大阪市立桜宮高校バスケ部主将体罰自殺事件

事件公表日(2013.01.08)の報道まとめ

桜宮高校体罰自殺事件 公表日(2013.01.08)の報道まとめ

2013-01-08 20:01:00 | 日記

“私が死んだら迷惑が掛かりますが、でも死ぬことを選びました。いままでありがとうございます”




 大阪市立桜宮高校(都島区)でバスケットボール部の主将を努めていた2年生の男子生徒が、昨年12月下旬に自殺していたことが判明した。残された生徒の遺書から、顧問である小村基教諭(47)による体罰を苦に自殺した疑いが強まり、大阪府警察本部は、小村教諭らから事情聴取を進めている。また、先月28日には弁護士らでつくる外部監査チームを設置し、協力して昨年度の体罰についても調査する。

 この事件は今日(1月8日)、大阪市役所で行われた記者会見で公表された。会見では、長谷川恵一教育委員会委員長、佐藤芳弘桜宮高校校長、永井哲郎教育長らが会見で陳謝した。


桜宮高校バスケットボール部顧問・小村基教諭


 発表によると、生徒は先月23日、自室において制服のネクタイで首を吊って死亡しているところを発見された。生徒の母親は「遺体は頬が腫れ、唇が切れている」と、外傷などの状況について話している。

 また、ルーズリーフに記された遺書には、小村教諭が試合のミスのたびに平手打ちなどの体罰を生徒に加えていたことが記されており、「ほかの生徒も同じこと(ミス)をしているが、(主将である)自分だけがたたかれる。つらい」「私が死んだら迷惑が掛かりますが、でも死ぬことを選びました。いままでありがとうございます」などと書かれていたという。

 生徒は22日午後9時半ごろに帰宅し「お弁当おいしかった。今日もかなり殴られた」と話した。自殺した23日も練習予定があったという。


“高校側がアンケート調査するも「因果関係不明」と結論”



 この生徒の自殺を受けて、桜宮高校はバスケットボール部の部員など50人にアンケート調査を実施した。その結果、半数以上の21人(男子12人、女子9人)が、小村教諭から体罰を受けていたと回答した。また、自殺前日の12月22日に男子生徒が小村教諭から体罰を受けていたかについても、22人が「見た」と答え、22日より前の男子生徒への体罰についても、38人が「見た」と回答した。さらに、体罰の内容は「ビンタ」「たたく」が多かったが「蹴る」などもあった

 しかし小村教諭は、教育委員会に対して「自殺の前日に加えて、1、2度。手の指先だけでたたいた」だけであると主張している。これに対して生徒の両親は「もっと多い」と反論している。教育委員会と桜宮高校はともに、体罰と自殺との因果関係は現時点では「わからない」とし、その一方で「日常的な体罰の可能性も否定できず、詳細に調査を進めたい」としている。


“体罰の情報が寄せられるも高校側が「ない」と結論”



 小村教諭をめぐっては2011年9月、市公正職務審査委員会に公益通報で「体罰傾向があるのではないか」との情報が寄せられていた。しかし、高校は各部活の顧問への聞き取り調査だけを行ったのみで「体罰はなかった」と結論づけ、教育委員会に報告していた。この経緯について永井哲郎教育長は「(調査)手法が間違っていたとは思わない」と述べるにとどめた。


 なお桜宮高校では、2011年にも男子バレーボール部顧問の男性教諭による体罰が発覚している。このケースでは、男性教諭が部員の生徒ら6人に対し、1年4か月にわたり計253回、叩く・蹴るなどしたとして停職3か月の懲戒処分を受けている。

 桜宮高校は、9日にも保護者説明会を開く予定であるという。



“市長が教育委員会を通さず直接指揮できるよう定める条例を検討”


 大阪市の橋下徹市長は、今回の事件を受けて会見を行い、「(教育委員会と学校側の)対応は完全に誤り、失態」「子供が体罰を見聞きしているのに先生が分からないって、どんな学校なのか。最悪」と強く批判した。その上で、教育に関する重大問題が起きた際に、市長自身が学校側の対応を直接指揮できるようにする条例制定の検討を始めたことを明らかにした。

橋下 体罰 自殺

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【コメント】

“メディアは堂々と実名報道せよ”


