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詩作品

落下

2017年03月19日 21時41分33秒 | My poem



落下   高田昭子

水は水を脱ぎ続けて
空の高みへ飛翔しようとする
噴水という仕掛けはそれを裏切り続けている
カラスが幾度も水浴びにしくじっている
真昼の公園 水の落下

夜の果樹園
果実の落ちる気配がする
成熟とも腐乱ともわからぬ球体には
死がひっそりと宿る
自然がおこなう収穫は
落下以外なにがあろう?

夜更けのあかりの下で
清音と濁音の奇怪な繋がり
白紙のうえに
ことばは幾度も落下をこころみるが
消去

眠ろう 夢のなかに落ちる
父が呼んでいる
母がわたくしを手招きする
死んだ兵士に手をつかまれる 
誰なの?

闇の海に落ちた赤子に
天の釣り糸が降りてくる
誰なの?

夢からも落ちて朝が来る
光のなかで
りんごがテーブルから落ちた。
おはよう 
ニュートン

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