治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

目次発表、とその前に

2017-12-14 08:50:45 | 日記
さて、目次発表しようかと思ったのですが、その前にいただいたコメントを二つ引用させていただきます。

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犯罪は犯していませんが、 (東北在住の元行動障害当事者(仮))
2017-12-13 19:09:03
今の所法律問題が起きる事なくここまで生きてこれましたが前科歴がなくても迷惑行為の再発予防、その他社会的な事由から別の形で制限を受けています。
行動の問題も発達障害も子どものうちに治しておけば違う生き方があったと思いますがこれも社会的制裁の一種と捉え受け入れて生きていくしかありません。治そうと思えばいくらでも早く治せたし努力もせず怠けて好きなように生きてきたので当然の制裁です。従って自由と引き換えに受け入れるだけです。

全てにおいて専門家の了解を得ないといけない病状なので自分の生き方を自分で決める事はできませんが、コメントを書き込む事はできます。
拘置所や閉鎖病棟にはいないので本の購入も現時点では一般人と同じ方法で出来ます。新刊楽しみにしています。

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東北在住の元行動障害当事者(仮)さんは「障害が重い」という判定で、制限のある生活を送ることを余儀なくされているようですが、ごらんのようにきちんとした文章で自分の気持ちとおかれている状況を説明することができます。鹿児島でも横浜でも一人で行けるし地元の福祉が仕切ってて「ヘルパーと一緒じゃなきゃだめ」と言われているプール以外は日本全国一人で泳げるのです。「自分で自分の娯楽が見つけられる。自分で自分の支援先を見つけられる」っていうのが発達障害のあるお子さんを育てている多くの親御さんの目標であり、それを達成した方なのですが、元行動障害当事者として今も地元の福祉ギョーカイの監視下に置かれているわけで、この人を決して密な支援対象から外さないのがギョーカイの不思議なところですね。そして「行動の問題も発達障害も子どものうちに治しておけば違う生き方があった」とご本人が言っていることの重みを皆さんわかっていただきたいと思います。つまり、自由な大人になるために、大人になって自由に生きていける環境を手に入れるために、小さいころに治してあげてほしい、ということです。そして密な支援をしてきたはずの福祉は、自らそれに失敗していることを自覚しているからこそ、いまだにこの方にぺったりくっついて離れないのでしょう。私たちの前でパニック等を起こしたことはありません。パニック誘発原因は地元にあるのかもしれませんね。そういう人が将来好きなところで好きなことをして暮らせるためにも、「自由に生きることを可能にする」ものは何なのか、真剣に考えなくてはなりません。

そしてnonmamaさんです。

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中学生くらいになって (nonmama)
2017-12-13 22:38:19
ある程度異性を意識することができないと
トラブルになります。
教室で女子のすぐ近くを通って触った触ってないとか。
大人になったら痴漢に間違われますから
息子には気を付けて教えました。
意識しないまま教えられないまま大人になり
犯罪に繋がることもあるように思います。

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nonmamaさんはきちんと「女子に触らない」「誤解されるようなことをしない」と教えていらっしゃる。そのおかげでnon君の将来の自由は守られたかもしれませんね。でも逆に言うと、nonmamaさんが教えればnon君は聞く耳を持っているわけです。「親が言い聞かせると子どもが聴く」のなら、専門家の介入など必要なく、福祉に飼い殺しされることにもならず万々歳なわけです。なんでnonmamaさんのおうちではこれが可能だったのでしょう? それも考えたいところですね。

目次を貼ります。
知識編と提言編があります。
知識編に関してですが、実に発達障害の人に親切にセレクトされています。
お楽しみにお待ちください。

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元刑事が見た発達障害 真剣に共存を考える 目次

まえがき

第一部 共存のためのルールを知る


第一章 警察と特別支援教育

元担当刑事が、支援の現場で仕事をしていると聞いて
おまわりさんにつかまらなければ、自由に生きていけるはず
正義の味方のはずなのに、なぜか嫌われるおまわりさん
警察は何を守っているか
被疑者とも「波長」を合わせる
行動の変化をもたらすまでのプロセス
刑事の経験が特別支援教育に活きるとき
「何をすればおまわりさんにつかまるか」を知っておこう
支援者たちは守られているか?
自由に生きる、とは発達障害の人にとっても大切なことである
「何をすればおまわりさんにつかまるか」は実はとてもわかりやすい
責任能力を判断するのは警察ではない
留置場の看守の経験が特別支援教育に活きている?
言うことを聞いてくれないときには
発達障害支援の人より人権が守られている看守というお仕事
元警察官だからこそ、体罰は論外だと考えている
元刑事として自傷・他害にどう対応しているか
体罰を用いないでどうするか?
まずは現場で抑える
パニックは「脳が傷つく」
「ケガせず、ケガさせず」の方法
言葉でのアプローチに際しては、相手の名誉感情に配慮する


第二章 なぜ職務質問されるのか?

発達障害者はおまわりさんから見て怪しい人に見えるのか?
職務質問でどこを見ているか?

第三章 犯罪になるときとならないときの違いを知っておこう

「犯罪だとは知らなかった」は許されるのか?
法律で定められていなければ、罰することはできない
個人が個人を罰することはできない
「わざとじゃなかった」ならおまわりさんにつかまらないのか
逮捕について

第四章 被害も加害も避けたい 性犯罪について

発達障害の人と性犯罪の関連は?
痴漢の冤罪リスクを防ぐには
女子の性被害
加害側に障害がある場合
セクハラと性犯罪
リベンジポルノ 素早い立法

第五章 他人の正義とどう折り合うか 名誉毀損・業務妨害

他人にも幸福を追求する権利がある
「言いがかり」も犯罪になりうる
「理解されない恨み」が犯行動機になっている?
名誉は財産である

第六章 他人のものを盗んではいけない 窃盗について

なぜ他人のものを盗んではいけないか?
窃盗は犯罪の入り口?
どうやって「盗みをしてはいけない」と教えるか?

第二部 鬼手仏心の遵法教育


第七章 刑事として、支援者として、そして一人の人間として、凸凹のある人たちにどう接してきたか?

アンバランスな人たちとつきあってきた
権威は通じない
遵法教育の八割は
表現手段を持つ大切さ
正論は効かない?
遵法教育における家族の役割とは?
他人の気持ちになってみるちょっとした修行
鬼手仏心を使い分ける
身体と遵法教育のつながり
なぜ仏心が必要なのか?
エネルギー戦争

第八章 教育について 人は自由を好む生き物である

矯正を優先事項としない理由

第九章 ダメな自分を愛せるか

ダメな自分の発見
元刑事として皆さんへ