夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

「野の花三百六十五日」池沢昭夫+池沢洋子と 「草づくし」白洲正子  追加あります

2008年08月07日 09時03分06秒 | 日記


    「野の花」についてのコメントがありましたのでちょっと追加しました。

白洲正子さんのご本に「草づくし」というのがある。
軽い本なのだけど、なんとなく暇になると手に取っている。
その中に、天道花(てんとばな)という一章があって、岡本千鶴さんの「続・野の花三百六十五日」(文化出版局)を紹介している。
白洲さんはこの岡本さんには会われているのだけど、続というからには前にも出版したかもしれないがというような書き方をされている。
白州さんは「野の花三百六十五日」はご覧にならなかったんだなってわかるのだけど。

トップの写真は白州さんの「草づくし」、そして左側の本が白洲さんがご存じなかった続の付かないほうの「野の花三百六十五日」
とにかく、正編も続編も毎日、365日花を生けて写真を撮られている。発表するための活花だから、大変な努力ですね。
ちなみに正編のほうの著者は 池沢昭夫+池沢洋子となっている。
岡本さんとは別人なのですね。

池沢昭夫さんは広島で被爆され、闘病生活の間に写真をお撮りになり始め、野の仏などを撮られているうちに、木彫りもされるようになった方。
1991年にお亡くなりになったようです。
決して派手な花ではないけど、野の花の命をいとおしむような気持ちが伝わるような、花の生け方。見ていてとても気持ちがすっきりする。
ちなみに池沢さんの木彫りの仏像の写真はここにありました。
http://homepage3.nifty.com/akichann/06yasuragi.htm

たまたま広島の原爆の日に白州さんのご本から池沢さんの「野の花三百六十五日」へと行き当たりました。これも何かのご縁なのでしょうね。


蛇の足;
「野の花」コメントをいただきましたが、それから説明がちょっと膨らみすぎましたので、蛇の足としてこちらにあげておきます。

池沢さんご夫妻は自宅に野草園をお持ちみたいです。ですので、そこの野草が中心になっていると想像します。
そこに植えられたものが、ほんとうの野の花といえるのかどうかはわかりませんが、少なくとも温室などのものではないようですね。
私のブログの花は、テストで室内で撮るときなどを除くと、99%は野や山に自生しているものですけど、逆にこぼれ種で広まっていったものは園芸種でも野の花って括りでカメラに収めています。

茶花で使う「野の花」は業者が栽培したものもあるのですけど、専門に扱っているところでは山や野で取ってきたものも別格で扱います。こちらのほうが高いんですけど。喜ばれますね。

「不満なものもあるけど、毎日の花との一期一会の出会いの記録だから活けなおし、撮りなおしはしない」って書いてあります。
著者の方々にとっては、花と向き合う毎日が勝負だったんですね。

花もそうですが、花器も花器のときもあれば、石のくぼみに花を生けてあるときも、民具に活けたもの、あるいはご自分の作品だろうと思われる木仏を配したものもありました。
花を選び、花器や周りの景色を決め、花をアレンジし、撮影をしていく。
一回のことではなくこれを一年続けられているのです。

半年の新聞のコラムとか、数年にわたる雑誌のコラムをやったことがあります。続けていくってほんとうに大変だって実感しました。雑誌の担当者からは「ときどき気が抜けているときがある」って手厳しいことをいわれたりしましたけど、彼には私の本業の方の忙しさなどがわかっても、読む人には関係のないことですから言い訳はできませんよね。

ご主人が写真家でもあったので、このお二人に365日付き合って写真を撮られた方も大変だったろうなって思います。

前に2,3度猛女としてご紹介して痛く不興をかった知人がおります。紙すきをやられる方。紙に野草をすきこんでいくのですけど、名前がわからないと大騒ぎで科学館の学芸の人に電話をかけています。もっともこの方のお仲間には大学で植物学を教えていた人などがいますので、それでもわからないというレベルは私などの想像も及ばぬ世界なのでしょうけど。

この方は踊りや、料理もその辺のプロとは違うほんものの一流。草木染もなさいます。一度オーガンジーを染めたものをお預かりしました。撮影の材料にってことでしたけど、2度ほど撮ってみたのですけど、駄目をだされて、今は諦めムード。この方は写真もおとりになるんですよね。この本の写真を撮った方も、「なら、ご自分でお撮りくださいよ」って、なんどもいいたくなっただろうとお察し申し上げます。

続編の著者の方については白洲さんが「草づくし」の中に書いておられますので、あえて触れません。


写真は撮っていますけど、結局身の回りのメモでしかありません。植物、動物など専門的に取られている方たちの写真や説明を聞くと、その経験と知識、そしてそれにまつわるさまざまな造詣、、、これが堅実な生き方、考え方なのかな~って思うこともありますけど、思いつくのが遅すぎました。


野の花三百六十五日
池沢 昭夫,池沢 洋子
文化出版局

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
野の花 (あられ)
2008-08-07 07:39:06
野の花というのは、ほんとうのののはなを切ってきていけば何している写真なの?365日と言うからには同じ花もあるんでしょうね。見てみたいな。
レス (赤い風車)
2008-08-07 09:19:52
レスをつけ始めましたら、長くなりましたので、本文のほうへ「蛇の足」として追加しました。
なお、レスのほうが前の本文よりも長くなりましたので、タイムスタンプを今日に変更しています。
‘野の花賛歌’ (はなあかり)
2008-08-08 08:55:15
 偶然ですが池沢さんご夫妻による『野の花三百六十五日』、私の手元にもございます。昭和55年初版のようですが、所持しておりますものは第十刷で60年発行です。木彫りの仏さまにも大変心惹かれております。これらの木仏を彫られた池沢昭雄さんは‘91年にお亡くなりになられていたのですね。存じませんでした。

 両の手を組みて座れる野仏に
 野花とりどり摘みて抱かす

 野の花をたずねつ花の夢をみつ
 このひととせをを暮らしけるかな

 上記は後書きの‘野の花賛歌’に記されていました。野仏も野の花もそしてご自分の命もいとおしみながら生きるお姿が浮かんで参ります。後ればせながら御冥福をお祈りします。
野の花 (赤い風車)
2008-08-08 11:18:33
印刷も紙も悪い今だったら売れないような本ですけど、365日花と向き合ってこられた池沢さんの生き様がにじんでくるような本ですよね。
最初読み終えたとき、もう少しエッセーみたいなものが入っていればとも思ったのですけど、365の花にエッセーをつけていけば、12冊組くらいの本になってしまうな~って思い返しました。

花の活け方を見ていると安寧な気持ち、花、小さな命をいとおしむ気持ちが伝わってきて、いいな~って思います。

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