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 米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設計画で、沖縄防衛局は24日、翁長雄志(おながたけし)知事が前日に出した移設作業の停止指示を取り消すよう求め、農林水産相に審査請求した。行政不服審査法に基づく手続きで、裁決が出るまで指示の効力を止める執行停止も申し立てた。

 「あらゆる手段を尽くす」と述べて移設阻止を掲げる知事側に、国側が対抗する姿勢が鮮明になった。

 翁長氏は23日、辺野古沖での移設関連作業を1週間以内に停止するよう指示。従わなければ、埋め立てに必要な岩礁破砕許可を取り消す意向だ。岩礁破砕許可について定める県漁業調整規則は水産資源保護法に基づくため、防衛局は同法を所管する農水省審査請求した。

 同省は請求を受理。24日に同省職員が県庁を訪ね、今後の手続きについて説明した。執行停止の申し立てに対する意見を今月27日まで、審査請求について30日以内に意見の提出を求めたという。同省は今後まず、翁長氏の指示について、裁決が出るまで効力を止める執行停止をするかどうか判断する。並行して県に審査請求に対する弁明書の提出を求めて審理し、知事の指示が無効かどうか裁決を出す。

 裁決までの期間は行政不服審査法に定めがない。裁決に不服がある場合は、行政訴訟に進むなどして対立が長引く可能性もある。

 総務省によると、省庁が2011年度に処理した審査請求約1万6千件のうち、9割以上が1年以内に処理されたが、1年以上かかった例も7%あった。

 辺野古沖では24日もボーリング調査とみられる作業が続いた。翁長氏は県庁で報道陣に「大変遺憾。指示を真摯(しんし)に捉え、適切に対応してもらいたい」と作業停止を改めて求めた。

 一方、菅義偉官房長官は24日の会見で、翁長氏の指示を「違法性が重大かつ明白で、無効だ」と批判。「普天間飛行場の危険性除去と閉鎖を実現するため工事は粛々と実行に移す」と述べた。