K馬日記

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フィリップ・ドゥ・ショーヴロン『最高の花婿』

2017年06月09日 | 映画
最近ジャズを始めてみたいなどと考え始めたただけーまです。"Fly Me to the Moon"をカッコよく吹きたい〜。

今回は、国際結婚をテーマに据えた、フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督の『最高の花婿』の感想です。




<Story>
フランスのロワール地方に暮らすヴェルヌイユ夫妻には、他人には相談できない悩みがあった。3人の娘たちが次々とアラブ人、ユダヤ人、中国人と結婚、様々な宗教儀式から食事のルールまで、異文化への驚きと気遣いに疲れ果てていた。そんな時、最後の希望だった末娘が、カトリック教徒の男性と婚約! しかし、大喜びの夫妻の前に現れたのはコートジボワール出身の黒人青年だった。しかも、フランス人嫌いの彼の父親が大反対。果たして、色とりどりの家族に愛と平和は訪れるのか──?


別題は『ヴェルヌイユ家の結婚狂騒曲』と言うのですが、そちらのタイトルが示す通り、ヴェルヌイユ家に慌ただしく訪れる結婚騒動は、まるで音楽を聞いているかのようにテンポ良く流れます。

この作品に込められたメッセージは、国際結婚をテーマにした多様性です。
ドゴール信者の父親とカトリック左派の母親を持つヴェルヌイユ家(極端なナショナリスト)。フランス人、かつカトリックの婿を貰ってほしいという両親の願いとは裏腹に、毛唐人と結婚する上の娘たち、イザベル、オディル、セゴレーヌ(リベラリスト)。両親の願いは最後の頼みの綱、末娘ローラに託されるわけですが、そのローラが連れてきた結婚相手はカトリックでありながらコートジボワール出身のシャルルだった、というオチです。



両家の結婚は果たしてうまくいくのか…という設定はよくありそうなコメディ映画ですが、もうとにかくはちゃめちゃに面白かったですね〜!

まず、物語を進めていくのは、各夫たちの宗教・民族的な対立です。アラブ人、ユダヤ人、中国人と、所謂偏見の目に晒されている人々に互いを罵り合わせることで、コミカルに民族差別に対するテーゼを描いています。
アラブ人の暴力的なイメージ、中国人のズル賢いイメージ、ユダヤ人の高慢ちきなイメージを、それぞれ互いに言い合うシーンは、さながら小さな世界大戦。それを諌めようとする妻たちには、ナショナリズムに捉われない、多様性を重んじる先進性があります。


長女イザベルとアラブ人の夫ラシッド


次女オディルとユダヤ人の夫オディル


三女セゴレーヌと中国人の夫シャオ・リン

そして、問題となるのが、四女ロールの夫となる黒人シャルル。彼はカトリックを信仰しており、ド・ゴール主義のロールの両親から宗教的にはお墨付きをもらいます。
しかし、シャルルが黒人であると判明するやいなや、ロールの両親は落胆。ここから、人種差別の要素も加わっていきます。明らかに見下されていることに不満を持つシャルルの家族も結婚に反対し、二人は窮地に追い込まれます。

姉の夫たちからも異端視されるシャルルですが、その持ち前の陽気さで、啀み合っていた義兄弟たちとあっという間に打ち解け、ロールやシャルルの母たちも、次第にこの国際結婚を受け止めはじめます。
それと対照的なのが両家の父親たちで、依然として旧時代的な思想を口にして反対する姿には、女性が活躍する新しい社会の到来を予感させます。





最後、ヴェルヌイユ家当主であるクロードの感動的なスピーチの後に訪れるダンスシーンは、幸福感に溢れ観ていてこちらも幸せになれる素晴らしいエンディングでした。
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