田布施座

演劇でつながる、役者で伝える。

きけわだつみのこえ

2016-10-08 15:05:21 | 日記
今夏、日本の帝国主義について一連の書物を図書館で借りて読み、

到頭「きけわだつみのこえ」に辿り着いた。

学徒出陣で多くの大学生が出征し戦没したなかで、

集まった309名の稿の中から75名の遺稿が掲載されている。

戦時下で、このような手記は検閲に引っかかると現在存在しないものであるが、

それを通りぬけて戦後本書が出版され大ベストセラーになっている。

戦死、戦病死、あるいは戦犯刑死を前にして綴られた手記は軍国主義のなかで、

自らの思想を表現し、将来の日本を深慮し、肉親・友人に感謝し・・・

遺稿より抜粋

大きな歴史の転換のもとには、私のような陰の犠牲がいかに多くあったのかを、過去の歴史に照らして知る時、まったく無意味のように見える私の死も、大きな世界史の命ずるところと感知するのである。(京大経済学部学生。昭和17年10月入営。21年5月23日シンガポール、チャンギー刑務所において戦犯刑死。陸軍上等兵。28歳。)

この方の遺稿は75番目で13ページにも及び、

わたしに最も衝撃を与えたものでした。

冷静に当時の社会を認識し、歴史感にも深いものがあり、

軍部を冷静に批判しており、戦後の日本の進路も的確に予言しており、

肉親への決別も愛情あふれるものでした。

長い文章の終わりの1ページに11句遺されていますなかから、


遠国に消ゆる命のさびしさにまして嘆かる父母のこと

眼を閉じて母を偲べば幼な日の懐し面影消ゆる時なし

音もなく我より去りしものなれど書きて偲びぬ明日という字を

かすかにも風な吹き来そ沈みたる心の塵の立つぞ悲しき

おののきも悲しみもなし絞首台母の笑顔をいだきてゆかん
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