「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

静岡市清水区の病院と市庁舎の移転問題を考えるための視点(その2)

2017-03-21 23:22:48 | 駿河トラフ・南海トラフ巨大地震津波対策
引き続き、標記の問題について、頭を絞っているところ。
これを読めばOK!という参考書が、あるようでないのがこの世界。

(「旅の坊主」が知らないだけかもしれないかもしれないと一方で思いつつ、
他方、もし世の中に知られたネタ本があるならばもっとまともな議論になっているだろうことからして、
多分まともなものはないんだろうなぁ……。)

5:
構造物が堅牢であっても、配管類がダメになっては、医療機関としては機能しない。
この場合、注意すべきは、南海トラフ地震の発生まで、もう少し時間があると考えられていること。
海溝型地震に期待される周期性からして、2038年発生説、阪神淡路大震災から50年での発生説、等々あるが、
概ね、2030年代後半~2040年代にかけての発生ということで、強い異論は少ない。
とすれば、病院が建設されてから20年程度は経過した後での被災、ということになる。
20年で配管類の取り換えが必要になる、とは考えにくいが、耐久性とフレキシブル性、さらに、
いざとなった時の修理のしやすさは、設計時に考慮すべき論点となろう。

6:
ライフラインが切れた医療機関では治療は出来ない。電気、ガス(熱源)、水道、情報等々は文字通り生命線となる。
まず水。
上水道については、地下を這わせた上で、ピロティー構造の柱の中を通してポンプアップしようというのだろうが、
その柱は座屈もせず、漂流物がぶつかっても大丈夫なものにしなくては、ということ、らしい。
相当太く堅牢な柱が必要ということになりそうだが、まぁ、
医療機関の1階は玄関ホールとなっている場合が多く、上層階の支え方については、
しかるべきノウハウの蓄積もあるということ、なのだろう。
(免震構造は、1階天井部と2階床の間に入れることになるのだろうか。
そうすると、エレベーター等の構造が複雑になると思うが……。)

ただ……。
東日本大震災の前のことだが、高知市の沿岸部で、海岸部に舳先を向けた船の形にも似た、
津波避難ビルに案内してもらったことを思い出す。
そこは、通常の上下水道は当然のこととして、建物の中に井戸を持つ構造にしていた。
建物の低層階は、水密構造とまではいかないが、かなり肉厚の鉄筋コンクリート造だった。

採光面での課題はあるとしても、建物の基本的な外見はピロティー構造が相応しいのだろうか……。

医療行為で出る汚染水(?)の安全な処置を想定した上での配管類の設計や施工も、
かなり難しい課題となるだろう。
何せ医療行為に伴う排水や廃棄物などの静脈系は「ユニバーサル・プレコーション」の世界。
(最近はこういう表現をしなくなったんだっけ?)
安全な廃棄までしっかりした管理の継続が求められているはず。
さらに、人工透析に求められる純水製造も大きな課題。
津波に襲われかねない場所であっても、どれほどの量の水を、どのようにして、
継続確保しようというのだろう……。
この点から考えると、医療機関が津波リスクを考えなくて済む高台にあれば、
設計も施工も維持管理も、そしていざ大地震・大津波となった時の医療の継続も、
よほど楽だろうに、と思わずにはいられない。

桜ヶ丘病院の運営母体である(独行)地域医療推進機構の尾身茂理事長は、
自治医大1期生つまりは地域医療の実務経験を持つと共に、WHOに長く勤められた医療職の行政官でもあった。
とすれば、地域医療の在り方を考える上でも、対WHO的にも、中途半端なことはできないはず。

医療経済上つまりは病院経営上、現在位置や近くのではよほど問題があるのだろうか……。

(3月26日 記す)
コメント
この記事をはてなブックマークに追加