広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

ヤンヤンヤヤ

2014-12-03 23:54:00 | その他もろもろ
11月21日、作曲家の越部信義氏が81歳で亡くなった。(訃報が公になったのは27日頃)
一般の人の多くは越部さんのお名前を知らないと思われるが、今の日本人で、越部さんが作った曲を聞いたことがない人は、ほとんどいないはず。

新聞の死亡記事では、「おもちゃのチャチャチャ」、「パーマン」や「マッハGoGoGO」主題歌、「サザエさん」のBGMなどが代表作とされていた。(各紙とも同じようなラインナップなので、事務所か何かがリストを示したのだろうか)
※「パーマン」については紛らわしい。1967年にTBSでモノクロで放送された、初代シリーズのこと。「♪真っ赤なマントをひるがえし」のオープニング曲の作曲。1980年代にテレビ朝日で放送された、第2作は無関係。

越部さんの代表曲はその程度で済むものではない。
「あさいちばんはやいのは(元はみんなのうた)」「はたらくくるま(ポンキッキ)」などの童謡、「おかあさんといっしょ」の番組全体の音楽も担当し、特に、今40歳台中盤~20歳台辺りの人は、子どもの頃に越部さんの曲をたくさん聞いて歌って育ったはずだ。


コマーシャルソングも手がけた。
一部新聞には出ていたが、東芝日曜劇場のテーマ曲(1956~1986年。近年は一部CMで使用)「光る東芝の歌」が有名。
あとは、横浜の崎陽軒の「シウマイ旅情」。元は1968年に映画用として作られ、今も首都圏ではCMに使われているらしいが、東北では崎陽軒のCMは流れないから聞いたことがない。

一方、東北地方ではけっこう知られているCMソングも、越部さんの作品だった。
仙台市太白区にある「八木山ベニーランド」のCMソングである。

前身の遊園地(?)は1930年からあったようだが、1968年に東北初の総合遊園地として開園。その時に作られた曲。
東北各県でこの曲を使ったテレビCMが放送された。僕が小学生だった昭和末期の秋田では、夕方のアニメ(当時は平日17時台の民放はほぼすべてアニメ枠)の合間によく流れていた。今はどうなんだろう?
小学校6年生の修学旅行では、ベニーランドが目的地の1つだった。
【2017年7月30日追記】2017年7月には、ベニーランドの夏休みイベント告知のテレビCMが秋田で放映されており、バックにこの歌が流れていた。昔のCM(イベントではなくベニーランド自体のCM)のほうが歌・歌詞をはっきり聞き取ることができたが、今なお使われていたとは感慨深い。


歌詞は5番まで(音源化されたのは3番まで)あり、テレビCMで流れたのは1番の後半(サビ)部分で、
「やぎやま」につながる掛け声(?=後述)に続いて「♪八木山のベニーランドで でっかい夢が はずむよ はねるよ ころがるよ
というもの。(前半も流れていたかもしれないが、ナレーションと重なって印象が薄かったのかもしれない)
僕はこの部分しか知らなかった。

作詞は真崎冬彦、歌は天地総子。
天地総子(あまちふさこ)さんは童謡歌手で、1985年からテレビ朝日系で放送されたアニメ「オバケのQ太郎」3作目で、Q太郎の声優と主題歌を歌った。(こちらの音楽は、宇崎竜童と菊池俊輔)
秋田では、ABSで水曜の17時辺りに放送していた気がするが、その中でもベニーランドのCMも流れていたかもしれない。


Wikipediaによれば、このCM曲は高校野球(仙台二高)や東北楽天ゴールデンイーグルスの応援団によってチャンステーマなどとしても使われているそうで、地元で親しまれている曲。
「宮城県民だけが知る歌」と認識する人もいるようだが、それにとどまらず上記のようにCMが放送されていた東北地方一円(6県全部?)でも認知されている。



