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[映画] パッセンジャー

2017-03-24 | 映画
いやー、面白かった!

そして ”無我夢中になる” とはこのことか!

何せ2時間弱の上映の間、買ったドリンクをほとんど飲む事も忘れてすっかり見入ってしまいましたからねえヽ( ̄▽ ̄)ノ

120年かけて地球から他星系へと5000人の移民客を運ぶ宇宙船に予期せぬトラブルが発生し、目的の星まで90年の行程を残した段階で冷凍睡眠が解除されてしまった一組の男女の運命は…

…というあらすじのこの映画は、登場人物がたった2人と(話し相手としての)アンドロイドが1体だけであり、物語の舞台となるのも一隻の宇宙船の船内のみです

いわゆる ”ワンシチュエーション物” と呼ばれる作品は人数も舞台も極端に限定されている中で、人間性を深く掘り下げる心理描写だったり、二転三転する状況描写で観客を飽きさせない工夫が凝らされている作品が多いのでオレの大好きなジャンルです( ゚∀゚)o彡゚

一種の ”密室劇” ですからミステリー要素が入ってるのが一般的で、今作もそれに倣った展開(何故そもそも主人公は目覚めたのか?等)が待ち受けているんですが……もう一つ、こういう作風だと大抵は予算も限定的だったりするのが通例なんですが(^_^;)、密室とは言っても宇宙船は全長1km以上の超巨大構造物なのでビジュアル的な見せ場も多く、結構な予算もかかってそうなのがオレの記憶する限りだと、”大作” 規模の同種の作品は「ゼロ・グラビティ」以来でしょうか



とまあこんなカンジでオレはこの映画が大好きなんですが、ちょっと賛否が分かれる映画だとは思います

題材がSFで登場人物はごく少数というだけでも見る人を選ぶでしょうし、何より実は ”バカ映画” なんですよコレ(^o^;)

ゲラゲラ笑いながら見るような映画では決してありませんが、色々と設定に無理があって細かい部分が気になっちゃう人はとことんダメな映画でしょうし、オレもハリウッド映画の典型的な ”ダメ要素” が全く気にならなかったといえば嘘になります

でも話のスジや設定はバカ映画でも、そこに描写されるたった二人の ”人間” の苦悩や葛藤や喜びが凝縮された脚本はオレの好みにバッチリで、何より、劇場を出る時の ”後味の良さ” が素晴らしかったなあd(≧▽≦*)





以下ネタバレ感想:

二人で冷凍カプセルを巡ってプロフィール当てみたいなことをするシーンの中で、”助産師” の人がいるのを見つけていたのは絶対に伏線だと思ったんですが、エピローグで特に触れることもなかったですな

まあ確かに、二人で生きていく決断をした後で助産師の手を借りるような事態になったとして、助産師当人だけならまた眠りにつかせる事が可能なのだとしても、生まれてくる子供にまで船内での人生を ”押しつけて” しまっていいものかというモヤモヤを観客に残してしまうのも微妙だっていう判断でカットされたんですかねえ…

ラストでほんの一瞬だけ登場した船長役にアンディ・ガルシアが配されてるのに、家に帰ってから関連情報を調べててビックリしたんですが(゚д゚;)、DVDの方には ”もう一つのエンディング” 的な特典が沢山ありそうでちょっと楽しみにしたいと思います



あとSFやミステリー作品では、古代の哲学者の出した(燃料や酸素がどちらか一人分しか残っていない的な)”カルネアデスの板” というモチーフがよく出てきますが、「パッセンジャー」ではこの ”究極の選択” が絶妙にアレンジされてるなと感じました

”眠れる美女” を起こす(←ある意味殺す以上にヒドい仕打ち)、という絶対的なタブーを犯してしまう事に大いに葛藤する主人公が前半の山場でしたが、”生きるか死ぬか” の緊急避難的な状況でなら ”殺人” ですら罪では無いという理屈は存在していても、今作の主人公の場合は決して ”生きるか死ぬか” という状況ではない(あの段階では船の危機的状況なんかは知り得ない)というジレンマ……でも、”寿命までただひたすら生きる” 事は果たして ”生きてる” と言えるのだろうか?それなりの娯楽もあるし酒も飲み放題wだけど、たった一人でこの状況が続くのは死んでいるも同然なのではないか?

この ”孤独” のツラさや空しさを、最終的には ”オーロラ側の人生観” にも重ねちゃうのは乱暴な演出だった気もしないではありませんが、個人的には非常に上手くまとまっていたなと感じ入った次第でした

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