治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

修行意欲の無駄遣い

2014-04-18 09:27:26 | 日記
あっという間に金曜日になってしまいましたが
先週末読んだ本のご紹介です。



横浜高島屋が障害者雇用で先進的な取り組みをしているというのは地元ではよく知られた話ですが
(全国的にはどうでしょ)
そこのキーパーソンである大橋さんからご献本いただきました。

教師をしていた大橋さん。卒業生の行き場の少なさに驚愕し、就労支援に回られたそうです。
今は企業内ジョブコーチとして知的障害を含む障害のある方たちの支援をしています。

最初に大前提として言っておきたいのですが、これはすばらしい本です。
皆さんに読んでいただきたいし、とくに教師の方に読んでいただきたい。
我々民間人は(含私。っていうかとくに私)「教師って現実知らないよね」って紋切り型に教師をこきおろしてしまいますが
その元教師の方がこれほど職場の現実を踏まえて障害者の方たちに仕事を生み出している。
教師も「やればできる子」だったようです。

ただ、私が引っかかった点は一つ。
本のタイトル。
まあ花風社の路線をご存じの方なら、これが浅見好みではないタイトルだということはおわかりいただけると思いますが
このタイトルの元になっているエピソードがあるのです。

著者が教師として支援級を担当していたときにそこにいた生徒。
定型の人たちと一緒にお勉強したかったのですね。
そこで出てきた言葉が
「そのまんまで素敵だよ」だということです。

障害のある方がそのまんまで素敵だということを否定するつもりはありません。
ただ、今なら、その生徒さんが持っていた「修行意欲」を
いかようにも活かせただろうと思うのです。

森嶋さんや、神田橋先生の知見が世に出た今では。



そう思うと
「障害は治りません」という支援者の思いゆえに
どれだけ膨大な量の、汲めども尽きぬ当事者の修行意欲が無駄になってきたのだろうと
それはちょっと切なくなります。

先ほど棒人間の記事を書きましたが
ちゅん平も棒人間にしてみました。
「発達障害は治りますか?」のエピソードを絵にしてみたのです。



読んだ方ならおわかりでしょう。
神田橋先生は本の中で、ちゅん平のかかとの位置に働きかける治療をしています。

それだけのことで、脳はラクになるのです。
この治療は私も、現場で目撃していましたが
ちゅん平の顔ががらっと変わったのでびっくりしました。
明るくなったのです。

栗本さんのコンディショニング講座に出たらたぶん
自閉症の人のかかとや足首について教えてもらえます。
その症状に働きかけるコンディショニングも。

こういう時代だからこそ

もう当事者が実は秘めている「修行意欲」を
無駄にしないでいいと思うのです。
あるものは、使いましょう。

そういえば大橋さんの本は、ぜひ皆さんに読んでいただきたいのですが
自費出版だそうで、どこで買えるかはわかりません。
おききしておきますね。

大橋さんは障害のある人たちができることを挙げて
社内から仕事を募ったそうです。
そうしたら150種類もの仕事の提言があったそうです。

そして今、横浜高島屋では
障害のある方たちが立派な戦力になっているそうです。

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2 コメント

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吉村家の親父さん (小松浩)
2014-04-19 10:09:36
横浜駅そばの家系ラーメン総本山吉村家で特別支援学級の生徒さんが働いているそうです
僕が食べに行った時に自閉っ子らしい子が働いていて吉村家の親父さんが的確に指示を出していました
以前は吉村家の親父さんはカミナリ親父のイメージで近寄りがたいイメージがあったのですがだいぶ丸くなったみたいです
自閉っ子と接することはその人の人間性を豊かにするという側面をもっと知ってもらいたいですね

杉山先生の減薬の論文の載っているそだちの科学発売しています
僕も図書館で読んで見て内容が良かったら買おうと思います
そだちの科学は自閉症スペクトラムの最新情報が載っている貴重な雑誌ですね
吉村家! (浅見淳子)
2014-04-19 10:57:41
小松さん、ようこそ。
何を隠そう、私は西区南幸という横浜駅極近の場所に10年すんでいました。私実は家系ラーメンがいまいち好きでないので吉村家にはあまりいきませんでしたが(こんでるしね)、あそこの親父さんが朝早くから働く姿はよく見ていました。それにしてもねえ、体罰とかありませんでしたっけ。変われば変わるもんですね。一回いってみようかな。並ぶのめんどくさいけど。

杉山先生の減薬論文出ましたか。さっそく入手しますわ。情報ありがとうございます。
またお越しくださいませ。