Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

リアル原罪のゆくえ

2016年10月04日 | 読んでいろいろ思うところが

内澤旬子「飼い喰い〜三匹の豚とわたし」(岩波書店)を読む。

「世界屠畜紀行」で食肉のために屠られる動物たちと、

屠畜に従事する人たちの営みをルポした内澤さん。

今度は自分で豚を三頭飼い、育て、屠畜して、

食べるまでの一年間を記録するという驚きの一冊だ。

 

 

人間っていうのは、動物を殺して食べているという、

いわゆる「原罪」を背負っている。

普段はそんなこと全く気にせず生きているけれど、

あるとき、そういえば今喰ってるトンカツってアレだよな。

誰かが育てて、つぶしたものなんだな、と思い出したりするわけで。

 

そんな人間の営みを、実際に体験しようとする内澤さんは

何とも凄いというか、覚悟があるというか。

豚って飼うとけっこう可愛いというし、事実、

内澤さんのイラストで描かれる豚たち

(伸、夢、秀、という名前までついている)は、とても愛らしい。

 

そんな可愛い豚をつぶすなんてできるのか。

実際は屠畜工場でつぶされるのだけど、

その一部始終を克明に書いていく。

内澤さんの淡々とした筆致がいとおしい。

手塩にかけて育てたんだから、美味しくいただきたい。

という決心を貫徹するところの清々しさ。

 

日本における養豚事情などもきっちり取材していて、

関係者の苦労があって初めて、美味しい豚肉がいただけるんだなと。

 

 

コメント
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