 おことわりしておきたいのだが、この事件において「小村基」という教諭の氏名を実名で報道することは、法的にも道徳的にもまったく問題はないと断言する。

 なぜなら、第一に、インターハイや甲子園などといった大規模の大会に出場するチームを引率・監督する地位にある者には、れっきとした「公人」としての責任が伴うからである。まして常勝の強豪チームともなれば、メディアに露出する機会も、指導者として受ける称賛も多くなるだろう。その裏返しとして、不祥事を起こした際に覆い被さる責任も重くなるのである。今回の桜宮高校もこれに該当する。小村教諭は現場で約20年も指導にあたり、桜宮高校を屈指の強豪に育てた「部の顔」である。また、自らの指導方法について取材を受けたり、雑誌に寄稿したりしており、少なくともこの業界内では
たいへん知名度が高い人物である。したがって、小村教諭が実名でもって批判を受けるのは当然である。

 また第二に、「公務員」の地位にある者は人権制約を強く受けるからである。日本国憲法15条2項には、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」とうたわれている。つまり公務員は国民全体のために尽くす「公僕」であり、尽くすからこそ、給与が税金から支払われるのである。したがって公務員が法令に違反することは、「国民への背信行為」とみなされる。行政上の制裁である懲戒処分や、司法上の制裁である刑事罰を受けることになるし、その処分に伴って、その公務員の氏名も公共の利害に関する事実として公表され、報道の対象となる。これはすなわち、「実名を書かれる公務員の不利益」よりも国民の知る利益」の方が優先されるということを意味する。小村教諭の場合、市立高校の教職員という「公務員」の立場にあって、体罰により生徒らに傷害を負わせている。体罰を禁止する学校教育法11条や、刑法208条(暴行罪)、同204条(傷害罪)に違反し、処分の対象になることは明白であるから、氏名は報道の対象として認められる。


 以上の理由から明確に分かるように、小村教諭の氏名を報道することに何ら支障はない。萎縮した態度で実名報道を控えているマスメディアがあるが、まったく不要な自主規制である (そのうち、週刊文春・新潮あたりが普通に書くとは思うが)。堂々と実名報道すればよいのである。


“小村教諭も、自ら公の場に堂々と出よ”


 8日の会見に出席した高校関係者は佐藤芳弘校長のみであったようだが、本来は、加害の嫌疑を受けている小村基教諭が、自ら経緯を説明しなければならない立場にある。ところが小村教諭は出席しないばかりか、「自殺の前日、それ以外には1、2回だけしかたたいていない」「手の指先だけでたたいた」などと関係者に主張している。すでに多数の目撃者の証言があるにもかかわらず、体罰の頻度強度が低かったなどと抗弁しても、「保身のための卑劣な弁解だ」と評されて終わるだけである。また公の場に出ず、自らの主張を他の関係者を通して行っていることも、一層の非難を浴びる原因となっている。

 今でこそ体罰は禁忌とされるが、かつてこれが公然と行われていたことは周知の事実であるし、石原慎太郎前東京都知事、数学者の藤原正彦お茶の水女子大学名誉教授、開星高校野球部の野々村直道元監督、戸塚ヨットスクールの戸塚宏校長、楽天の星野仙一監督などのように、現在でも自らの教育上の信念として体罰を肯定する者は少なくない(なお一方で、闘魂注入と称する平手打ちを求めて、自ら列まで作って並ぶ人も少なくない。下の写真参照)。


アントニオ猪木氏の闘魂注入を受ける被災所の人たち=福島県いわき市
避難所で、アントニオ猪木氏(右)の平手打ちを受ける被災者の男性=福島県いわき市


 小村教諭も自らの信念のもと、生徒らに平手打ちなり蹴りなりを入れていたはずである。そうであるなら、結果として起こったことへの謝罪とは別に、堂々と持論を語ってみせれば良いではないか。当然、批判の矢面に立たされるだろうが、それが自らの指導に対する教育者としての責任のとり方であり、今回のような自殺者を絶対に出さないために、真摯に考え合う上での方策なのである。




事件記事についてのソース:

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130108/waf13010814050015-n1.htm
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130108/k10014663071000.html (NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130108/k10014669901000.html (NHK)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00238278.html (FNN)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00238287.html (FNN)
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/01/08/kiji/K20130108004935210.html (スポニチ)
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20130108-OYO1T00751.htm?from=top (読売新聞)