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[映画] 帰ってきたヒトラー

2016-06-18 | 映画
「帰ってきたヒトラー」を川崎TOHOシネマズにて観て来ました

いやー、ドイツ映画なんて多分「カスケーダー(1998)」以来ですが、実に久しぶりに痛烈な風刺劇を観させて貰いました

基本、コメディ映画ではあるんですが、余りにも今の(まさに ”今” この瞬間の)世界情勢にとってシャレにならん題材なので本気で空恐ろしくもなりました…(;´Д`)



過去から偉人・有名人が現代にタイムスリップして来て騒動を巻き起こす~といった設定は結構お馴染みですが、今作でタイムスリップするのは ”アドルフ・ヒトラー” その人

ナチスドイツを率いて第二次世界大戦を引き起こし、1945年に連合軍がベルリンに押し寄せる中で自殺する迄に侵略と虐殺に明け暮れた ”最凶最悪の独裁者”~といったイメージのヒトラーですが、別に軍事クーデターによって独裁制を敷いたとかではなく、普通に民主主義の選挙で選ばれて世界恐慌からドイツ経済を回復させたりして(ドイツ国民からしたら)英雄的な側面もあったというのが重要なポイントです

そんなヒトラーが1945年の死亡時(?)からタイムスリップし、本人も戸惑いながらも現代ドイツの変化にカルチャーギャップを受けまくるコメディ部分と、”希代の天才政治家” としての行動を示し始める部分の爽快感が絡み合いながらこの映画は進行するんですが、実際にドキュメンタリー映像として撮影されているドイツ国民との対話シーンが時折挿入される事で、観てる観客としても ”あれ?こいつホントにヒトラーなんじゃね?” と勘違いさせられてしまう構成がホントに絶妙でしたね(゚Д゚;)

そしてこの映画は、右寄りの人にも左寄りの人にもどちらにもある種の ”覚悟” を突きつけている映画だと感じました

右寄りの人には、”笑ってる場合じゃ無いぞ、ネットにあふれる言動を具現化した存在がこれだぞ”、と
そして左寄りの人には、”これが多数の国民の声なき声であり、「大衆の本音」って奴だぞ”、と

原作小説の舞台である2011年、そしてこの映画が制作された2014年から更に事態は加速度的に(悪い方向へと)進行していて、大量のシリア難民が引き起こしている混乱は現実問題としてドイツを始めとしたEU各国で不満を相当溜め込んでいる状況にあり、遂にはイギリスがEUを離脱するかどうか国民投票を実施するまでに至っています

ロシアや中国はまるで第二次大戦以前に逆戻りしたかの様に領土的野心を隠さなくなり、アメリカですら、トランプのような超保守的な ”扇動家” が大統領候補の筆頭にまでなってしまいました

現代に甦ったヒトラーが、

”やる事は(今も昔も)変わらない”
”ドイツ国民の為に全てを捧げる”

と、どこで誰に会おうとも、テレビカメラの前だろうと、何の躊躇もなくそう言ってのける ”ブレなさ” が(政治家として)異様に魅力的で、かと言って堅物なだけでもなく、冗談も好きな陽気なおっさん的な側面も見せるキャラクターからはもう間違い無く、”カリスマ性” の輝きしか感じられなかったこの恐怖を是非とも劇場で味わって下さい



”(劇場で)絵空事の様に感じられたあの頃は幸せだったよな…”



そんな風に思い返す時が、そう遠くない将来に来るような事態にならないことを願って(-人-)





以下ネタバレ感想:
ヒトラー 最期の12日間」のパロディ映像って、ニコ動のネタってだけじゃなくて youtube なんかで世界的に流行してたんですな……全然知りませんでした(^_^;)


追記:
某所にて「最期の12日間」を初めて最初から最後まで観賞したんですが、例のシーンに差し掛かっても当然クスリとも出来ず(当たり前ですが)

ドイツも日本も徹底的に踏みにじられた敗戦国同士、こういう ”戦争映画” が作られる土壌は共通してるんだなという感慨みたいなのがあったんですが、ほんの最近まで、こういった表現ですら ”ヒトラーの相対化” という題材がタブー扱いでドイツでは許されなかったというのは日本以上の根深さを思い知らされますな…

「帰ってきた~」の劇中、”(現代のドイツ国民は)歴史教育に飽き飽きしてる” みたいなセリフがあったと思いますが、”ナチスドイツ” が現代に生きるドイツ人とは別個の存在として ”絶対悪” と定義され続ける不条理が戦後何十年も続いた事による ”歪み” がいつどの様なカタチで表出するのか、”その時” は間近に迫ってるとしか思えません(日本人としても決して他人事じゃありませんが)

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