番匠義彰監督「空かける花嫁」(1959)を見る。
フランスに留学しようとする
女子大生の有馬稲子をめぐって、
祖父役の志村喬の孫娘への溺愛ぶり、
アパートの隣人の高橋貞二との恋のさや当てなど、
まさにラブコメのお手本とも言うべき快作でしょう。
浪花千栄子や大泉滉、
桂小金治といった臭みのある脇役の出し入れの見事さとか、
スピーディでテンポのいい会話とか、
丸山明宏やジャイアンツの水原監督などのゲスト出演も楽しい。
ヘアバンドをした有馬稲子がとってもキュートだし、
存在自体が重厚だと思われがちな志村喬だけど、
なんという軽妙さだろう。
番匠監督には「花嫁シリーズ」と呼ばれる作品群があって、
有馬稲子を始め、岡田茉莉子、鰯淵晴子、倍賞千恵子といった
女優さんが出ているのだけど、どれも楽しそう。
松竹にはいい監督がたくさんいるんだなあと思う。