人生悠遊

写真付きで旅の記録、古都鎌倉の案内などを、周りの人の迷惑にならないように紹介していきます。

夏目漱石と運慶

2017-05-09 20:35:13 | 日記

夏目漱石の作品に『夢十夜』というのがあります。第一夜から第十夜まで、「こんな夢をみた」からはじまる短編小説的な性格の濃い作品です。その中、第六夜に運慶を書いたものがありますので、紹介したいと思います。先日、横須賀市の浄楽寺にある五体の運慶仏をみたばかりなので、漱石がどう運慶を描くか興味がありました。明治41年に朝日新聞に掲載されたもので、次の書き出しではじまります。

   運慶が護国寺の山門で仁王を刻んでいると云う評判だから、散歩ながら行って見ると、自分より先にもう大勢集まってしきりに下馬評をやっていた。

鎌倉時代に東大寺南大門の仁王様を彫った運慶が何故に明治時代にいるのか?これは夢の中。それでも鑿の槌を使った運慶の見事な仕事振りに感心することしきり。どうも運慶は仁王様を彫っているのではなく、木の中に埋まっているのを掘り出しているのだと。彫刻とはそんなもので誰にでも出来ることだと。そして自分で明治の木を使って掘り出してみるのですが、どの木にも仁王は蔵(かく)されていませんでした。そして、次の文章で終わっています。

   遂に明治の木には到底仁王は埋っていないものだと悟った。それで運慶が今日まで生きている理由も略解った。

この『夢十夜』の解説には、自然との一体化を喪失した明治文化への絶望と批判を語る「第六夜」とあります。・・とあるのですが、「それで運慶が今日まで生きている理由も略解った」とあるこの部分。正直なところ、私自身、いまだに漱石の想いが理解できていません。果たして答えは如何に?誰か教えていただけませんか?

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