越部さんの逝去は、八木山ベニーランドの(社長兼)園長によるgooブログ「べに~らんどの園長ブログ」で、11月28日に「作曲家の越部信義さん、ご逝去(http://blog.goo.ne.jp/benyland/e/4e853854825f8a411667a759a384b8e6)」として紹介している。
※八木山ベニーランドの社長は「八木」さんという方。今まで、「八木山」というのは所在する山の名前(昔からの地名)で、だから隣にある仙台市営の動物園も「八木山動物園」なのだと思っていた。
ところが、明治時代に八木久兵衛という人が土地を取得して開発した経緯があった。ということは、「八木さん所有の山」だから「八木山」で、その子孫が今のベニーランドの経営者なのでしょう。動物園の土地は市が八木さんから買ったのか?


その園長のブログとベニーランドの公式ホームページ、それにWikipediaに、こんな話が出ている。
ベニーランドのCMソングの歌手・作詞者・作曲者は、2006年まで誰なのか分からなかったという。(制作当時の資料が散逸したということか)
「せんだいCM特捜隊」という団体(仙台放送が関与している?)が、3者を突き止めた。
作曲者については、越部さんではないかと目星を付けて「(越部さんに)音源を送って聞いていただき、覚えてはいないが、これは自分の曲に違いないと認定していただきました。(園長ブログより)」という。
それを経て著作権申請し、CDを園内で販売するようになり、天地さんのCDにも収録された。

僕は音楽はずぶの素人だけど、作曲家個々の特徴的な楽器の使い方とか曲の雰囲気はあると思う。
ベニーランドの曲では、フルートのような木管楽器が使われ(越部作品では頻出)、エレキギターがメロディをなぞっている(昭和40年代頃の曲に多い?)ような所が、いかにも越部さんの曲っぽい。と素人なりに思う。
ちなみに天地さんは、声も歌い方も特徴があり、歌声を聞けばすぐに天地さんだと分かる。と素人なりに思う。(僕は小学生の頃から、ベニーランドの歌はオバQの声の人だと認識していたかもしれない)


ベニーランド公式ホームページでは、3番までの歌詞が出ている。そこで、発見というか自分の勘違いに気づいた。
上のほうで「掛け声?」とぼやかしておいた箇所の歌詞。
ここは、「やぎやま」と掛けた「ヤンヤンヤヤー」が入り、「ヤンヤンヤヤー 八木山の」なのだが、僕はずっと「ヤンヤンヤヤー“ン” 八木山の」だと思っていた。

天地さんの歌を聞くと、「ン」が入っているようにも、入っていないようにも聞こえる。
Googleで検索すると「"ヤンヤンヤヤー"」が4320件、「"ヤンヤンヤヤーン"」が1710件、ひらがな表記だと検索結果はあいまいになるものの「ん」入りが多そうで、僕と同様に誤解している人は多いようだ。
以前も記事にしたけれど、聞き違い・思い込みの歌詞ってまだまだあるのかも。

あと、歌詞ではない扱いだが、1番と3番の歌い出し(=前奏と間奏?)で「リュリュリュ リュリュリュー」とか聞こえるフレーズもある。



社長・園長は「越部さんが亡くなられた後も、ぜひ皆さんに愛され親しまれるよう、PRしていきたいと思います。」としているので、これからも「♪ヤンヤンヤヤー八木山の」は歌い継がれていくことだろう。

【5日追記】上記の通り、「八木さんの山」が八木山の由来らしい。
仮に、八木さんじゃない姓の人が買ってベニーランドを経営していたら、「ヤンヤンヤヤー」とはならなかっただろうし、文字数によっては越部先生の作曲は違ったメロディになっていたことだろう。
山本さんだったら、「ヤンヤンヤヤー」はいいけれど、音符と合わなくなるし、お茶&海苔屋か力士のようだ。

2020年には、日清食品がこのパロディーCMを作った
コメント (3)
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