Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

お前に地獄を見せてやる

2017年07月10日 | 映画など

メル・ギブソン監督「ハクソー・リッジ」を見る。

メルギブが監督してるんだから

そりゃあ凄い映画に決まってるだろうと思っていたけど、

そんな小市民なシネフィルの予想を

遙かに越えたとんでもなさ、というか。

 

 

予想を超えた、という意味では、

この映画の舞台、実は沖縄戦なのだ。

見るまではそんなことは知らず、

てっきりヨーロッパ戦線のどこかだと思い込んでいた。

沖縄というワードに限りなく触れないようにしているのは、

ハリウッド大作の宣伝として正解なんだろうか、と首をひねる。

 

ともあれ、自分からは銃を取らず、

敵を一人たりとも殺さないことを決めた衛生兵が主人公。

そんな無謀な主人公が、

難攻不落と言われた沖縄の浦添にある前田高地で、

米軍と日本軍の絶望的な戦闘のなか、

一人でも多くの負傷兵を救おうとする。

米軍兵士だけでなく、敵の日本軍兵士まで救う主人公は、

勇気のある人とか、博愛精神に満ちた人とか、そんなレベルでは語れない、

一種の狂気じみた信念に囚われているというか、

見ているあいだじゅう、もう逃げていいよ、というか、

映写機止めてよ、みんなこんな映画見るのやめようよ、と何度思ったことか。

それほどまでにこの映画で描かれる戦闘はとんでもない。

そうか、戦争って地獄なんだ、

ということを嫌になるほど見せつけられる。

 

本当の戦場にいるかのような恐ろしさ。

次から次へと死んで行く兵士たち。

スピルバーグの「プライベートライアン」と比較する人は多いけど、

あれも凄いが、まだ映画という気がした。

限りなく残酷だけど、美しい場面だった。冒頭のノルマンディー上陸のところなど。

それはスピルバーグが天才的な映画監督だから、

もう躍動感と美的センスにあふれていたわけで。

 

でも、メルギブは監督としては天才じゃないと思う。

その分、ガチというか、本気というか。

何のてらいもテクニックもないけれど、本質にどんどんせまっていくような

とことん突き詰めた演出というか。簡単に言うと「どストレート」。

そこに、思い切り情念みたいなものを込めてくるので、

観客はもう圧倒されるしかないわけで。

スコットランドの独立のために戦った男を描く「ブレイブハート」も、

キリストの受難を描いた「パッション」も、

16世紀のマヤ帝国の横暴に抵抗する青年の死闘を描く「アポカリプト」も、

ものすごい本気度が伝わってきて、圧倒されるのだ。

今作もまさに同様。とんでもないものを見たなあと。

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