治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

もう一人の光君

2010-12-22 08:20:44 | 日記
さて、戸部先生と一緒に光君が天国に行ってからも
全国で「元気に働く大人」を目指して修行している自閉っ子はたくさんいる。

そのうちの一人、天野光君が
修行仲間の大地君に自分の書いた本を送ってくれた。

どりょくきん vs いやがりきん

という絵本。
「わーっ」ってパニックになってしまうときの気持ちと、その収めかたを自分で分析して絵と文で表現している。

光君親子は主治医の先生に
大地君の二冊の本を薦められたそうだ。

おお
大地君の本を薦めてくださるなんて
男前のお医者さん。

ところが男前はここで終わらなかった。

光君の書いた「どりょくきん vs いやがりきん」を読んだ先生は
「これはぜひ世に出すべきだ」とお母様に自費出版を勧め、ご自分も費用を負担されたのだという。

よく本を出すことを薦めるお医者さんているみたいだ。
「花風社で出せば?」って。
で、その人たちがやってきて「出せない」って私が言うと怒り出したりすることよくあった。
「○○先生が出せって言ったのに!」って。
社会性の障害があるからね。指揮系統が見えない。

だから私はいつも思っていた。
「お医者さんたち、ちゃんと世の中の仕組みを説明してから送り込んでくれればいいのに。
こうやって医者自らとんちんかんな行動を増やしているんだよね」と。

全国の先生。
本を出すっていうのは費用がかかります。おわかりでしょうが。
患者さんに出版を勧めるなら、自分が費用負担する覚悟でやってください。
せめて、費用がかかることをきちんと説明してください。
費用がかかるということが見えていないと
患者さんは出してもらえないことで不当に扱われたと誤解します。

ちなみにうちは自費出版はやっていません。
私の性に合わないので。
自分がリスクとってなんぼ。
だから逆に信念に反するものは儲かりそうでも出しません。
今でいうと「二次障害回避原理主義」なんか受けると思うけど
絶対絶対出しません。

ともあれこれは
主治医の先生が費用負担しても世に出したいと思ったくらいの本だ。
修行の仲間。
光君、主治医の先生、そして大地君。
男前の輪である。

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