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高妻山

2015-10-13 22:47:12 | 旅行記


10月6日に長野にある高妻山に登ってきました。もちろん百名山の一つです。高妻山の裏側にある火打山に以前登ったときは雲がかかっていて、この高妻山は見えなかったのですが、昨年4月にあんずの里に行ったとき、満開の杏の花が咲くはるか遠くに、雪をかぶったとがった山容が見え、それが高妻山だとわかってからは、いつか登らなくてはと思っていた山でした。

高妻山は登山道が1本しかなく、また斜度がきつく混雑する山だと聞いていたので、秋の天気の良い平日に登りたいと考えていました。6日は休みを取ってあったのですが、幸い晴れの予報。自宅を4時半に出て高速をとばし、信濃町インターで下りて、登山口の戸隠牧場を目指しました。駐車場には20台ほどの車が停まっています。ちょうど紅葉が見頃のシーズンということもあり、平日でも結構な数の人が登っていそうです。

高妻山は元は五地蔵ルート一本しかなかったのですが、実は数年前に東側の弥勒尾根から登るルートができたとの情報をネットで得たので、このルートを使うことにしました。この弥勒尾根のルートはひたすら登るだけのルートとのことでしたが、新しいルートということもあってよく整備され、登りが得意な私には、やや眺望には恵まれないようでしたが、折から紅葉のシーズンということもあるので、紅葉を楽しみながら問題なく登れそうに思えました。

牧場の中を歩いて小さな沢を渡ると弥勒尾根に取り付きます。ここからは樹林帯をひたすら登るだけです。幸い木の根を乗り越えていくばかりで、岩はほとんどなく、かなり登りやすいです。尾根筋に沿って付けられた登山道ですが、ところによっては左右がすっぱり切れ落ちた幅の狭いところを渡っていかなければならないところもあって、結構スリルを味わえました。しかし、紅葉はまさに見頃で、特にダケカンバとカエデの黄色、ドウダンツツジとモミジの赤が素晴らしかったです。残念ながら登山口では快晴だったものの、次第に雲が出てきて、途中からは晴れたり曇ったりという感じでした。

二時間ほどで六弥勒(高妻山は戸隠山信仰に連なる信仰の山で、登山口の一不動から山頂の十薬師まで、十カ所の祠が設けられ、それがそのまま合目も表しています)に着きました。ここは五地蔵ルートとの合流地点になります。ここからルートは一本だけになり、山頂へと続きます。六弥勒からはようやく目指す高妻山が姿を現します。遠くからは鋭く聳える山容が印象的ですが、六弥勒から見る高妻山は、どっしりとした姿が印象的でした。その右側の稜線に、まっすぐ山頂に向かって延びる登山道が付けられています。遠く芥子粒くらいの大きさに登っていく人が見えましたが、近いように見えて実に遠いことがわかります。しかもその斜度のきつさときたら。深田久弥が「実に長かった」と嘆いたほどの急登が待ちかまえているわけです。しかし、ここまで来たら引き返すわけにはいきません。頑張って稜線の取り付きまで向かいました。

しかし、六弥勒からはいったん下るのです。しかもかなり下ります。疲れたところでこの登りはうんざりするなぁと思いながら下っていくのですが、その辺りの紅葉が特に素晴らしいので、何とかそれに慰められつつ鞍部まで下りました。九勢至までの登り返しは岩場も多くかなりきつかったのですが、やはり紅葉が美しく、何とか我慢して登り続けました。そして九勢至に着くと一気に視界が開け、目の前に山頂へ向かう最後の登りの斜面が立ちはだかりました。六弥勒から見ると、とがった山容の一番高いところが山頂のように見えたのですが、九勢至から見るとさらに音妻山の方にまで稜線が続いており、本当の山頂はそこにあるように思われました。

最後の登りは、登り口から見るとさほど距離はなさそうに見えるのですが、上部にいる人がかなり小さく見えるところからすると、相当な距離があるように思われます。コースタイムでも1時間とあるので、やはり相当な距離があるように思われます。しかし、登山道はほとんど直登で、上に行くにつれて相当斜度がきつくなることが予想されました。

登り始めると予想通り、笹の間に付けられた道はぬかるんで滑りやすい上に、足場となる岩も少なく、つかまる枝や木もほとんどなく、今まで経験したことがないほどの登りにくさです。しかも予想通り、上に行くにつれて斜度がどんどんきつくなります。登山客の中では比較的遅い時間に登り始めたので、既に下ってくる人もけっこうあり、すれ違うときにはよけるところもなく困りました。40分ほど我慢して登り続けましたが、最後の辺りは少し休んでは登り、の繰り返しで、山頂へ連なる稜線に着いたときにはすっかりへろへろになっていました。

そこからは岩がごろごろした稜線歩きをして、10分ほどで山頂に着きました。4時間かかり、コースタイムよりも少し早い程度でした。山頂は大きな岩がごろごろと積み重なったところで、山容の割には意外と広く、座るところもたくさんありました。南側には戸隠山の偉容が、北には乙妻山が並んでいます。本当ならその向こうに焼山・火打山・妙高山と連なる頸城三山が、西には雨飾山の向こうに白馬三山が見えるはずなのですが、雲がかかって何も見えません(3日前に登った教え子は、快晴の空の下、山頂から素晴らしい眺望を堪能したそうです)。いつものように湯を沸かしてラーメンを食べ、写真を写しました。

今日は時間も割と遅いので、下りる時間のことも考えて山頂では30分ほど滞在して下山することにしました。下りが苦手なので、当初は五地蔵ルートを下るはずでしたが、帰りも弥勒尾根を下ることにしました。山はすっかり雲に覆われてしまい、眺望も聞かないので、ひたすら下りました。幸い弥勒尾根は斜度は急でも登りやすいルートなので、私としては快調に飛ばすことができました。戸隠牧場に着くと3時間経っていました。牧場からは、山頂では雲に隠れて見えなかった飯縄山がきれいに見えました。飯縄山、黒姫山、妙高山と、古い順に火山が並んでいますが、皆同じように元の火山の山頂部分に小さな新しい火山が盛り上がっている形をしているのが興味深かったです。

高妻山は日帰りで登った山では1,2を争うハードな山で、時間もかかりました。百名山に入っていなかったら、恐らく登っていなかっただろうと思います。帰りには妙高の池ノ平の温泉に入って帰りました。やはり7時間半もかかったので、いつもよりも帰宅が遅くなってしまいました。
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