真は分からない状態)
弘前市石川の地図を見ると、外旭川と同じように描かれていることからして、外旭川のは円筒分水に違いない。そう思って、昨年春、現地へ行ってみた。

農家らしきお宅が点在する狭い道路を北上し、途中で分かれるさらに細い砂利道に入るとまもなく、老人ホームの裏側が見え、その下を水路が流れている。稲の生育時期だったので水量は多く、流れは速い。そこには、
これが!
近寄ることはできないが、道からでもよく見える。【2日補足】ただし南側からしか見られず、周囲に草が生い茂っているので、構造の細部は見えない点も多い。
テレビで見た弘前市石川のよりは小さいが、【2日追記・大量の水が中央部から湧き出ているのが】なかなか迫力がある。
逆方向から。水は手前から奥へ流れる
円筒分水の実物を見たことがないし、知識もないので断言はできないけれど、やっぱりこれは円筒分水でしょう。
消えかかった注意書きによれば「旭川筋土地改良区」が管理しているようだ。

円筒分水とは、主に農業用水を正確な割合で分配するための設備。
稲作において水は重要で、その配分を巡って、村や集落どうしで争いになることもあったという。
水路を単純に区切っただけでは、流速の違いなどの影響で公平に分けることは不可能なので、このようなものが昭和初期頃【3日補足・発明はもう少し前かも】に発明されたようだ。

ここの場合、東・天徳寺方向から水が流れてくる。旭川の水が「穴堰」を通って来たものか。

その水が、円筒分水の中央部から湧き上がって、円筒分水下流側の切れ目から分配されて流れ出ていくようだ。
円筒分水以下で二手に分かれるようで、一方は地図にも記されている北へ向かうもの。もう一方は、西~南へ行くようだ。
方角からすれば、一方は笹岡集落、もう一方は神田、梶ノ目、八柳などへ向かうのか。【4月11日訂正】正しくは3方向に分けていた。末尾にリンクがある再訪時の記事参照。

住宅も増えたものの、今も一面の田んぼが広がる外旭川。そんな秋田市中央部から遠くない場所に円筒分水があったとは驚いた。今の時期は水の量が減っているかもしれないが、あと数か月すれば、またなみなみと水が流れ、田を潤すことだろう。【2日追記】ひょっとしたら、田植え前後などもっと水が必要な時期は、円形の枠を越えるほど大量の水が湧き出て(枠の外側にも水が流れる別の枠がある)分配されるのかもしれない。知識がないので断言できませんが…
※見学の際は転落などの事故、ゴミの投げ捨て等で地域の迷惑にならないよう、充分に配慮してください。また、昨年は、この付近でクマの出没が相次いだので、あわせて充分注意してください。

冬に再訪すると、仕組みが理解できた
※さらに、秋田市内にはもう1つ円筒分水があったのだった!
コメント (4)
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