治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

肝っ玉母さんは報われるというお話

2014-11-09 09:51:11 | 日記
さて、昨日は変なおばさんが出入りしていたので、素晴らしいコメントをいただいたオレンヂさんにお返事できませんでした。
のでオレンヂさんのコメントを元に記事を一本書きます。

まずはオレンヂさんのコメントを貼らせていただきましょう。

=====

浅見さま。
いつも役に立つ本の数々ありがとうございます。おかげで、私や私の周りの人たちが助かっています。

ところで、この世の中選ばれてなんぼ、えこひいきされてなんぼだと、私は思っています。
商店を経営してる人は、日々お客様に選んでいただけるお店にしようと切磋琢磨しています。お客様が来ないからって、「うちの店に来ないお客さんのせいだ~。」とは思わないはずだし、もしそんな事思ってる経営者だとしたらそんなお店潰れてしまいます。これって当たり前の事ですよね。
私も個人事業主なので経営者として腹くくって家族を養っています(夫は他界)。ですから、お取引先や銀行さんやお付き合いのある方々に気に入られて選んでいただける、それは、この世の中を渡り歩くために一番大切な事だと思っています。ただ、気に入って欲しくても、おべっか使いは見抜かれます。何事もハートが大事です。

働きたい障がい者だって、雇用主から選ばれるための努力をするのは当たり前です。もちろん、その努力の中身はその人それぞれなのも当たり前ですが、その人がより成長しようと努力しているかどうか、それが大事だと思います。それは、障がいが有る無しに関係無いと思います。

私の自慢の長女は、未診断のアスペで中高不登校児でしたが、無事美容学校を卒業し、今年の春から地元福岡を出て、東京で一人暮らししながらネイリストとして働いています。
家で引きこもっていた数年前には考えられません。しかもそれは、長女と私の努力とまわりの方々の応援があったからこそです。
最近サロンのHPのネイリストのページに写真入りで載ったので、私はお世話になった方々に見せびらかしてます。また時々「お客様から指名をいただいた。」と嬉しそうに報告があります。働いてる人にとって、えこひいきしてもらえるって、働いてる喜びだったりするんです。だからこそ誠心誠意お仕事させていただこうと思えるんです。
世の中に出るって、そういう事なので、花風社さんのおっしゃってる事にいつも私は大きく頷いています。
これからも、歯に衣着ぬお話、楽しみにしています。
私のまわりの努力している自閉っ子やその母親たちも応援しています。

これからも新刊を楽しみにしています。

=====

まず自営業のところ。
ある意味自営業の論理を知って育つって、社会性の埋め合わせになるかもしれません。
私は絶対つぶれなそうな大企業勤務のサラリーマン家庭に育ちました。だから自分が零細ビジネスを起こすにあたり、えっちらおっちら学んできたところがあります。
サラリーマンって、実は自分の給料の出所がわからなくてもやっている人たくさんいるでしょう。
そしてそういう人がいっぱい集まっているのが教育現場です。
だから教育現場と自閉っ子って、相性最悪の面があるんですよ。社会性がないところに変な思想が入るんですね。そしてときには、学校で習ったことと違うやり方をしてうまくやっている人を糾弾したりして、ますます世の中から浮いていくんです。

ニキさんが講演依頼の窓口をやってほしいと私に言ったとき、こう言ってたんです。
「行くとそこにいるのは、先生たち、お母さんたち、お役人さんたち。自由業者の論理をわかってくれる人がいない」

なるほど、と思ってそれから私は講演依頼の窓口を務めるようになりました。

オレンヂさんのお嬢様は、自分で事業をやっているお母様のもとで育ったわけですから
学校には適応難しくても社会に出たら生き生きされている今の状態ができあがるには有利だったかもしれません。
少なくとも「夫の給料少ない」と愚痴り、それを社会や経営陣のせいにしているお母さんのもとで育つよりは社会に出る準備ができていたわけですね。
「仕事なんて給料変わらないんだからなるべく手を抜いた方がいい」という価値観のもとで育った自閉の人もいましたね。
それで通用する時代は終わりました。親の世代のそういう思想を真に受けていたら、この人に仕事がないのは当たり前だと思いました。

さてそれと、私の心に残っているオレンヂさんの「肝っ玉母さんエピソード」を一つ読者の皆様にご披露しましょう。
九州在住のオレンヂさん。あるとき横浜で行うセミナーにお申し込みでした。そして羽田に着いたとき、台風がくるかも、という話になりました。会は開けたんです。でも帰りがもしかしたら一日遅れるかも、と。
そうしたらオレンヂさん、会を欠席して羽田からそのままとんぼ返りされました。理由は月曜日の朝、お子さんが登校渋りをしないように、ということです。
私はそれに感動したんです。とにかくその一日お子さんが学校に行くのをさぼらせないために、せっかく東京まで来たのにとんぼ返りされる。
立派なお母様だなあ、と思いました。

でもお子さんが今、立派に働く大人として生き生きと東京で生活していらっしゃると伺って、肝っ玉母さんはやっぱり報われるんだなあ、と思いました。
花風社の読者の方には肝っ玉母さんが多いから、このいいお話を皆さんとシェアしようとこの記事を書きました。