治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

ポジショントークのひ孫コピー

2017-01-20 09:21:52 | 日記
さて、けいさんのコメントから。

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Unknown (けい)
2017-01-17 17:38:46
私にも、『会社勤めは無理だから、自由業とかの方が向いてるのかな?』と思っていた時期がありました。

でも、自由業であろうが会社員であろうが、相手にするのは結局、仕事。
仕事をすることに変わりはないのに、会社で働くことすら出来ない自分が、一から十まで自己責任な自由業など、出来る訳がない。
そう思い直して、会社員を目指すべく体力を付けに掛かっている今に至ります。
それに、自分の時間を自分以外に割いて、何かしらの形で利益になる喜びみたいな感覚を、一番分かりやすく教えてくれ、身に付けられる場所は会社だと思います。
その感覚なくして自由業に転向しても...少し前までの私の浅はかさがイタイです。

最近は、『仕事をする上で、今、一番不安定なのが会社だ。起業できるだけのスキルを持っていると強い』という言葉もよく聞きますし、起業ブームみたいなところもあるのかも知れません。その前に最低限食っていける材料が自分に揃ってなきゃ、会社員も自由業も行く末同じですよね。

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実は発達障害の世界を一歩離れると、全然違う就職状況が見えてきます。
いい大学に入っていい会社に入る、という道筋が意外と堅いのではないか、むしろドライブかかっているのではないかということですね。長期的に見て人手不足傾向ですし。

むしろ、というのは私たちの時代と違って、実力で評価されるからです。正直バブル期は「親が社会的地位の高い人」がかなり有利だったし、今もその傾向はあるのでしょうが、でも大企業といえど甘いことは言っていられない時代。実力があると庶民の子でも大企業に入れるし、その手前にある名のある大学も奨学金で通っている学生が増えたようです。

だから「名のある大学に入っても就職に結びつかない」ということは、発達障害周りだからとくに多いのだ、と考えていた方がよさそうです。
佑樹さんのコメントにあるように「国立大出ても」みたいな人は地元へのこだわりがある人かもしれません。それがお墓守るためだったりして。「愛着障害は治りますか?」でも触れましたが、「家」を守るために犠牲になっている人生が多いですよね~。

むしろ受け入れる企業側も実力主義になっているから、昔みたいに安泰じゃない。入ってからの勝負が激しいのでしょう。どっちみち実力はつけなければならない。ということで「自分に実力をつける→起業」みたいなことを言う人が増えてきたのではないでしょうかね。

そしてそれに起業産業が加わります。
福祉の人が治らなければ儲かるように、起業を志す人が多ければ(たとえその人たちが失敗したとしても)儲かる産業の人たち。その人たちがバラ色の情報を売って商売にしていると、ハイパーりちぎな人がほいほい真に受けてしまう、っていう構図のような気がします。これは情弱な人が猫烏賊ホイホイに引っかかるのと同じことですね。

会社勤め、というのは「需要がどこにあるか」「需要を作り出す」をアウトソーシングすること。経営者が需要のありかを見て、あるいは需要を作り出して、そこに人モノ金を動かすわけです。
一方で起業は需要のありかを自分で見極めること。
そういう違いがあります。

どっちも仕事です。

おそらく「会社勤めが無理なら自営」を支援者が勧めるときは
「日本がダメなら外国」と同じように、無責任によく知らないものをその場しのぎに勧めていると思っていて、まあ99パーセント間違いはないと思います。
その支援者も(自分は福祉の中で生きているけれども)起業産業のセールストークを真に受けているだけかもしれません。

支援者は知らず知らずのうちに、誰かのポジショントークの劣悪なひ孫コピーみたいなことをしたり顔で説くことがあります。
それを見抜く目が必要ですね。


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